週刊ドラフトレポート(毎週木曜日更新)

【週刊ドラフトレポート#21】栃木の「ドクターK」文星芸大付・堀江正太郎、横浜・椎木卿五は関東代表する強打の捕手

西尾典文
 秋に行われるドラフト会議に向けて、年間400試合以上のアマチュア野球を観戦し、ドラフト中継番組では解説も務めるベースボールライター西尾典文さんが、有望なアマチュア選手を毎週レポートします。

 夏の甲子園も終わり、高校生のプロ志望届も提出される時期が近づいています。今回は甲子園出場は逃したものの、プロからの評価が高いと思われる投手と捕手を紹介します。
(企画編集:Timely!編集部)

*現時点のレベルバロメーター:★の数
★★★★★ 5:複数球団の1位入札濃厚
★★★★☆ 4:1位指名の可能性あり
★★★☆☆ 3:上位指名(2位以上)の可能性あり
★★☆☆☆ 2:支配下での指名濃厚
★☆☆☆☆ 1:育成であれば指名濃厚

「衝撃の19奪三振!完成度の高さが魅力の大型右腕」

昨夏から体が大きくなりスケールアップした文星芸大付・堀江。丁寧に投げ分けられる制球力が武器だ 【写真提供:西尾典文】

堀江正太郎(文星芸大付 3年 投手 187cm/82kg 右投/右打)

【将来像】吉見一起(元中日)

高い制球力で安定感があり、鋭く落ちるフォークも吉見とイメージが重なる

【指名オススメ球団】中日
将来像の吉見が活躍した広い本拠地という点と、投手陣の底上げが必要なチーム事情から

【現時点のドラフト評価】★★☆☆☆
支配下での指名濃厚

 今年の高校生は右投手に有望株が多いが、関東でも屈指の実力を誇るのが文星芸大付の堀江正太郎だ。初めてピッチングを見たのは2年春の県大会。リリーフで短いイニングの登板だったものの、ストレートの最速は144キロをマークし、ボールの勢いは素晴らしいものがあった。昨年夏の栃木大会でもリリーフで5試合に登板し、チームの優勝に大きく貢献。続く甲子園大会でも2試合に登板し、チームは3回戦で八戸学院光星戦に敗れたものの、堀江自身は2回を投げて無失点と好投を見せた。

 最終学年になってからピッチングを見られたのは4月29日に行われた春の県大会、対青藍泰斗戦だ。1対0でリードした8回から登板すると、2イニングをパーフェクト、1奪三振の好投でチームの勝利に貢献した。まず目についたのが昨年と比べて明らかに体つきが大きくなっているという点だ。昨年夏の甲子園でのプロフィールを確認すると181cm、78kgとなっており、そこから身長は6cm、体重は4kg増えたことになる。そのため、マウンド上での立ち姿は、大げさではなく昨年とは別人のように大きく見えた。

 そして堀江の長所は、その長身を持てあますことなく使えるというところにある。テイクバックで少し体が沈み込む動きはあるものの、重心が上下動することなくスムーズに体重移動し、下半身の粘り強さも感じられた。また上半身の動きも無駄がなく、高い位置から縦に腕を振ることができるためボールの角度も申し分ない。この日のストレートの最速は球場表示で146キロ(筆者のスピードガンでは145キロ)と驚くような速さがあるわけではないが、両サイドをしっかり狙って投げるコントロールがあり、1対0という緊迫した展開での登板にもかかわらず常にストライク先行で投げることができていた。

 変化球も腕を振って投げられ、130キロ台のカットボールとフォークは決め球として十分な威力がある。また立ち上がりになかなか変化球をコントロールすることができない投手は多いが、堀江は最初から狙ったところに投げられるだけの制球力があるというのも大きな持ち味だ。

 夏の栃木大会では初戦の足利戦で被安打2、19奪三振で完封。チームは準々決勝で作新学院に敗れたものの、この試合も12奪三振で1失点完投という見事なピッチングだった。春まではリリーフでの登板が多かったが、夏に長いイニングでもしっかり結果を残したことは大きなプラス材料である。これだけ大型でストレートも変化球もしっかりコントロールすることができる投手はなかなかいるものではない。体もまだ成長しており、さらなるスケールアップが期待できるというのも魅力であり、その将来性を高く評価している球団も多いだろう。

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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