最大のサプライズは長谷部誠コーチ!? 伊東純也帰還、初選出もあった日本代表の最新選考事情
3つのW杯で主将を務めた長谷部誠氏(左)がコーチとして日本代表に“復帰”した(写真は24年6月のユーロ時のもの) 【写真:アフロ】
「WIN-WIN」なコーチ就任
記者会見会場で渡された招集リストにおいて最大のサプライズは選手一覧ではなく、スタッフの一覧にあった。コーチ陣の末席に「長谷部誠」の名前があったからだ。
長谷部氏は昨季限りで現役を退き、フランクフルトU-21のコーチに就任したばかり。現役中からコーチングライセンスを取得するなど、指導者としての準備を進めていた長谷部氏の指導者としての未来に期待する声は大きかった。
サッカーの世界で代表とクラブを兼任する指導者自体は珍しくない。日本も昔は多くの代表スタッフが各クラブからの“派遣”だった時代がある。近年は専任化が進んでいたが、ルール上の障壁は特になく、フランクフルトとしても日本代表とのパイプができるのは悪い話ではなかったのだろう。
山本昌邦ナショナルチームダイレクターが「WIN-WIN」と形容したように、比較的スムーズにまとまった話のようだ。
現在の日本代表はほとんどの選手が欧州でプレーしており、今後も増え続けていく流れにある。以前、森保一監督に「欧州に“住む”スタッフがいてもいいのでは」という話をしたことがあるのだが、その視点でも面白い人事になった。
各種情報を得るためにも、また欧州各地に散らばる選手たちとのコミュニケーションを考えても、実際にベンチ入りする“コーチ”がブンデスリーガのクラブの中にいる意味は小さくない。
森保監督の希望で実現した今回の人事の狙いは理解できる。長谷部コーチ個人にとっても、日本代表で得られる経験や人脈は貴重なものになるはずで、これまた「WIN-WIN」なのだろう。
「環境が整った」ウイングの帰還
伊東は1月のアジアカップで途中離脱して以来の復帰となった 【写真:松尾/アフロスポーツ】
「いろんなことを考えて招集しなかったのは、彼を守るため」と強調してきた森保監督は今回もあらためてその点がポイントであったことに触れつつ、こう述べている。
「彼が落ち着いて、日本代表の選手として向き合ってプレーできるかということと、チーム全体で落ち着いて活動ができるか」
メディアの興味が悪い意味で高まってしまうようではチームにとっても悪影響があり、本人もサッカーに集中できないという判断だった。ただ、嫌疑不十分での不起訴という当局の判断も出る中で、招集の断を下すこととなった。
「起訴・不起訴は関係ない」と山本ナショナルチームダイレクターは強調したが、このあたりは依然として民事で係争中という状況を思えば、深い言及ができないのも理解できる。
いずれにしても、日本代表に貴重な右の翼が帰ってきたのは事実で、戦力的にも、戦術の幅という意味でも、大きな上積みになることは間違いない。
また、左の翼である三笘薫も負傷から復帰。久々に左右両翼へウイングタイプの選手を明確に置く形も、日本代表の戦術的な選択肢に入ってきそうだ。