パリ五輪男子ゴルフ展望 データが語る松山英樹の強さと中島啓太に期待される奮起

北村収

パリでの活躍が期待される松山英樹(左)と中島啓太(右) 【Photo by Andrew Redington/Octavio Passos/Getty Images】

 7月26日(金)に開会式が行われたパリオリンピック。男子ゴルフは8月1日(木)から4日(日)まで、4日間72ホールによる激戦が繰り広げられる。開催コースはパリ郊外に位置し、毎年DPワールド(欧州)ツアーの「オープン ド フランス」が開催され、2018年にはライダーカップの舞台となった「ル・ゴルフ・ナショナル」。日本からは松山英樹と中島啓太が参戦する。

データ的にも世界トップの松山英樹は金メダルの有力候補

今年2月のザ・ジェネシスインビテーショナルで米国PGAツアーにおけるアジア勢最多となる9勝目を果たした松山英樹。 【Photo by Harry How/Getty Images】

 松山英樹は金メダルの有力候補であると言っても過言ではない。世界ランキング15位の松山だが、米国PGAツアーで2024年シーズンのパフォーマンスを示す「SG(ストロークス・ゲインド):Total」で7位、グリーンを狙うショットのパフォーマンスを示す「SG: Around-the-Green」では1位、グリーンに乗るまでのショットのパフォーマンスを示す「SG: Tee-to-Green」では4位というデータを誇る。これらのデータが示すように、松山のショットとアプローチは世界でも超一流だ。

 唯一の弱点はパッティングで、「SG(パッティング)」では143位に甘んじている。しかし、2月に優勝したジェネシスオープンでは「SG(パッティング)」で3位であり、2021年のマスターズでも勝負どころで次々とパットを沈め、日本中のゴルフファンを熱狂させた。

 オリンピック前の最後の試合となった全英オープン終了後、松山は「ショットもパットもちょっとしっかりしなくてはいけないと思うんですけど、まずはパッティングを重点的にやっていきたいと思います」と語っていた。大舞台で何度も日本のファンをテレビ画面に釘付けにしてきた松山が、オリンピックの舞台でどのようなショット&パッティングパフォーマンスを見せてくれるのか。金メダルを狙う?という質問に対しては「出るからには。どの試合でも一番を目指しているので」と意欲を語った松山は、金メダルの有力候補だ。

勝負どころで強さを発揮中島啓太の奮起に期待

今年3月の「ヒーローインディアンオープン」で、DPワールド(欧州)ツアー初優勝を果たした中島啓太。 【Getty Images】

 もう一人の出場選手、中島啓太もまた、勝負どころで強さを発揮する選手だ。アマチュア時代には2021年にアジアパシフィックアマで優勝し、翌年のマスターズと全英オープンの出場権を獲得した。昨年の日本ツアーでは終盤戦で優勝や2位の成績を残し、賞金王に輝いた。今年はDPワールド(欧州)ツアーに参戦しており、6試合目となる初の優勝のチャンスでしっかりと勝ち切る強さを見せた。

 一方で中島は、悔しい経験をたくさんしてきている。2021年に優勝を果たしたアジアパシフィックアマでは2018年に2位タイと惜敗。昨年の日本ツアーでもプロとしてのツアー初優勝果たす直前は、2週連続で悔しい2位という結果に終わっていた。

 オリンピック前の最後の試合となる全英オープンでは、17オーバーという不本意な成績で予選落ちした。「結果が全てですし、日本で応援してくれている人に対して情けない結果になってしまったので、そこは悔しいです」と中島は語り、さらに「日本代表に選んでいただいたので、そこはもう一回自覚を持って頑張りたいと思いますし、しっかり自分のゴルフをして、日本代表として恥ずかしくないように頑張りたいと思います」とオリンピックへの決意を新たにした。

 悔しい思いをしてきた後に必ず最高の結果を出してきた中島。アマチュアでもプロでも世界の大舞台で優勝経験を持つ中島がその実力を発揮できれば、3位以内は十分に可能である。オリンピックでのメダル獲得という結果で、全英オープンの悔しさを晴らしてほしい。

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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。法律関係の出版社を経て、1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。2011年4月に独立し、同年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙、Web、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体で、ゴルフ編集者兼ゴルフwebディレクターとしての仕事に従事している。

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