パリ五輪男子ゴルフ展望 データが語る松山英樹の強さと中島啓太に期待される奮起

北村収

松山、中島への期待が一層高まる出場枠の仕組みと前回の結果

 オリンピックゴルフの出場枠は60人(開催国枠1人を含む)であり、出場選手は世界ランキングに基づくオリンピックゴルフランキング(以下OR)によって選出される。ORは各国・地域の代表枠外の選手を世界ランクから除外したランキングで、男女ともに「15位以内(各国・地域で最大4人)」の選手が出場権を得る。15位以内に選手がいない各国・地域からは、「16位以下の選手から最大2人」が出場可能である。

 できるだけ多くの国から出場できるルールになっているが、世界ランキングに上位選手が集中している米国の選手にとっては、オリンピックに選ばれるのは非常に厳しい。最大4人というルールが適用され、今回米国から出場するのは、スコッティ・シェフラー、ザンダー・シャウフェレ、ウィンダム・クラーク、コリン・モリカワに決まった。一方で6月に全米オープンに勝ったブライソン・デシャンボー、世界ランク8位のパトリック・キャントレー、同11位のサヒス・ティーガラ、同12位のラッセル・ヘンリーなど、優勝候補にも挙げられそうな選手に出場権が与えられなかった。つまり、オリンピックでは4大メジャーと比べると強豪選手の出場が少ないのである。

 また2021年の東京オリンピックでは、世界ランク204位だったロリー・サバティーニ(スロバキア)が銀メダル、世界ランク208位だったC.T.パン(台湾)が銅メダルを獲得した。国を背負う緊張感からか、世界ランク上位選手の中には実力を発揮できない選手も少なくなかった。なお、松山の世界ランクは15位、中島の世界ランクは92位である。

 このように、オリンピック出場枠の仕組みや前回の結果を振り返ると、松山英樹と中島啓太への期待が一層高まる。松山の実力はデータで証明されており、中島も過去の悔しい経験をバネに成長している。パリ五輪の舞台で二人がその力を発揮しメダルを獲得することができれば、ゴルフファンだけでなく、ゴルフに興味のない人々にも大きな感動と興奮をもたらすことになる。

(注)本文中のデータは2024年7月22日時点

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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。法律関係の出版社を経て、1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。2011年4月に独立し、同年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙、Web、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体で、ゴルフ編集者兼ゴルフwebディレクターとしての仕事に従事している。

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