実はすごい記録!? 松山英樹は4大メジャーで予選通過率89%、18試合連続予選通過中

北村収

全英オープンで予選通過を果たした松山英樹 【Photo by Stuart Franklin/R&A/R&A via Getty Images】

 スコットランドのロイヤルトゥルーンGCで7月18日から21日まで開催されていた4大メジャーの全英オープン。8名の日本人選手が出場したが、松山英樹だけが予選通過を果たした。先月開催された4大メジャーの全米オープンでも6名の日本人選手が出場したが予選通過を果たしたのは松山のみだった。

 予選落ちした日本人選手から多く聞かれるのが、「我慢できなかった」、「もったいないミスが多かった」という言葉。松山の口から「我慢できた」という言葉を聞くことはないが、現地でプレーを見ていると調子が良くない状況の中でも、これ以上は落とせないという場面ではきっちりとパーをセーブする。これが他の日本人選手との違いだ。

 全英オープンの2日目終了後、松山は予選ラウンドの2日間を振り返り「パッティングが足を引っぱっている」と話した。その日は13番でボギーを打ち、通算5オーバーとなり、その時点で予選通過ラインが4オーバーだったため、これ以上は落とすことができない状況になった。続く14番(Par3)ではティーショットをバンカーに入れたが、見事に1メートル弱に寄せてパー。17番では1.5メートルのパーパットを残したが、しっかりと沈めてパーをセーブした。バーディパットこそ入らなかったが、勝負所のパットをしっかりと決めて、結果的に予選通過を果たした。

その年のメジャー覇者でも予選突破が難しいメジャーの難しさ

ショートゲームでは松山らしい上手さを発揮 【Photo by Kevin C. Cox/Getty Images】

 メジャートーナメントの予選通過というのは、世界のトップ選手にとっても大きなハードルだ。1カ月前の全米オープンで優勝したポール・デシャンボーと2位だったローリー・マキロイは揃って今回の全英オープンでは予選落ちをしてしまった。また、2022年にマスターズに勝ったスコッティ・シェフラーは翌月の全米プロでは予選落ちとなった。

 マスターズを除き毎年コースが変わるメジャーでは、その難しさも開催コースによってさまざまだ。世界ランキングで上位の選手でも、各大会に合わせた準備をしっかりと行う必要があり、その調整がうまくいかないと予選落ちという結果も珍しくはない。

松山はメジャー出場47回のうち42回予選通過

 松山の4大メジャー出場回数と予選通過回数を調べてみた。

・マスターズ 13回出場(予選通過12回)
・全米プロ 12回出場(予選通過12回)
・全米オープン 12回出場(予選通過11回)
・全英オープン 10回出場(予選通過7回)


 アマチュア時代も含め47回の出場のうち42回の予選通過を果たしており、予選通過率は約89%だ。全米プロは予選落ちがなく、マスターズと全米オープンも予選落ちは1回のみ。全英オープンだけが複数回の予選落ちを喫しているが、2022年からは予選落ちをしていない。

 同世代で現在世界ランキング3位のローリー・マキロイの記録をチェックすると、

・マスターズ 16回出場(予選通過13回)
・全米プロ 15回出場(予選通過13回)
・全米オープン 16回出場(予選通過11回)
・全英オープン 16回出場(予選通過14回)


 となっている。63回の出場のち51回の予選通過を果たしており、予選通過率は約81%だ。松山の89%という数字は、世界のトップ選手の中でも際立って良い数字だ。

 まだ20代で出場回数が松山に比べて少ない世界ランク1位のスコッティ・シェフラーは21回出場して18回の予選通過を果たしており予選通過率は約86%、先週の全英オープンを制し現在世界ランキング2位に順位をあげたザンダー・シャウフェレは30回出場して27回の予選通過を果たしており予選通過率は90%だ。

 なお、ジャック・ニクラウス、タイガー・ウッズについては、全盛期はもちろんほとんどの試合で予選通過を果たしていたが、キャリアの後半になると予選落ちする試合が増えてしまうため、予選通過率は松山や現在の世界ランキング上位の選手と比べて低い結果となる。

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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。法律関係の出版社を経て、1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。2011年4月に独立し、同年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙、Web、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体で、ゴルフ編集者兼ゴルフwebディレクターとしての仕事に従事している。

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