世界1位や渋野ら多くの選手を指導した トレーナー・斎藤大介氏が語る日本ゴルフ界の課題

北村収

世界ランキングNo1の実績もあるリディア・コ(左)と記念撮影する斎藤大介氏 【写真:斎藤氏提供】

 プロゴルファーを支えるトレーナーとして活躍する斎藤大介氏。過去には全英オープンを制した渋野日向子や世界ランキングNo.1に輝いたリディア・コを指導した経歴を持ち、現在も200人以上の選手を指導している。そんな斎藤氏に、トレーナーとして活躍し続けられる理由と日本ゴルフ界の課題について話を聞いた。

日本から海外へ挑戦しようと思った理由

 斎藤大介氏は、2010年から2013年までファイテン株式会社に勤務し、国内男子ツアーでトレーナーとして片山晋呉選手やハン・リー選手をサポート。選手からの信頼も得ていたが、スキルアップのために海外での経験が必要だと感じ、2014年からオーストラリアへ移住した。「国内ツアーでの経験だけでは、スキル的に足りないと感じていた。自分の中で何かを変えなくてはならないと考え、国内にいるより海外に出ようと決心した」と斎藤氏は当時の心境を語る。

 オーストラリアでは現地のゴルフアカデミーで働きながら、米国女子ツアーで活躍するアジア人選手たちとも交流し、経験を積んでいった。

米国女子ツアーでの躍進と帰国後の活躍

 2016年、「全米女子オープン」を制した実績があるチ・ウンヒ(韓国)からの誘いで、斎藤氏は米国女子ツアーでトレーナーを務めるために米国へ渡った。「米国ではシェアが基本なので、見る選手がどんどん増えた。最終的にはアシスタントもつけるようになった」と話す。「現場にいて関わった米国女子ツアーでの勝利数は16勝」とトレーナーとして大活躍。全英女子オープンを制した渋野日向子や世界ランキングNo1の実績もあるリディア・コなど、世界中の著名選手を支えた。

チ・ウンヒ(右から2番目)からの誘いで米国女子ツアーでトレーナーを務めるために米国へ渡った 【写真:斎藤氏提供】

 2023年からは日本を拠点に、青木瀬令奈、稲見萌寧、臼井麗香らを指導。「日本に戻ってからはジムをオープンし、多くの選手たちに来てもらうスタイルに変えた。若手からプロになっていない子たちも含めて指導している」と若手の選手やアマチュアも含めて200人近くの選手が斎藤氏の元を定期的に訪れるという。

選手から支持を得ることができた理由

 斎藤氏の信念は、自分の足を使って情報を取りに行くことだ。「SNSなどで情報を発信している著名な方が多いけど、本質はみんな隠す。僕もそうですが全部出したら商売にならないから。だから、(興味がある方とは)実際に会って話して自分が体験してみるというのが一番わかると思う」と斎藤氏は言う。

 昨年は台湾、香港、オーストラリア、フィリピン、ベトナム、スリランカ、ドバイ、シンガポール、タイ、韓国、イギリスなど、計13カ国に出張。これらの国々で、ゴルフ以外も含めたスポーツやトレーニング方法、ケアの方法を学んだという。ではどのように海外の有力者と繋がることができたのか?「海外の人脈というかコネは自分でつくるものだと思っている。みんな最初はコネなんかない。最初はどんどんDMを出したりして、自分から動いている」という。

海外にも積極的に情報を取りにいくという斎藤氏。実際に会って話して自分で体験することをモットーとしている 【写真:斎藤氏提供】

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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。法律関係の出版社を経て、1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。2011年4月に独立し、同年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙、Web、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体で、ゴルフ編集者兼ゴルフwebディレクターとしての仕事に従事している。

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