週刊ドラフトレポート(毎週木曜日更新)

【週刊ドラフトレポート#13】成長を続ける大学生有望株!スピード感あふれる遊撃手・浦田俊輔、静岡のドクターK・宮原駿介

西尾典文
 秋に行われるドラフト会議に向けて、年間400試合以上のアマチュア野球を観戦し、ドラフト中継番組では解説も務めるベースボールライター西尾典文さんが、有望なアマチュア選手を毎週レポートします。

 今回は6月に行われた全日本大学野球選手権と大学日本代表候補合宿で評価を上げた大学生2人を取り上げます。
(企画編集:Timely!編集部)

*現時点のレベルバロメーター:
★★★★★5:複数球団の1位入札濃厚
★★★★☆4:1位指名の可能性あり
★★★☆☆3:2位以上の可能性あり
★★☆☆☆2:支配下での指名濃厚
★☆☆☆☆1:育成であれば指名濃厚

「大学選手権で躍動。スピード感あふれるショートストップ」

軽快なフットワークが魅力の浦田の守備力はアマチュアトップクラス。打撃面も大きく進化している 【写真提供:西尾典文】

浦田俊輔(九州産業大 4年 遊撃手 172cm/67kg 右投/左打)

【将来像】川崎宗則(元ソフトバンクなど)
軽快なショートの守備と高いミート力が川崎と重なる

【指名オススメ球団】ソフトバンク
今宮健太の後継者候補が必要なチーム事情から

【現時点のドラフト評価】★★★☆☆
上位指名の可能性あり

 今年の大学生野手の目玉と言えば明治大のショート宗山塁だが、それに次ぐショートとなると有力選手が少ない印象を受ける。そんな中でこの春に大きく評価を上げているのが九産大の浦田だ。海星(長崎)では下級生の頃からレギュラーで、2年夏には甲子園に出場。打順は8番だったが、当時からショートの守備は目立つ存在だった。九産大では2年秋からレギュラーに定着すると、4季連続でベストナインを受賞するなどリーグを代表する選手へと成長。昨年12月に行われた大学日本代表候補合宿にも選出され、今年春のリーグ戦でも12試合で20安打、1本塁打、9打点、8盗塁、打率.400という見事な成績を残してMVPに輝いた。

 迎えた大学選手権。初戦の福岡大との試合には多くの球団幹部も視察に訪れていたが、その前で浦田は強烈なアピールを見せる。まず大きな成長を感じさせたのがバッティングだ。大学日本代表候補合宿ではどうしても非力な印象が否めなかったが、この日は明らかにスイングが力強くなり、ヘッドスピードも打球も速くなっていたのだ。特にそれを証明したのが第1打席。フルカウントからの6球目、膝元へのスライダーを振り抜いた打球は鋭いライナーでファーストベースの右を抜けるファウルとなったが、その時のスイングと打球の速さは昨年までには見られないレベルのものだった。しかも狙い球を絞って振ったものではなく、追い込まれてからの変化球に対応してスイングしたというところにも技術の高さが表れている。また浦田のように小柄で脚力のあるタイプの選手はスピードを生かそうとしてどうしても走り打ちになることが多いが、浦田は決してそのようなことはなく、しっかり体を残して振り切れている。そして最終的には9球目の147キロの内角のストレートに振り負けることなく、センター前に弾き返して見せたのだ。この第1打席を見ただけで、非力なバッターという印象は完全に払拭された。

 続く第2打席、第3打席ではいずれも追い込まれてからの低めの変化球に対応してセンター前ヒットとしている。相手バッテリーも速いボールを弾き返したことで攻め方を変えてきていたが、ストライクからボールになる縦の変化球にも大きく崩されることなく、芯でとらえることができていた。リーグ戦で2季連続打率4割をマークしていることも、この打撃を見れば頷けるだろう。

 ショートの守備でもシートノックから一人だけ動きの違いが目立ち、試合でも好プレーを連発。打球に対する反応、左右と前後のフットワーク、捕球から送球への流れ、どれをとってもアマチュアではトップクラスだ。小柄でも深い位置からノーバウンドでファーストまで強いボールを投げられる肩の強さも備えており、さらにスピードがありながらもプレーに丁寧さがあるというのも持ち味である。

 攻守に大活躍の浦田だったが、一つだけ課題が見えたのが走塁だ。第1打席で出塁した後には盗塁を試みるもスタートが遅れて失敗し、また第3打席で出塁してサードまで進んだ後には浅いライトフライで本塁へ突入したがこれもアウトとなっている。脚力は素晴らしいものがあり、アピールしたいという気持ちの表れだったのかもしれないが、もう少し冷静な判断は必要になってくるだろう。

 この試合でふくらはぎを痛めて続く試合は代打での出場に終わり、大学日本代表候補合宿にも選出されていながら辞退となったが、福岡大戦で残したインパクトは強烈だったことは間違いない。視察したスカウト陣からも「友杉(篤輝・ロッテ)と比べても遜色ないのでは?」という声も聞かれた。秋に万全のプレーを見せることができれば、友杉のように上位指名でのプロ入りも見えてくるだろう。

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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