週刊ドラフトレポート(毎週木曜日更新)

【週刊ドラフトレポート#13】成長を続ける大学生有望株!スピード感あふれる遊撃手・浦田俊輔、静岡のドクターK・宮原駿介

西尾典文

「大学進学後に急成長。静岡学生リーグが誇るドクターK」

左の速球派として価値が高い宮原。今年に入っても着実に成長している 【写真提供:西尾典文】

宮原駿介(東海大静岡キャンパス 4年 投手 175cm/83kg 左投/左打)

【将来像】能見篤史(元阪神・オリックス)
鋭い腕の振りと躍動感あふれるフォームなどイメージが重なる部分が多い

【指名オススメ球団】オリックス
左のリリーフ投手が手薄で、左投手の絶対数も少ないチーム事情から

【現時点のドラフト評価】★★☆☆☆
支配下での指名濃厚

 昨年は杉田健(日大国際関係学部→広島育成1位)、佐藤啓介(静岡大→広島育成2位)と2人の選手がドラフト指名を受けた静岡学生リーグ。全国的にはあまり知名度が高くないリーグだが、そんな中で今年プロのスカウト陣から高い注目を集めているのが東海大静岡キャンパスのエース、宮原だ。静岡学園時代は下級生の頃から主戦だったが、目立った実績は残しておらず、県内でも名前の知られた選手ではなかったという。大学でも2年までリーグ戦での登板はほとんどなかったが、昨年春に「左で140キロ台中盤を投げるピッチャーがいるらしい」という話を関係者から聞いたのが宮原を知ったきっかけだった。

 実際にピッチングを見たのは昨年春に行われた中部学院大と皇学館大との東海地区大学野球の代表決定戦。この試合には村田怜音(皇学館大→西武6位)が出場しているということもあって、スタンドには多くのスカウトが視察に訪れていた。宮原は中部学院大戦ではリリーフで2/3回、皇学館大戦でもリリーフで5回を投げていずれも無失点と好投。ストレートの最速は145キロをマークしている。まだばらつきはあったものの、確かに良い時のボールは評判通りで、翌年の候補になりそうな印象を受けた。

 次に宮原を見たのは昨年12月に松山で行われた大学日本代表候補合宿の紅白戦。この試合で宮原は最速147キロをマークしたものの、甘く入ったボールを打ち込まれて1回2/3で5失点というほろ苦い“代表候補デビュー”となった。この時は春に比べてボールの力はアップしていたが、力みが目立ち、打者から見るとタイミングが取りやすいピッチャーという印象が残っている。そんな宮原だったが、この春はさらに成長。リーグ戦では優勝こそ逃したものの、54回を投げて79奪三振という圧巻の成績を残し、再び大学日本代表候補に選出されたのだ。

 そして6月22日に行われた合宿での紅白戦。第3試合に登板した宮原は2回を被安打1、奪三振2で無失点の好投を見せ、見事に昨年12月のリベンジを果たして見せた。ストレートの最速は昨年12月と同じ147キロ(筆者のスピードガンによる計測)だったが、昨年よりも明らかに上半身の力を抜いて投げることができており、球筋が安定した印象を受ける。逆に下半身の力強さと体重移動のスピードはアップしており、フォームの躍動感も申し分ない。また175cmと投手としては上背がある方ではないが、上手く肘をたたんで高い位置から腕が振れており、ボールの角度にも素晴らしいものがあった。ストレートはほとんどが145キロを超え、アベレージのスピードも確実にアップしている。また打者の手元で鋭く変化するスライダー、カットボールも一級品で、ドラフト1位候補の渡部聖弥(大阪商業大4年)に対しても外角のカットボールで力のないファーストファウルフライに打ちとっている。この渡部を打ちとったボールのように、右打者の外角に狙ってストレートも変化球も投げられる制球力も光った。

 残念ながら24日に発表された大学日本代表24人のメンバーには選ばれなかったが、合宿の紅白戦で登板した左ピッチャーでは最も内容が良く、スカウト陣の間からも落選に対して疑問の声があがっていたほどだった。昨年春、冬、そして今年春と着実にレベルアップしているというのも大きなプラス要因と言えるだろう。秋のリーグ戦では大学日本代表候補合宿で得た自信を生かして、さらに成長した姿を見せてくれることを期待したい。

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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