【週刊ドラフトレポート#05】競合濃厚!大学史上屈指の左腕・金丸夢斗、MAX157キロの剛球右腕・中村優斗
今回紹介するのは、ともに3月の侍ジャパン強化試合にも召集された金丸夢斗(関西大)と中村優斗(愛知工業大)の大学生投手2人。「ドラフトの目玉」と高く評価されているポイント、現在の状況などをお伝えします。
(企画編集:Timely!編集部)
*現時点のレベルバロメーター:
★★★★★5:複数球団の1位入札濃厚
★★★★☆4:1位指名の可能性あり
★★★☆☆3:2位以上の可能性あり
★★☆☆☆2:支配下での指名濃厚
★☆☆☆☆1:育成であれば指名濃厚
「この春も圧巻のピッチング披露!大学投手史上、屈指の総合力」
金丸は1年秋から主戦となり、学年が上がるにつれて凄みを増している 【写真提供:西尾典文】
【将来像】阪神時代の江夏豊
制球力と勝負所の球威は圧倒的。プロでも先発で長く活躍できる可能性が高い
【指名オススメ球団】DeNA
メジャーに移籍した今永昇太の穴を埋めるのに最適
【現時点のドラフト評価】★★★★★(複数球団の1位入札濃厚)
2024年ドラフトのナンバーワン投手と言えばやはり金丸になるだろう。神港橘時代は3年時にコロナ禍で公式戦が中止になったこともあって、そこまで名前を知られる存在ではなかったが、大学進学を決めた後に行われた夏の兵庫県独自大会を見たNPB球団のスカウトはそのピッチングに驚いたという逸話もある。大学では1年秋から主戦となると、昨年秋までのリーグ戦通算成績は19勝2敗。近年の関西学生野球の投手では東克樹(立命館大→2017年DeNA1位)も4年間の通算防御率が0点台と安定感は抜群だったが、それでも19勝9敗であり、いかに金丸が“負けない投手”として突出した存在かが分かるだろう。
この春は開幕戦の京都大戦でいきなり敗れてリーグ戦の連勝は18でストップしたが、スコアは0対1で唯一の失点も味方のエラーによるもので、8回を自責点0、11奪三振で完投という見事な内容だった。筆者は4月20日に行われた立命館大戦に足を運んだが、その試合でも10奪三振完封。雨天順延を挟んだ翌々日の試合では7回からリリーフで登板し、3イニングをパーフェクト、3奪三振の好投で試合を締めた。
これまで大学日本代表候補合宿の紅白戦も含めて6度金丸の投球を現地で見ているが、いつ見ても驚かされるのがその高い制球力である。特にストレートに関しては力を入れたボールが狙ったところよりも高くなることはあっても、左右を投げ間違えるいわゆる“逆球”はほとんど見られない。それでいながらストレートはコンスタントに140キロ台後半をマークし、勝負どころでは150キロを超えることも珍しくない。緻密さと球威をここまで高いレベルで備えている大学生投手は過去にもほとんどいなかったのではないだろうか。
完封勝利を飾った立命館大戦でもうひとつ感じられたのがフォームの完成度とボールの質の高さだ。球持ちが長く、腕を振ってからリリースされるように見えるため、打者はどうしても差し込まれることが多い。また低めのストレートの勢いが落ちることなくそのままミットにおさまり、見逃し三振というケースも目立った。同じ関西学生野球出身のサウスポーでは近畿大時代の大隣憲司(元ソフトバンク・ロッテ)も低めのストレートの勢いが素晴らしかったが、金丸のボールはそれを上回っている印象だ。
大学生の場合、下級生の時にブレイクすると相手からのマークも厳しくなって成績を落とすことも珍しくない。しかし金丸は学年が上がるにつれて凄みを増しており、これまで11度記録した二桁奪三振のうち10度が3年春以降ということもそれを表している(4月22日終了時点)。対戦校にいくら研究されても、それを上回るピッチングを見せ続けているのは見事という他ない。
チームは開幕週の京都大戦に連敗して苦しいスタートとなったが、立命館大戦で連勝を飾り、まだまだ優勝のチャンスは残されている。過去3年間出場を逃してきた大学選手権に向けて、この後の金丸のピッチングにもぜひ注目してもらいたい。