ドジャースキャンプレポート2024(毎週木曜日更新)

大谷フィーバーに広報はピリピリ、現場はカオス 掟破り“出禁”になったメディアも【ドジャースキャンプ取材秘話】

丹羽政善

3月13日のマリナーズ戦の前、ウォーミングアップをする大谷翔平。ドジャースがキャンプインした2月9日から、彼は常に話題の中心だった 【Photo by Chris Coduto/Getty Images】

 MLBでは、フロリダ州で行われるキャンプを俗にグレープフルーツリーグ、アリゾナ州ではカクタス(サボテン)リーグと呼ぶ。

 フロリダ州では様々なフルーツが生産されているので、グレープフルーツだけが有名というわけではないが、アリゾナ州といえばサボテンである。それが由来だ。

 ただ、ドジャースのキャンプ施設にはグレープフルーツの木があり、これが美味しい。まだ2月半ば、セキュリティから「美味しいから、食べてみな」と渡されたものを食べてみると本当に甘く、絞れば果汁たっぷりのグレープフルーツジュースになった。

 以来、時間があれば、美味しそうなのを見つけるのが習慣になった。


 さて、そんなキャンプの日々もようやく幕を閉じ、MLBは3月28日(日本時間29日)に開幕する。

 ドジャースは3月13日にアリゾナ州でのキャンプを打ち上げ、14日に韓国へ移動。開幕戦を行ったあと、カリフォルニア州に戻ってエンゼルスと3試合をこなし、“第2開幕”を迎える。

 それにしても2月9日のキャンプインから約7週間、これほど様々なサプライズが続いたキャンプ取材は記憶にない。もちろん、直近だからということもあるが、それは主にフィールド外で起きたことでもあった。

 ドジャースキャンプレポート最終回は、そんな取材の舞台裏を紹介したい。

選手の数を上回るメディア

2月9日のキャンプインを迎え、取材に応じる大谷。報道陣が大挙して押し寄せた 【Photo by Ronald Martinez/Getty Images】

 まず、キャンプの幕開けと同時に見た取材現場はカオス。ドジャースのクラブハウスには選手の数を遥かに超えるメディアが押しかけ、その半分以上は日本メディアだったが、テレビ局は番組ごとにクルーを派遣するほど。規制されるだろうなと感じていたら、2月15日には、「テレビ局は1社2人まで」とクラブハウスへの入室が制限された。選手から苦情が来たことは容易に想像がつく。もっとも、その前から選手らの多くは、クラブハウスがメディアに開放されている時間には姿を見せなくなっていた。

 そんな序盤の混乱期、とある韓国メディアが一線を越え、出入り禁止になった。

 大谷翔平がクラブハウスにいるとき、その様子を撮影。クラブハウスでカメラを回してもいいのは選手が取材に応じているときだけで、中の様子や選手がくつろいでいるところを許可なく撮影することは禁じられている。

 ドジャースの広報が動画の削除を求めたが、その場では従うふりをしながらSNSにアップ。以降、ドジャースのキャンプ施設に立ち入ることはできなくなった。

 そんなこともあってか、大谷取材に関しては、ドジャース広報がピリピリ。大谷がクラブハウスにいて、さらにクラブハウスがメディアに開放されている時間は、彼の横に必ず広報がいて、挨拶に行こうとするだけで制止されるほど過剰に反応した。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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