MLB戦力ランキング2024春

記事

 アメリカ本国でのMLB開幕戦(3月28日)まで、残り2週間を切った。ナ・リーグはドジャースとパドレスが3月20日、他球団に先駆けて韓国で開幕シリーズを行う。そこで、今回はナ・リーグ15球団の戦力を「打力」「機動力」「投手力」「守備力」「選手層」「経験値」の6つに分けて、100点満点で評価。さらに、7つ目の項目として「補強」の項目を設け、加点/減点方式で評価した。ナ・リーグの1位は一体、どの球団だろうか?
(企画監修・解説:村田洋輔)

※上位と解説はスポーツナビアプリでご覧いただけます。また、チーム名の後ろにある(東)(中)(西)は地区名を表しています。

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解説

3月12日に行われたジャイアンツ戦で、左越えに2ランを放つドジャースの大谷翔平。一挙手一投足に注目が集まる【写真は共同】

 昨季のナ・リーグはブレーブスとドジャースが100勝以上を挙げたものの、ポストシーズンを勝ち上がってリーグ王者となったのは、レギュラーシーズン84勝でワイルドカード3番手から勝ち上がったダイヤモンドバックスだった。中地区王者のブリュワーズと西地区王者のドジャースをいずれもスイープで下し、フィリーズとのリーグ優勝決定シリーズは第7戦までもつれる熱戦となったものの、4勝3敗で制して22年ぶり2度目のリーグ優勝。残念ながらワールドシリーズは1勝4敗でレンジャーズに敗れたが、若手が多いチームの勢いを感じさせる見事な快進撃だった。

 ダイヤモンドバックスがリーグ連覇を狙う今季は、やはり戦力的にはブレーブスとドジャースが頭一つ抜けている。昨季同様、ナ・リーグはこの2チームを中心に展開されていくことになるだろう。

 東地区は6連覇中のブレーブスが投打ともほぼ盤石の布陣。昨季は歴代最多タイのシーズン307本塁打を放ち、リーグトップの947得点を叩き出した重量打線が投手陣を強力援護した。打線は正左翼手のエディ・ロサリオが抜け、マリナーズからトレードでジャレド・ケリニックを獲得したのが目立つ程度で、戦力に大きな変化はない。史上初の40本塁打&70盗塁を達成したロナルド・アクーニャJr.や本塁打と打点の二冠に輝いたマット・オルソンなど、豪華戦力が揃っている。元有望株のケリニックが期待に応えられなかった場合に備え、元打点王のアダム・デュバルを呼び戻すなど、補強にも隙がない。

 投手陣は20勝&281奪三振で二冠を獲得したスペンサー・ストライダーが、今季も絶対的エースとして君臨。故障からの完全復活を目指すマックス・フリード、大ベテランのチャーリー・モートン、レッドソックスから獲得したクリス・セールで4番手までが固まり、5番手は昨季12勝を挙げたブライス・エルダー、先発転向を目指すレイナルド・ロペスらの争いとなっている。ブルペンはクローザーのライセル・イグレシアスを中心に、質・量とも充実しており、正左翼手と先発5番手さえ確立できれば、全く隙のない強力な布陣が完成する。ここ2年はポストシーズンでフィリーズに敗れているが、3年ぶりのワールドシリーズ制覇を狙える戦力が整ったと言っていいだろう。

 リーグ2連覇まであと一歩に迫ったフィリーズは、FAとなったアーロン・ノラの引き留めに成功し、今季終了後にFAを控えていたザック・ウィーラーとも契約延長。先発ローテーションを支える2本柱はやる気満々だ。今オフは大きな戦力補強がなかったものの、トミー・ジョン手術の影響で昨季は5月からの参戦となったブライス・ハーパーが今季は開幕から出場できるため、実質的な戦力アップと言える。

 また、昨季はハーパーがDHでしか出場できなかった期間にカイル・シュワバーが左翼で拙守を続け、大きくチームの足を引っ張っていたが、今季は開幕からハーパーが一塁の守備に就き、シュワバーはDHに専念できるため、守備力も大きく向上する。確固たるクローザーが不在である点は気になるが、今季も東地区でブレーブスに対抗する1番手であることは間違いない。

 マーリンズは得失点差がマイナスだったように、昨季の84勝78敗という成績はやや出来過ぎの感があるだけに、真価を問われるシーズンとなる。エースのサンディ・アルカンタラがトミー・ジョン手術で今季全休となり、大砲ホルヘ・ソレアもチームを去ったが、現有戦力の成長で彼らの穴をカバーすることはできるだろうか。

 メッツは大失敗の2023年を終え、今季は来季以降に備えた「つなぎのシーズン」という位置付け。上手く歯車が噛み合えば、上位進出を狙える戦力ではあるものの、エースとして期待された千賀滉大の出遅れは痛い。ブルペンに加わった藤浪晋太郎のメジャー2年目にも注目したい。ワールドシリーズ制覇のあと、4年連続地区最下位のナショナルズは投打とも戦力不足が明白。今季も若手に経験を積ませる我慢のシーズンとなりそうだ。

3年目の鈴木誠也にブレイクの予感

3月14日に行われたアスレチックス戦の5回、二塁打を放ち一塁へ駆けるカブス・鈴木誠也。好調をキープしている【写真は共同】

 中地区は全チームに上位進出の可能性があり、大混戦が予想される。昨季王者のブリュワーズは2021年サイ・ヤング賞のエース右腕コービン・バーンズをトレードで放出して戦力ダウン。さらに守護神デビン・ウィリアムズが背中の疲労骨折で長期離脱することが決まった。ただし、伸びしろの多い若手が多いチームでもあり、大注目の有望株ジャクソン・チョウリオを筆頭に、サル・フレリック、デイトン・ホールら若手が期待以上の活躍を見せれば、今季も上位争いに絡んでくるかもしれない。

 ブリュワーズの戦力ダウンは、昨季惜しくもポストシーズン進出を逃したカブスにとって大きなチャンスとなる。コディ・ベリンジャーと再契約して打線の戦力ダウンを回避し、メジャー3年目を迎える鈴木誠也にはブレイクの予感が。チームの弱点だったブルペンには経験豊富なエクトル・ネリスを加えており、オープン戦で奪三振ショーを展開している今永昇太も先発ローテーションの一角として期待は大きい。同地区ライバルのブリュワーズから名将クレイグ・カウンセルを引き抜いており、戦力的には地区内でトップだろう。

 レッズは怪物エリー・デラクルーズに代表されるように、若手への依存度が極めて大きいチーム構成となっている。そのため、若手の活躍次第では昨季の82勝80敗を大きく上回る成績を残す可能性があり、その一方で思わぬ低迷を強いられる可能性もある。今季最も予想が難しいチームの1つだが、無限の可能性を秘めた面白いチームとも言える。

 パイレーツにもデラクルーズと似たタイプの「身体能力お化け」であるオニール・クルーズ、昨年のドラフト全体1位指名のポール・スキーンズ、開幕ローテーション入りをうかがうジャレッド・ジョーンズなど、楽しみな若手が多い。チームの象徴であるアンドルー・マカチェンは15年以来のポストシーズン進出に強い意欲を示しており、彼のリーダーシップに若手が呼応すれば、予想外の快進撃を見せてくれるかもしれない。

 昨季まさかの最下位に沈んだ名門カージナルスは、もともと地力のあるチームであり、ポール・ゴールドシュミット、ノーラン・アレナド、ウィルソン・コントレラスといったスター野手は健在。ソニー・グレイ、カイル・ギブソン、ランス・リンのベテラン3投手を獲得して先発ローテーションを立て直しており、投打の主力がしっかり実力を発揮できれば、前年最下位からの地区優勝というV字回復を成し遂げても決して不思議ではない。

西地区を圧倒するドジャース

ドジャースの山本由伸。3月20日から韓国で行われるパドレスとの開幕シリーズでは、21日の2戦目に先発登板する【写真は共同】

 西地区は昨季100勝を挙げたチームに10年7億ドルで大谷翔平、12年3億2500万ドルで山本由伸を加えたドジャースが戦力・注目度ともダントツ。タイラー・グラスノー、テオスカー・ヘルナンデス、ジェームズ・パクストンと日本人2人以外にも必要な戦力を的確に補強しており、ブレーブスに匹敵する豪華戦力が形成された。

 懸念材料はフルシーズンの稼働を確実に計算できる先発投手が不在であること。山本はメジャーでの実績がなく、グラスノーとパクストンは故障が非常に多い選手として知られる。トミー・ジョン手術明けのウォーカー・ビューラーは慎重な起用になることが予想され、チームの象徴であるクレイトン・カーショーは左肩の手術で夏まで復帰できない。とはいえ、昨季も135イニング以上を投げた投手が皆無という状況でありながらシーズン100勝を挙げており、さほど大きな問題ではないのかもしれない。

 もう1つ気になるのは、正二塁手を務める予定だったムーキー・ベッツがチーム事情で正遊撃手として起用されることになり、守備の負担が増していること。不動のリードオフマンとして強力打線を牽引する存在であり、ベッツの打撃成績が大きく低下したり、故障で離脱したりするような事態だけは避けたいところだ。ベッツ、大谷、フレディ・フリーマンというMVPトリオが3人合計でどんな数字を残すかという点にも注目だ。

 ドジャースを追うのは、的確な補強で戦力アップに成功した昨季のリーグ王者ダイヤモンドバックスと、年俸総額を大幅に削減しながらも、依然として投打に多くのスター選手を抱えるパドレスだろう。ダイヤモンドバックスはザック・ゲーレンとメリル・ケリーの2本柱に次ぐ先発3番手として、エデュアルド・ロドリゲスを獲得。昨年のポストシーズンで好投したブランドン・ファートもおり、先発4番手までの顔ぶれが固まった。昨季途中に獲得したポール・シーウォルドが開幕からクローザーとしてフル稼働できるのも大きい。また、打線は弱点だった三塁にユジニオ・スアレス、DHにはジョク・ピダーソンとランデル・グリチェクを獲得。伸びしろを残した若手も多く、今季も楽しみなチームだ。

 パドレスはブレイク・スネル、ジョシュ・ヘイダー、フアン・ソトといった主力選手を失ったが、マニー・マチャド、ダルビッシュ有、ザンダー・ボガーツ、フェルナンド・タティスJr.など、依然として多くのスター選手を抱えており、トレードで22年サイ・ヤング賞投票2位のディラン・シースの獲得にも成功。松井裕樹らを獲得してブルペンも整備した。昨季は得失点差が大幅プラスだったにもかかわらず、82勝80敗でポストシーズン進出を逃したが、投打のスター選手が実力を発揮すれば、14年ぶりのシーズン90勝は現実的な目標と言えるだろう。

 今季もスター選手の獲得に失敗したジャイアンツは、ホルヘ・ソレア、マット・チャプマン、イ・ジョンフらを獲得して戦力を整えたが、上位3チームと比べると見劣りする。エースのローガン・ウェブに次ぐ先発投手を早めに確立したいところだ。有望株左腕カイル・ハリソンのブレイクに期待がかかる。2年連続最下位のロッキーズは、残念ながら投打ともほとんど見るべきものがないチーム。「打者天国」のクアーズ・フィールドを本拠地としながら貧打に喘ぐシーズンが続いており、今季も最下位に沈む可能性が高い。

 日本時間3月20~21日には韓国・ソウルでドジャース対パドレスの開幕シリーズ2連戦が行われ、ドジャースはグラスノーと山本、パドレスはダルビッシュとジョー・マスグローブが先発する。今季のドジャースはどれくらい強いのか。パドレスは果たしてドジャースに対抗できるのか。今季のナ・リーグ西地区の行方を占う試金石となるかもしれない。

(企画構成:スリーライト)

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