パリ五輪代表も集結のTリーグ 2023-2024シーズンのクライマックスを占う

月刊『卓球王国』

木下マイスター東京のポイントゲッターとなっているのが大島(左)と篠塚(右)だ 【写真は共同/写真:松尾/アフロスポーツ】

 現在、韓国・釜山で開催されている世界選手権団体戦。すでに日本男女がベスト8以上に進出したチームに与えられるパリ五輪団体戦出場権を獲得するなど盛り上がりを見せているが、大会閉幕後には日本でも国内最高峰の団体戦、Tリーグがシーズン佳境を迎える。レギュラーシーズン(RS)の9割ほどを消化し、プレーオフ(PO)進出チーム(RS3位以上)も男子の1枠を除き確定。POは3月末に行われ、6シーズン目の年間王者が決定する。ここではクライマックスを迎えるTリーグ2023-2024シーズン、優勝争いの行方を展望していく。

男子は木下と琉球の2強がV争いをリード。3位争いは終盤まで白熱

 男子は今シーズンより静岡ジェードと金沢ポートの2チームが新たに参入し、6チーム編成に。昨シーズンまではRS1位と2位がPOで対戦して年間王者を決定していたが、チーム数の増加により、POへの出場枠も拡大。女子と同じくRS3位までがPOに進出し、RS2位と3位によるPOセミファイナルを行い、勝者がRS1位とPOファイナルで対戦する方式となった。
 世界選手権による中断期間の前に、木下マイスター東京と琉球アスティーダのPO進出が確定。男子はTリーグ創設からの過去5シーズン、木下マイスター東京が3度、琉球アスティーダが2度年間王者に輝いており、この2チームでタイトルを分け合ってきた。両チームは昨シーズンのPOファイナルでも対戦し、ビクトリーマッチ(マッチカウント2-2となった場合に行われる1ゲーム先取の試合)までもつれた末に琉球アスティーダが王座奪還を果たしている。

 現在首位を走る木下マイスター東京は琉球アスティーダとの開幕戦にこそ敗れたが、そこから5連勝と好調なスタート。以降も3連勝、6連勝を記録して順調に勝ち点を積み上げてきた。木下マイスター東京は今回の世界選手権日本代表の戸上隼輔、篠塚大登、松島輝空の3人に、2021年全日本選手権優勝の及川瑞基、元日本代表の大島祐哉、さらに世界ランク8位のリン ユンジュ(チャイニーズタイペイ)と豪華な顔ぶれが揃うスター軍団。男子日本代表監督としてリオ、東京と五輪2大会で日本をメダル獲得に導いた倉嶋洋介監督がチームを率いる。
 多くの実力者を擁し、どこからでも得点を狙える木下マイスター東京だが、ダブルスでの勝率の高さも強さの要因。1番にダブルスを行うTリーグの試合方式ではダブルスの勝敗がチームの勝敗に大きく影響を与える。その中で木下マイスター東京はここまでRS19試合でダブルス13勝6敗と大きく勝ち越し。大島/篠塚が8勝1敗でトップの成績を残しているが、及川/松島、戸上/篠塚、戸上/松島など、相手によってさまざまなペアリングで得点が期待でき、相手によってオーダーを組み替えられるのも強みだ。

リーグトップタイの14勝と今シーズンも強さを見せる張本 【写真は共同】

 昨シーズンの王者・琉球アスティーダも開幕から着実に勝ち星を積み重ねてPOへの切符を手にした。昨シーズンから琉球アスティーダに加わり、チームを優勝へと導いた張本智和が今シーズンもエースとして君臨。リオ五輪団体戦で銀メダルを獲得した吉村真晴ら実力あるメンバーに、今シーズンはジョ シンコウとシュウ ユウ、2人の元中国代表が加わったことで戦力はさらに厚みを増した。
 木下マイスター東京に比べるとダブルスの勝率は低いが、張本がリーグトップタイのシングルス14勝、吉村とジョ シンコウが同4位タイの10勝とシングルスで圧倒的な得点力を誇っている。また、シュウ ユウもシングルスは5勝だが、ダブルスでの起用も多く、フル回転でチームを支える存。また、今シーズンはビクトリーマッチでの勝利が8試合と勝負強さも光る。
 木下マイスター東京と琉球アスティーダのRSでの対戦は3勝1敗で琉球アスティーダが勝ち越し。しかし、4試合すべてがビクトリーマッチに突入して3-2で決着と実力は互角だ。POファイナルでの対戦となれば、白熱した好ゲームとなることは間違いない。

 そして、男子は静岡ジェード、岡山リベッツ、金沢ポートの3チームによる残り1枠のPO進出争い熾烈。2月12日の試合を終えた時点では静岡ジェードが3位、岡山リベッツが4位、金沢ポートが5位。静岡ジェードはPO進出圏内の3位にいるが、RS全日程を消化しており、このまま3位を維持してPO進出を果たせるかどうかは岡山リベッツと金沢ポートの結果に委ねられている。一方、勝ち点30の静岡ジェードを勝ち点29で追う岡山リベッツは残り2試合を残しており、自力で逆転してのPO進出のチャンスも大きい。
 金沢ポートは勝ち点22と上位2チームと差があるが、残り3試合と最も試合数が多い。3位浮上には勝利することはもちろん、岡山リベッツの結果も関係してくるが、大逆転でのPO進出に望みをつないでいる。これまでもRS終盤までPO進出をかけて熱戦が展開されたシーズンは多いが、今季も最後まで目の離せない展開となりそうだ。

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