データで見る12球団の若手有望株セ・リーグ編 今季飛躍が期待される逸材をチェック!

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ファームでもトップクラスのスピードボーラーに注目

巨人:2023年二軍投手成績 【データスタジアム株式会社】

 昨季は投手陣のやり繰りに苦労した巨人。阿部慎之助新監督が就任し、若手にも多くのチャンスが巡ってくることが予想される中で、二軍の投手陣には有望株が多い。ルーキーイヤーにして完成度の高いピッチングを披露した松井颯は、イースタン・リーグで最多勝を受賞。井上温大や育成の京本眞なども、先発として数多く起用されて好成績をマークしている。特に井上は12球団の若手の中でもトップクラスの成績を収めており、開幕から一軍で活躍してもおかしくない存在だ。

 一方、シーズン中は苦戦が続いたのが堀田賢慎である。二軍では防御率6点台だったが、オフに参加した台湾のウインターリーグでは4試合に登板して防御率1.40を記録。最速157キロを計測するなど能力の一端を示し、今春のキャンプでは一軍メンバーに選ばれるなどチームでの期待は大きい。最後に、公式戦での実績はほぼないが、高卒2年目の田村朋輝を取り上げたい。田村は昨年7月の三軍戦で最速156キロを計測した報道がされるなど、スピードボールを武器としている育成右腕。9月中旬の公式戦デビューでは平均球速148.5キロを記録しており、この平均球速は二軍のルーキーの中ではトップの数字だった(一軍では中日・松山晋也ら4名が田村を上回る平均球速を記録)。田村が投げたのはわずか3イニングと参考程度ではあるものの、球速に関しては非凡なものを示しており、今後の成長に期待がかかる。

巨人:2023年二軍野手成績 【データスタジアム株式会社】

 外野陣は激しいレギュラー争いが予想されるが、その中で一軍定着が期待される若手選手を取り上げたい。岡田悠希は12本塁打を放った長打力に加えて、センターの守備指標でも優れた数値を記録。攻守両面でポテンシャルの高さを示しており、三振の多さを克服できれば、レギュラーの座に手が届きそうな状況だ。次に萩尾匡也は、5月に月間打率.473を記録してファーム月間MVP賞に表彰されるなど、ルーキーイヤーに好成績を記録した。オフには台湾のウインターリーグでOPS.950をマークしており、一軍での台頭が期待されるところだ。

 そして、22年ドラフト1位の浅野翔吾も好成績を残した。一般的に高卒1年目の野手が二軍平均レベルの成績を残すことは難しい。浅野も4月終了時点でOPS.557とプロの壁にぶつかったが、5月以降はOPS.811と早々にプロ野球のレベルに適応を見せた。5月以降は大きく低迷する時期がなく成績を向上させており、今季中に一軍定着しても不思議ではない成長曲線を描いている。ここまで外野手の話題が続いたが、最後に捕手の有望株を紹介したい。高卒5年目を迎える山瀬慎之助は四球を獲得する能力に優れ、出塁率.402と特筆すべき成績を残した。盗塁阻止率.429を記録する強肩も魅力で、今後は大城卓三に続く正捕手候補として期待される。

ドラ1捕手・松尾の2年目は?

DeNA:2023年二軍投手成績 【データスタジアム株式会社】

 DeNAにはリリーフとして期待される若手投手が多いのが特徴だ。二軍でハイレベルな成績を残した宮城滝太は、一軍でも11試合に登板して3ホールドを記録。今季は勝ちパターンとしての起用も増えるかもしれない。宮城を上回る球速と奪三振率を記録した中川虎大も一軍で9試合に登板。今季は年間を通して一軍に帯同したいところだ。3年目を迎える徳山壮磨は、昨季に急成長を見せた。9月には平均球速が148キロを超えるなどパワーアップを遂げており、7月以降の16試合では防御率0.95をマークした。オフに参加したオーストラリアのリーグでは10イニングで14三振を奪っており、課題である奪三振能力で成長の兆しを見せている。

 また、オリックスからアンダースローの中川颯が加入した。ストレートの平均球速は130キロ前半だが、多くの空振りを奪っており奪三振能力に優れたパワーピッチャーである。二軍では非の打ち所がない成績を残しており、環境の変化をきっかけにブレークする可能性はあるだろう。最後に紹介するのは、先発として期待されるサイド右腕の深沢鳳介だ。高卒2年目の昨季は精密なコントロールを武器に、チームトップタイの6勝を挙げた。チームは今永昇太の退団やバウアーの去就が不明な状況であるため、一軍のローテーションに割って入ることが期待される。

DeNA:2023年二軍野手成績 【データスタジアム株式会社】

 野手陣では、ドラフト1位キャッチャー・松尾汐恩が1年目から目覚ましい活躍を見せた。チームトップタイの7本塁打を放った長打力に加え、三振割合はリーグで最上位の数値をマーク。高卒ルーキーの野手が二軍の平均以上の成績を残すのは難しく、さらにポジションが捕手となると過去10年間でも数名しかいない。104試合に出場したフィジカルの強さも含めて、プロ入り前の評価に違わないポテンシャルを示した。

 また、チームの課題であるショートには2人の若手が控えている。5年目の森敬斗は首脳陣からも期待されており、昨季は一軍の開幕ショートを勝ち取ったが、打力は二軍平均レベルにとどまっている。俊足と広い守備範囲が武器なだけに、課題の打撃で殻をかぶることができるとレギュラーも見えてくる状況だ。対して、パンチ力のある打撃を売りとするのが知野直人だ。待球型の打撃スタイルであるため四球割合が高く、出塁率.370を記録している。そして、外野手では梶原昂希が攻守で好成績を収めた。打率.338をマークした打撃に、守備では外野3ポジションで平均を上回る守備範囲を記録している。ただし、打席の内容は粗削りで、ボールゾーンの見極めやバットコントロールには課題を抱える。高い身体能力が魅力のアスリート型なだけに、打席でのアプローチ面で成長があるかを注視していきたい存在だ。

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日本で唯一のスポーツデータ専門会社。 野球、サッカー、ラグビー等の試合データ分析・配信、ソフト開発などを手掛ける。

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