4シーム被打率「.714→.143」に劇的な改善 山本由伸の好投支える最年長捕手の老獪なリードに迫る
山本由伸とオースティン・バーンズ 【Photo by Norm Hall/Getty Images】
山本由伸(ドジャース)の真っすぐが打たれなくなってきた。左の数字は2試合で7失点(自責点6)した4月12日(対パドレス)と4月19日(対メッツ)の右打者に対する被打率。右は無失点だった4月25日(対ナショナルズ)と5月1日(対Dバックス)の被打率である。
4.68 vs. 0.00
そしてこちらは、前者がウィル・スミスとバッテリーを組んだときの山本の防御率。後者はオースティン・バーンズが先発マスクを被ったときの山本の防御率だ。すでに紹介した被打率のデータとリンクしている。
フレーミングやブロッキングのデータなどでは2人に極端な差がみられない。しかし、クレイトン・カーショウのパーソナルキャッチャーでもあるバーンズとスミスでは、配球が異なる。
もちろん、まだサンプルが少なく、攻め方は相手チーム/打者によるので、一概にはこうだと断定できないが、スミスがマスクを被った4月12日、4月19日と、バーンズがスタメン出場した4月25日、5月1日の2試合ずつを比較すると、以下のような結果になった。
ウィル・スミスの配球(左図:対右打者、右図:対左打者)
【参照:Baseball Savant】
【参照:Baseball Savant】
オースティン・バーンズの配球(左図:対右打者、右図:対左打者)
【参照:Baseball Savant】
【参照:Baseball Savant】
これをカウント別に見ていくと、さらにその違いが分かる。
スミスとバーンズのカウント別配球(左図:スミス、右図:バーンズ)
【参照:Baseball Savant】
1-1でも組み立てが異なる。1-1の場合、2-1になるか1-2になるかで、その後の被打率に大きな違いがでる大事なカウントだが、そこでスミスはスプリットが45%程度。カーブが30%程度で、2球種で75%に達する。バーンズの方は3球種がほぼ同じバランス。カッターが少し加わる。
スミスは山本のスプリットを信頼しているのか。あるいは、4シームを信頼していないのか。おそらく答えは後者。スミスがマスクを被った4月12日と4月19日、山本の4シームの被打率は.429。平均打球初速は97.8マイルで、ほとんどがハードヒットだった。
山本とウィル・スミス 【Photo by Harry How/Getty Images】
「とはいえ、ある程度は投げなくては」と、この試合の解説をしていたオーレル・ハーシュハイザー。ドジャースに所属していた1988年に59イニング連続無失点を記録した彼に、2イニングで1球しか真っ直ぐを投げなかったことをどう思うか聞いたところ、最初は「ありえない」と信じなかった。データを見せると、「本当だなぁ」と首をひねった。