ヴェルディの背番号10を背負う見木友哉 移籍の背景、監督への思い、悲願のJ1への決意

上岡真里江

16年ぶりにJ1舞台に戻ってきた東京V。新加入の見木が背番号10を背負う 【(C)TOKYO VERDY】

 2月25日、2024明治安田J1リーグ開幕節で東京ヴェルディは横浜F・マリノスと国立競技場で対戦する。ヴェルディにとっては16年ぶりとなるJ1復帰シーズン、そして1993年5月15日のJリーグ開幕カードの再現となる開幕戦を前に選手たちの思いとは? 今季、千葉から加入して栄光の背番号10を背負うMF見木友哉に話を聞いた。

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昇格プレーオフ直後のオファーを受けて

――今季から東京ヴェルディへ加入しました。移籍の経緯、決断理由を聞かせてください。

見木 まずは、ジェフユナイテッド市原・千葉でやりきったという思いが強かったのと、去年の段階で「今年ジェフでJ1に上がれなかったら、J1に挑戦しよう」と決めていました。その中で、東京ヴェルディが清水エスパルスとの『J1昇格プレーオフ決勝』を戦って、3日後ぐらいにすぐにオファーをくれて。その時に城福浩監督からの評価を聞いたり、江尻篤彦強化部長と話したりした中で、「自分を一番評価してくれるチームだな」と思っていたので、早い段階で決断しました。

――「ジェフでやりきった」と言い切れるというのは、本当にすごいことだと思います。あらためて、ジェフで過ごした4年間(特別指定選手時代を含めると5年)は、見木選手にとってはどのような時間でしたか?

見木 プロ生活をスタートさせてくれたチームですし、今後どのチームに行っても、特別なチームであることは間違いありません。1年目はそれほどスタメンでは出られなかったですが、2年目、3年目、4年目と、ほとんどフル稼働できて、その中で4年目が一番昇格する可能性がありました。2年目、3年目はなかなか難しい順位ではあったのですが、去年は小林慶行監督の下で、サッカー的にも魅力的でしたし、終盤にかけては7連勝ができたり、フクアリでファン・サポーターとともに一体感を強く感じられることも多かったので、やっぱり昇格したかったです。ただ、結果として昇格できなかった中でも、個人としてはやりきったという思いは強かったです。

――昇格を阻んだ相手が東京Vでした。移籍先を決めるにあたり、「あの東京Vか」との思いはなかったですか?

見木 正直、プレーオフで負けた相手チームに行くことになるとは、自分自身も思ってなかったですね。ただ、その決断に関しては、もしプレーオフの決勝でヴェルディとやって負けていたら、もう少し躊躇したかもしれませんが、負けたのが準決勝だったということもあって、そこまで気にせずに決断しました。

自ら選んだ「10」への想い

見木は背番号10を「間違いなく特別な番号です」と語る 【(C)TOKYO VERDY】

――見木選手は、攻撃的なポジションのどの位置でも高いレベルのパフォーマンスを見せることができる。 そのベースは、自身のキャリアの中のどの時代に作られたと思われますか?

見木 小学生の時は本当に体が小さくて、当たられたら吹っ飛ばされるような感じでした。でも、だからこそ、小学生の時から技術の部分にはこだわって練習をたくさんしていましたし、どうすれば体の大きい選手に勝てるのかを常に考えてプレーしていました。それが今になって生きているのかなと思います。

――2021年には14得点を記録しました。その決定力の秘訣は?

見木 世間的に見て、どれだけゴールを決めている人でも、結構外しているシーンは多くて。だから、どのチームも「決定力不足」と言われますし、「あれ決めてれば勝てたよね」という試合はどこのチームにもあると思います。でも、どれだけ外しても決めていって、最終的に、 例えば20点ぐらい取っちゃえば、外していることなんてそんなに記憶には残らないものです。自分が14点取ったシーズンも、14点は取っていますが、チャンスの数で見たら、もっと取れたよねとは思いました。だからこそ、ゴール前に入っていく意識や駆け引き、ゴールへの貪欲さなどを常に持ち続けることが、個人的には大事だと思っています。あの時も、その意識があったからこそ14ゴールを叩き出せたと思うので、それをずっと継続してやっていけば、自ずと得点数も増えるのかなとは思います。

――自身の中で、一番得意なポジションは?

見木 トップ下だったり、1ボランチ2シャドウの時の左のシャドウだったり、左のインサイドハーフと呼ばれるポジションが、個人的には一番得意です。

――一番得意なプレーは?

見木 ターンからゴール前に入ってくることだったり、ゴールに直結するようなプレーをできるのが自分のストロングだと思っています。東京Vでも、そういったシーンをできるだけ多く作り出せるようにしたいなと思っています。

――そんなプレースタイルからも、背番号『10』はピッタリのイメージです。東京Vでも『10』番を背負います。選んだ理由を聞かせてください。

見木 間違いなく特別な番号です。小学校から小、中、高、大学とずっと着けてきた番号なので、個人的にも特別な番号ですし、大好きな番号なので、それが空いていたので希望したというのが1番の理由です。でも、そこには責任感などが付きまとうとも理解しています。そういうプレッシャーや重圧をはねのけられる人じゃなければ『10』番を着けるべきではないと思っています。僕も、プレッシャーをしっかり跳ねのけて、数字で責任感を果たせたらと思っています。

――新天地でいきなりの『10』番。もっと言えば、日本サッカー史の中でも特に歴史のある“ヴェルディ”の背番号『10』という意味で、ためらいなどはなかったですか?

見木 偉大な人が着けてきた“ヴェルディの『10』番”なので、他のチームで着ける10番とは少し違ったものなのかなとは思います。だからこそ、ここで結果を出せれば、個人としてもさらに上にいけるチャンスでもあるのと思うので、そういった意味では、非常に楽しみです。

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著者プロフィール

大阪生まれ。東京育ち。大東文化大学外国語学部中国語学科卒業。スポーツ紙データ収集アルバイト、雑誌編集アシスタント経験後、横浜F・マリノス、ジュビロ磐田の公式ライターを経て、2007年より東京ヴェルディに密着。2011年からは、プロ野球・埼玉西武ライオンズでも取材。球団発刊『LIONS MAGAZINE』、『週刊ベースボール』(ベースボール・マガジン社)、『文春野球』(文春オンライン)などで執筆・連載中。

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