「すんごいパワーでとんでもないところに運ぶ」新戦力が台頭した中部電力 日本選手権で覚醒したのは…
江並杏実(左)と中嶋星奈(右)。江並のラッキーアイテムはトートバッグ。中嶋の愛称は「なかじまんじ」 【(C)JCA/H.IDE】
女子Aブロックを通過したのは3勝1敗で並んだフォルティウス、中部電力、SC軽井沢クラブだ。
フォルティウスは小谷優奈を、中部電力は江並杏実を、SC軽井沢クラブは上野結生を、それぞれ新戦力を加えて今季を迎えたが、ここまでは特に中部電力の戦いぶりが目を引いた。
「あと1センチ」を埋めるための「すんごいパワー」
昨季の終わり、日本選手権決勝でロコ・ソラーレに敗戦した後の北澤育恵の言葉だ。その精度の差を埋めるために、江並をラインアップに盛り込んだ今季は開幕から江並、北澤、鈴木みのり、石郷岡葉純、中嶋星奈の5選手を入れ替えて試行錯誤を繰り返したが、北海道ツアーやカナダ遠征ではなかなか成績が伴わなかった。
それでも鈴木が「杏実ちゃんが入ってから結果は出なくても、『あとちょっとどうしたらいいんだろう』とみんなで話し合うことができた。負けた試合から学ぶことも多かったと思います」と語っていたが、シーズンに後半に向けて強化を進めた。
元々、中部電力は技術的には国内だけではなく、世界トップに通用するレベルにある。江並も「技術力が高いチームだなって思っていたので、そこで私ができることを考えるとスイープだった」と自覚を持っていた。
結果的には江並のスイープを生かすために鈴木みのりをリードバイスに抜擢し、セカンドに江並、サードに中嶋、スキップに北澤という布陣を組むと12月の軽井沢国際で初優勝。「日本選手権への自信になった」とは北澤だ。
その北澤が「すんごいパワーでとんでもないところまで運んでいく」と評す江並のスイープが最大限に発揮されると同時に、才能を開花させたのが中嶋だ。北澤のラストロックなどでは江並をファーストスイーパーとし、中嶋はその石のスピードや回転を見て素早くジャッジする。「元々、ウェイトジャッジはうまかった」と北澤、「100%の力で履くことができる。とても信頼しています」と江並。前述の軽井沢国際でチーム内MVPについて質問された石郷岡も「中嶋です」と回答した。
「スイープ面でもショットでもバイスをやっていたときの経験が生かされているのか、アイスの状況をしっかり確認した上でプレーしている。(北澤がショットセレクトで)悩んでいるときにハウスに向かって話をしたりと、提案している内容も悪くないし、リスク管理ができている。ショット選択にいい貢献をしていたと思います」
この経験豊富な石郷岡をコーチボックスに置くことも奏功した。
「自分でプレーしていたときにいいことを伝えてくれるとうれしかったので、意識してポジティブなことをフィードバックするようにしています」と語るチーム最年長はアイスの外からの視点と精神的な安定感をもたらした。
逆に最年少の鈴木は今季途中からキャリアとしてほぼ初めてのバイスをこなすことになったが、江並が「とても真面目で丁寧な部分があるので、そういうところが育恵ちゃんと相まっていい感じになっているのかなって思います」と、天才肌の感覚で投げるエースとの相性を評した。
二次リーグではいよいよロコ・ソラーレと対戦
左から北澤、江並、鈴木、石郷岡、中嶋。軽井沢国際では石郷岡がコーチとしてアイスに降りる場面もあった 【筆者撮影】
中部電力カーリング部
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