B1最下位、2勝27敗の茨城ロボッツ 「ありえない低迷」の理由と現状
17日の北海道戦も茨城にとっては厳しい展開だった 【(C)B.LEAGUE】
その戦力を考えても、ありえない低迷だ。直近のシーズンを見ると彼らは2021-22シーズンを16勝38敗、2022-23シーズンは23勝37敗で終えている。ドアマットのチームにありがちな「昇格初年度」「経営危機」というような事情はない。35勝以上という今季の目標も、決して高すぎるものではなかったはずだ。しかしいくつかの要因で、チームは開幕からつまずいた。
低迷の要因は?
そこに輪をかけて歯車を狂わせたのが新指揮官とチームのミスマッチだ。合計3シーズンにわたって指揮を取り、茨城をB1昇格・定着に導いたリチャード・グレスマンは昨季限りで退任。「スーパーバイジングヘッドコーチ」の肩書で采配を任されたジェームズ・アンドリセヴィッチはやりくりに失敗し、0勝9敗と未勝利のままチームを去った。
クラブが何も手を打たなかったわけではない。11月半ばにはマーク貝島ゼネラルマネージャー(GM)が解任され、さらにグレスマンヘッドコーチ(HC)も復帰。ジョニー・オブライアント、久岡幸太郎、ブライアン・コンクリンといった新戦力と契約して建て直しを図っている。しかしまだそれらの打ち手は成果につながっていない。
ざっくりと評価するなら、茨城にはB1中位を十分に狙えるレベルの人材がいる。しかしそれが噛み合っていない。例えば今季は第4クォーターをリードして迎えた試合が7つあったにもかかわらず、そのうち5度は逆転されて敗れた。試合運びという課題が容易に見て取れる。
北海道戦から見て取れたオフェンスの課題
グレスマンHCは低迷を受けて開幕後に復帰した 【(C)B.LEAGUE】
北海道の小野寺龍太郎HCはこう説明する。
「前半はオブライアント選手に、バスケットに限りなく近い場所までアタックをされていました。持たれる前、持たれてからのDFが非常にソフトでした。(オブライアントは)ミッドレンジが得意で、左のドライブとバックダウン(身体の後ろ側から押し込むようにドリブルを仕掛けるプレー)が狙いですが、それを簡単に打たせてはいけません。『背を向けたら必ずライトショルダー(右肩)のターンをする』ことをハーフタイムに確認をして、そこを頭に入れて守れていたので、(後半は)難しいショットを打たせることができました」
後半の茨城は前半に有効だった攻め手が奪われ、ズレがない状態からの強引なシュートが増えていた。平尾充庸、中村功平らガード陣の外角シュートが決まってやや食い下がったとはいえ、66-84のスコアが示す通りの完敗だった。
グレスマンHCは試合後にこう述べていた。
「正直に言うと、一歩後退してしまった感覚です。まずリバウンドは23個も負けています。ただそれよりも、オフェンスのところです。ペイント(ゴール下の制限エリア)まで行けなくて3ポイントの確率が18%に下がってしまいました。ブレイク前の数試合はいいゲームができていたので、この試合で少し間違った方向に行ってしまったのかなと正直思います。自分たちのオフェンスが上手くいかないときは、DFもうまく回ってないので、そこをどうにか向上させないといけません」
「クリエイター」不在に泣く
今季の茨城はシューター福澤晃平の移籍も影響して、3ポイントシュートの平均成功率が20%台に落ち込んでいる。これではチェハーレス・タプスコットの強みであるインサイドへのドライブも効果が落ちてしまう。
ミスマッチを的確に使う、ボールの動きやスクリーンを使った連携で「ズレ」を作ることが、オフェンスの原則だ。それはそのまま今の茨城が欠いている要素と言っていい。「タフショットが多い」と記者が感想を述べると、グレスマンHCはそれに同意しつつ、こう続けた。
「(17日の北海道戦は)アシストが12個しか付いていません。私たちはB1昇格後の2シーズンで、平均20個以上のアシストをしていました。しかし今は『クリエイター』がいない状況で、ボールムーブメントに問題があり、確率の高いシュートを打てていません。それでもコーチとしてもちろん工夫しなければいけないのですが、そこがずっと問題になっています」