B1最下位、2勝27敗の茨城ロボッツ 「ありえない低迷」の理由と現状

大島和人

新戦力、負傷者の復帰に望みあり

チームは「クリエイター」を必要としている 【(C)B.LEAGUE】

 問題解決の「切り札」となり得る存在が、1月9日に加入が発表されたブライアン・コンクリンだ。登録作業中のため17日はコートに立てなかったが、既にチームへ合流している。198センチ・104キロのパワーフォワード(PF)で、オセアニア、中南米、ヨーロッパを渡り歩いてきた34歳だ。

 コンクリンについて尋ねると指揮官はまず「I feel great about him(彼はとてもいい)」と一言。そのまま高い評価と期待を口にしていた。

「彼は『クリエイター』だと思っています。ボールを素早く動かし、しっかりスクリーンをかけて、他の選手を輝かせられる選手です。エリック・ジェイコブセンと同じようなタイプですし、本当にチームの助けになるでしょう」

 ジェイコブセンも既にチームへ合流して、復帰に備えている。いずれも現在はGMを兼務する西村大介社長が「二人とも本当にびっくりするぐらいリーダーシップがあります」と評するチームリーダーだ。揃ってコートに立てれば、チームの大きな助けになるだろう。

勝てなくても好調な集客

敗戦が続く中でもファンの「熱」は維持されている 【(C)B.LEAGUE】

 茨城の連敗は言葉を選ばずに言えば「奇妙」な現象だ。まず彼らが擁する人材と2勝27敗という成績は明らかにミスマッチだ。しかもそんな状況で、ファンの足がアリーナから遠ざかっていない。今季の平均観客数は4,398名で、24チーム中13番目。最大5千人収容のアダストリア水戸アリーナをホームにしている中で、健闘と言える数字だ。

 17日の北海道戦も集客の難しい平日のナイトゲームながら、3,913名の来場があった。低迷したチームにありがちな「殺伐とした空気」がスタンドからまったく伝わってこないことに筆者は驚いた。

 グレスマンHCも会見でこう強調していた。

「普通はこの成績だったらファンの方がこれほど試合に来ないと思います。しかし平日に、3900人のファンが来ました。その方々に対しての申し訳ない。私たちはファンのために戦い続けなければいけません」

 西村社長もこう述べる。

「この戦績にもかかわらず平均4400人近いファンに来ていただいていることには感謝しかありません。ここから結果でお返ししないといけませんし、できる限りのことをして何とかここから盛り返したい。今は単独最下位ですけど、そうは言っても(残留圏内の22位まで)3ゲーム差なので、十分に盛り返せると思っています」

 仮に残り試合を全勝したとしても、もう35勝には届かない。しかし西村社長が口にするように「残留」は今季の茨城でも越えられる、越えなければいけないハードルだ。それは温かいファンに応える最低限の結果だろう。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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