選手権スターが選ぶ同世代ベストイレブン【中田浩二編】 「“雪の決勝”で負けた東福岡が中心。シュンさんはマンマークできなかった」

青山知雄
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97年度の“雪の決勝”で敗れた東福岡の選手が多くなったのは、「それだけ自分がやられたということ」 【青山知雄】

 冬の風物詩である全国高校サッカー選手権のスター選手が選ぶ同世代のベストイレブン。今回登場するのは、帝京高の選手として伝説の“雪の決勝”に出場した中田浩二だ。1979年生まれのゴールデンエイジの代表格が選んだベストイレブンとは?

同級生にこんなすごいGKがいるんだと…

東福岡高の金古は同級生の千代反田とセンターバックコンビを組み、選手権連覇に大きく 貢献。2 年時の97 年度大会ではDF ながら得点王を獲得した 【写真は共同】

GK
南雄太
(静岡学園高→柏レイソルなど/79年9月30日)


 僕たち世代のGKと言ったら、やっぱり雄太ですよね。飛び級でひと世代上のワールドユースに出ていましたし、1年生から静岡学園高のレギュラーを獲得して、いきなり選手権で優勝しちゃうわけですから。とにかく落ち着いていて、プレーも安定していて、全てのレベルが高い。同級生にこんなすごいGKがいるんだと思っていました。

 99年のワールドユース、自分が(フィリップ・)トルシエ監督の“フラット3”で慣れないセンターバックを任されたときに、後ろから的確な指示で動かしてもらったことがすごく印象に残っています。あのときは本当に助けられました。


DF
手島和希
(東福岡高→京都パープルサンガなど/79年6月7日)


 本当にクレバーな選手でしたね。とにかく読みが的確で、ポジショニングが良かった。ピッチ内だけでなく外でも慌てているところを見たことがないくらい落ち着きがありました。

 普段は物静かで、シャイで、全然しゃべらないのに、試合になるとキッチリと指示を出して最終ラインを統率する。東福岡は強力な攻撃陣がフォーカスされがちでしたが、守備の強さも特筆すべきものがありました。そのディフェンス陣をキャプテンとして牽引していたのがテシでした。そんなに目立つタイプではないですけど、本当に素晴らしいDFだったと思います。

 東福岡では左サイドバックに入っていましたが、今回の企画では3バックを採用したこともあって、ワールドユースと同じ最終ラインの中央に置いてみました。


DF
金古聖司
(東福岡高→鹿島アントラーズなど/80年5月27日)


 まさにストッパータイプ、対人プレーに強さを発揮するセンターバックでした。意外と得点力があったのも印象的ですね。ヘディングはもちろん、無駄にキック力が強いので、準々決勝でものすごいロングシュートを決めたりして、DFとして選手権史上初の得点王になりました。まあ、あのロングシュートはたまたま入ったんでしょうけど(笑)。

 プレースタイル的にはフィジカル系に思われがちですけど、読みがしっかりしていて、駆け引きもうまかった。目が細いから、ちゃんと見えているのかどうかは分からなかったですけどね(笑)。

DF
千代反田充
(東福岡高→筑波大→アルビレックス新潟など/80年6月1日)


 金古と同じく空中戦や対人プレーに強い選手でしたね。より堅実でミスがなく、真面目なタイプだった印象です。とにかくヘディングが強いので、セットプレーではできるだけ彼を避けて勝負しようとしていた記憶があります。当時の東福岡は1学年下の金古、千代反田を先輩の手島がフォローするという役割がしっかりしていました。

 結局、最終ラインの3人が全て東福岡の選手になってしまったんですが、彼らに高校三冠を取られているし、僕たちはインターハイと選手権の決勝でその壁を破ることができなくて優勝を逃したので、どうしても印象が強いです。選手権の決勝では積極的にドリブルで仕掛けていくという完璧な東福岡対策を仕込んでいたんですけど、雪でドリブルできなくなってしまった。普通のピッチコンディションなら絶対に勝っていたはず……って言うのは自由ですよね(笑)。
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著者プロフィール

2001年からJリーグやJクラブの各種オフィシャル案件で編集やライターを歴任。月刊誌『Jリーグサッカーキング』で編集長も務めた。関係各所に太いパイプを持ち、2017年から2023年までDAZNで各種コンテンツ制作に従事。現在はフリーランスとしてJリーグ、日本代表を継続取材している。

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