高校サッカー選手権・出場校ランキング

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 第102回の全国高校サッカー選手権が、いよいよ12月28日に開幕する。群雄割拠の今大会を制するのは、果たしてどこか。前回大会で初優勝を成し遂げた岡山学芸館のようなサプライズチームは現れるのか。興味は尽きないが、ここでお届けするのは、出場校のチーム力ランキング。「得点力」「守備力」「選手層」「経験値」「完成度」の5項目について各20点満点で採点し、その合計点からトップ25校を導き出した。

(著者:松尾祐希、企画・編集:YOJI-GEN)

※項目は横にスクロールします。

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解説

「歴代最強」の呼び声が高く、初の全国制覇が現実味を帯びる尚志。中1日のハードスケジュールにも耐えうる選手層の厚みも、今年のチームの強みだ【松尾祐希】

 真っ先に優勝候補に挙がるのが尚志だ。下級生の頃から主力を担ってきた選手が多い今季のチームは、「歴代最強」との呼び声が高い。特に凄まじいのが攻撃力。初戦となる2回戦で対戦することが決まった前回大会王者、岡山学芸館の高原良明監督も「ちょっと止められない」と苦笑いを浮かべるほど、その破壊力は凄まじい。

 個人技で勝負できる選手が揃うが、なかでも注目は左サイドハーフの安齋悠人(3年/京都サンガF.C.入団内定)だ。圧倒的なスピードを生かした突破が持ち味で、U-19日本代表への選出歴も持つ。また2トップの網代陽勇、笹生悠太(ともに3年)も能力が高く、前者はポストワークと足元の技術、後者は機動力でチャンスに絡む。

 個性的な前線のタレントを操るボランチの神田拓人(3年)も逸材だ。ゲームを読む目が確かで、安齋と同じくU-19日本代表にも選出されている。さらにベンチにもFW桜松駿(3年)など、レギュラー陣と遜色のないタレントが控えており、連戦でも力が落ちない選手層の厚さは現チームの強みだ。

 守備陣が時折脆さを覗かせる点は気掛かりだが、U-18高円宮杯プレミアリーグEASTで最終節まで優勝争いを演じた実力に疑いの余地はない。ベスト8敗退に終わった夏のインターハイの借りを返し、初の日本一を掴み取ったとしても驚きはないだろう。

名将・黒田監督が去っても青森山田の勝負強さは相変わらずだ。この山本と小泉のCBコンビを中心とした強固な守備をベースに、2年ぶりの頂点を目指す【松尾祐希】

 その尚志を振り切ってプレミアリーグEASTを制した青森山田にも、間違いなく頂点を狙える力がある。昨冬の選手権を最後に黒田剛前監督(現・FC町田ゼルビア監督)はチームを去ったが、コーチから昇格した正木昌宣監督の下で、今季も伝統の勝負強さを発揮。インターハイこそ3回戦で不覚を取ったものの、リーグ戦では安定した戦いぶりで2年ぶりにEASTを制すと、さらに年間王者を決めるファイナルでは、後半アディショナルタイムの2ゴールでWEST王者の広島ユースに劇的な逆転勝利。4年ぶり3回目の優勝を果たしている。

 キャプテンの山本虎(3年)と身長190センチの大型DF小泉佳絃(3年)で組むCBコンビは強固で、188センチの守護神・鈴木将永(3年)もハイボールに強い。伝統のボールを隠す守備は今年も健在で、簡単には崩れないだろう。中盤は芝田玲(3年)が軸となり、誰もがハードワークを厭わない。攻撃の破壊力という点で尚志に見劣りするとはいえ、セットプレーも相変わらず緻密なだけに、一発勝負を勝ち上がっていく条件は揃っている。

3年連続20回目の出場となる大津もタフに戦えるチームだ。順当に行けば、青森山田か静岡学園との対戦が予想される準々決勝が最大の関門となりそうだが……【写真は共同】

 尚志、青森山田の2強を追うのは、プレミアリーグ勢の3チームだろう。

 市立船橋は春先から下馬評が高い。「布啓一郎監督(現・VONDS市原FC監督)が率いていた頃みたいに最終ラインが安定している」と、ライバル校の監督も口を揃えるように、今季のチームは堅守が売りだ。その上で、最前線に世代屈指の点取り屋・郡司璃来(清水エスパルス入団内定)が控えているのも心強い。劣勢に陥っても、ワンチャンスを生かしてしぶとく接戦をモノにする。

 大津もタフに戦えるチームだ。市立船橋と同じく絶対的なゴールゲッターを擁している点は、トーナメント戦を勝ち抜く上で大きなアドバンテージになる。そのプレミアリーグWEST得点王の碇明日麻(水戸ホーリーホック入団内定)は、昨季までCBやボランチで活躍していたが、今季からシャドーでプレー。186センチのサイズと足元の柔らかさを兼備し、ここぞという場面での決定力が光る。

 2019年度の選手権を制した静岡学園は、各ポジションにJリーグ入り内定の好タレントが揃う。GK中村圭佑(東京ヴェルディ入団内定)、MF髙田優(徳島ヴォルティス入団内定)、FW神田奏真(川崎フロンターレ入団内定)を中心に、伝統のテクニカルなサッカーで日本一への返り咲きを目指している。

夏のインターハイで初優勝を飾った明秀日立。ランキング上位の優勝候補とは反対側の山に入っただけに、夏冬連覇の偉業も決して夢物語ではないはずだ【写真は共同】

 ただ、上記5チームは準決勝までに潰し合う組分けとなった。青森山田と静岡学園は3回戦で、その勝者と大津が準々決勝で対戦する可能性がある。このブロックには、他にもプレミアリーグWESTの米子北やEASTの昌平という力のあるチームも入っただけに、優勝候補に推される有力校であっても勝ち抜くのは容易ではない。

 その隣のブロックは、順当に行けば市立船橋と尚志が準々決勝で顔を合わせる組み合わせ。そこを勝ち上がれば青森山田などがいるブロックの勝者と準決勝で対戦する。気の抜けない試合が続くだけに、やはり中1日の連戦に耐えられる選手層を持っているか否かが、勝負を分けるポイントになりそうだ。

 逆に反対側の山に入ったチームには、どこにでもチャンスがある。2017年度の覇者である前橋育英、過去ベスト4が4回の矢板中央、今夏のインターハイで初の日本一に輝いた明秀日立はもちろん、吉永夢希(ゲンク入団内定)と西丸道人(ベガルタ仙台入団内定)を擁するプレミアリーグ勢の神村学園も、十分に初の決勝進出が狙える。さらに、前回大会準優勝の東山を京都府予選決勝で破り、3年ぶりに選手権の舞台に戻ってきた京都橘も侮れない存在で、今大会の台風の目になったとしても不思議ではない。

 昨冬は岡山学芸館の初優勝で幕を閉じた選手権。今年は有力校が下馬評通りに勝ち上がるのか、それとも再びセンセーションを巻き起こすサプライズチームが現れるのか。全国約4000校の頂点を目指し、選ばれし48校が冬の覇権に挑む。

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