近畿大会で「マダックス」を達成した近江・西山 143キロ右腕が憧れ続ける大エースの背中

沢井史

手ごたえと課題を感じた秋、今後は「常時145キロを目指す」

「普段は気持ちが弱い方」と話す西山。大先輩である山田の気持ちを前面に出す投球スタイルは、今でも憧れだ 【写真:筆者撮影】

 手ごたえをつかんだのは、先発する機会が増えた今夏の県大会前の練習試合だった。6月下旬。奇しくもその試合の相手も興国だった。5回を投げて1失点の内容で「コントロールが安定してきて、フォアボールが減ったんです。特にアウトコースのコントロールが良くなってきたと感じました」と自信を深めた。制球力が安定することで自身のリズムも磨かれ、テンポも良くなった。そこから夏の甲子園では2イニングを無失点。確かな成長曲線を描いている実感が湧いた。

 近畿大会準々決勝の京都国際戦は再び投手戦となった。「相手のピッチャー(中崎琉生、2年)がいいと聞いていたので、自分がどれだけ我慢強く投げられるかだと思っていました」。初戦と同様、テンポ良くアウトを重ねた。この試合も5回を終えて54球と初戦同様、テンポのよい組み立てで勝負したが、0-0で迎えた9回裏に一死二塁から、この試合の99球目となるスライダーを左翼前に運ばれ、サヨナラ負け。紙一重の戦いを「あの試合でできることは全部やれたと思います」と、爽やかに振り返った。

 今年、甲子園と秋の近畿大会を経験して感じたのは球威の不足だった。ストレートは最速143キロだが、球速のアベレージは全国レベルではないことを実感した。「常時145、6キロは投げられるように、この冬は体重をまず増やしたいです。最近は1日2キロ、白米を食べるようにしています」。現在体重は71キロだが、80キロ近くまで増やすことが目標だ。

 憧れのエースの背中は、まだずっと先にある。それでも、自分にしかないカラーを磨き、先輩に負けない大黒柱へ。厳しい冬の鍛錬を乗り越え、唯一無二のエースとなる。

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著者プロフィール

大阪市在住。『報知高校野球』をはじめ『ホームラン』『ベースボールマガジン』などに寄稿。西日本、北信越を中心に取材活動を続けている。

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