連載:来春のセンバツ切符を掴むのは? 秋季大会2023「エリア別展望」

高校野球「秋の注目校5選」九州大会編 神村学園と明豊の2強を追うのは無双のエースを擁する──

加来慶祐
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かごしま国体の北海戦でも特大弾を放った正林を擁する神村学園が優勝候補の筆頭だ。夏の甲子園で初の4強入りを果たしたメンバーが10人も残っているのは心強い 【写真は共同】

 九州から来春のセンバツに名乗りを上げるのはどこか。4つの出場枠をめぐって、16の各県代表校が熾烈な戦いを繰り広げる秋季・九州大会が、10月28日に福岡で開幕する。今夏の甲子園でベスト4の神村学園が軸になりそうだが、7日間で最大4試合というハードスケジュールだけに、波乱も十分に起こりうる。九州在住のライター、加来慶祐氏に今大会の注目校を5つ挙げてもらった。

【秋季・九州大会出場校】※丸数字は秋季県大会の順位
・福岡:東海大福岡①、飯塚②
・佐賀:有田工➀、唐津商②
・長崎:長崎日大➀、海星②
・大分:明豊➀、大分舞鶴②
・熊本:熊本国府➀、九州学院②
・宮崎:延岡学園➀、日南学園②
・鹿児島:神村学園➀、れいめい②
・沖縄:興南➀、沖縄尚学②

神村学園(鹿児島1位)

 夏の甲子園で初のベスト4入りを経験した10人が新チームに残り、仙台育英との準決勝から1週間後に慌ただしく初戦を迎えた秋の鹿児島大会も危なげなく制した。地力、経験値に勝る神村学園が、九州大会の優勝候補筆頭だ。

 強力打線の中心は甲子園でも4番を打ち、打率.435と活躍した正林輝大(2年)。高校通算本塁打はここまで13本だが、先の国体でも北海戦(1回戦)で一発を放つなど長打力を増している。その前後を固める好守強打の今岡拓夢(1年)、甲子園で打率5割をマークした上川床勇希(2年)にもパンチ力があり、さらにトップバッターの入来田華月(1年)も持ち前のミートセンスでチャンスメーカーを担う。全体的に選球眼の良い打者が多く、1点が欲しい場面ではきっちりスクイズも決めてくる。

 投手陣は球威でグイグイと押す最速142キロ左腕・今村拓未(2年)が軸だ。ここにきてスライダー、チェンジアップの威力もアップしているが、秋の県大会では150球超の完投が2試合と、文字通りの力投型。それだけに、長身から角度のあるボールを投げ込む早瀬朔、制球力の高さで勝負する千原和博といった1年生右腕の成長は心強い。

 さらに小田大介監督は、「予選(県大会)で投げていない投手を数枚準備させている」と公言。8年ぶりのセンバツ出場に向けて、投打ともさらにスケールアップを遂げている。
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著者プロフィール

1976年大分県竹田市生まれ。東京での出版社勤務で雑誌編集などを経験した後、フリーランスライターとして独立。2006年から故郷の大分県竹田市に在住し、九州・沖縄を主なフィールドに取材・執筆を続けているスポーツライター。高校野球やドラフト関連を中心とするアマチュア野球、プロ野球を主分野としており、甲子園大会やWBC日本代表や各年代の侍ジャパン、国体、インターハイなどの取材経験がある。2016年に自著「先駆ける者〜九州・沖縄の高校野球 次代を担う8人の指導者〜」(日刊スポーツ出版社)を出版した。

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