藤嶋健人、石川昂弥、関根大気…今年のプロ野球は東邦OBが大活躍!
連続無失点リリーフの藤嶋健人
高校1年夏の愛知大会で優勝投手となり、歓喜の輪の中心で両手をあげる藤嶋健人。甲子園でも勝利を挙げた 【写真:尾関雄一朗】
高校時代から、玄人受けする“武器”があった。不利なボールカウントになっても、変化球でストライクを取り、カウントを立て直せることだ。当時はカットボール、今ならスプリットなどがその球種。高校生の速球派の場合、制球に苦しむ投手も少なくない中、藤嶋は卓越した投球センスを備えていた。
高校当時、投手としてはズバ抜けたものに欠けるという見方ゆえ、高校通算49本塁打の打撃を推す声もあった。しかし、こうしたマウンドさばきを見た中日サイドは「打者に立ち向かっていくタイプだけどクレバーさがある。ピンチでの投球が光る」(中田宗男スカウト部長=当時)と、一貫して投手として評価していた。
中日ブルペン陣を支える藤嶋。高校時代から今の活躍に通じるものを見せていた 【写真は共同】
陽性のオーラを放つ藤嶋。その存在は、東邦の部の雰囲気も変えたという。以前、小嶋裕人部長(当時)を取材した際、「藤嶋の学年ぐらいから、キツイ練習でも笑顔で、自分たちからやるように変わっていった感じがある」と聞いた。3年夏の甲子園での大逆転劇(八戸学院光星戦)も、ムードの良さが影響したのだろうか。
負けが込む中日にあって、藤嶋の力投は我々ファンにも元気を与えてくれている気がする。
スターへの階段上る石川昂弥
高校1年秋の東海大会準決勝。1点ビハインドの9回表二死一塁で逆転弾を放った石川昂弥。翌春のセンバツ出場を引き寄せた 【写真:尾関雄一朗】
石川も藤嶋と同様、高校時代はチームの将来を担う者と期待された。「最初にプレーを見て、東邦を一つ上のステージに上げてくれる男だと思った」(森田泰弘監督=当時)。その期待に応え、高校3年春のセンバツではエース兼主軸打者として優勝の原動力となった。
勝負所で打つ、星の強さが印象的だった。センバツ決勝での2本塁打で全国区となった一方、地元の高校野球ファンに衝撃を与えたのが高校1年秋。翌春のセンバツにつながる秋季東海大会準決勝で、9回表二死の土壇場で右中間へ逆転弾を放った。「右へのホームランは初めて。高校でバッティングの状態が上がらない中、ようやく自分のバッティングができてきました」(石川/当時の談話より)。
高校時代から風格十分だった石川。4年目の今季は自身初の2ケタ本塁打をマークしている 【写真は共同】
高校時代から風格十分で“大物感”があった。取材などでも堂々としていて、媚びるような感じがまったくなかった。頼もしい限りである。