高校野球「プレーヤーランキング・23年夏」

高校野球「プレーヤーランキング」愛知編 プロ注目の東松以外にも好投手が目白押し

尾関雄一朗

今年のドラフトで1位指名もあり得る享栄の東松。最速152キロのストレートに加えて、春に覚えたフォークも効果的な武器になっている 【写真は共同】

 夏の地方大会で必見のプレーヤーは誰か? 用意したのは、チームではなく選手にスポットを当てた企画、「プレーヤーランキング」だ。その第1弾は、ドラフトの上位指名候補、東松快征(享栄)のいる愛知県。「実力校ランキング」に続いて、ライターの尾関雄一朗氏に、愛知大会を沸かせるであろう10人の逸材を選んでもらった。

10位:大西遼多(3年/中京大中京/内野手)

 父は中日の外野守備走塁コーチ・大西崇之氏で、母は元プロゴルファーの坂上晴美さん。小学2年生で野球を始めた当時、父は巨人のコーチを務めていて、シーズン中に会えるのはナゴヤドーム(現バンテリンドームナゴヤ)での中日戦のときだけだったそうだ。自身は中距離打者タイプで、広角にロングヒットを放つシュアな打撃が魅力。高校通算本塁打数も2ケタに到達した。春先の右肩関節唇損傷から復帰し、夏は中心選手としてチームを引っ張る。

9位:伊藤幹太(3年/至学館/投手)

 昨年秋と今年春の県大会でチームを準優勝に導いた大黒柱。6月の招待試合では強打者の佐々木麟太郎(3年/花巻東)から2三振を奪った。強調したいのは、投手に必要な要素をまんべんなく備え、投球に破綻をきたさない点。最速145キロのストレートを軸に、フォークやスライダーを制球よく決める。「周りを見ながらゲームメークできるのが強み。ストレートで押しつつ、狙って三振が取れるようになってきた」と自認する。高卒でのプロ入りを志望すると見られる。

8位:宮國凌空(3年/東邦/投手)

 この夏に真価が問われる快腕。2年春の練習試合で最速149キロをマークし、直後の県大会でも快投を披露したが、昨年の夏頃に発症した右肩痛が影響し、秋以降はストレートが140キロ台を割り込んだ。3回戦で報徳学園に敗れたセンバツでも、「スピードが出ず、連打された」と悔しさを滲ませていた。ただ、本調子に程遠いなかでも試合をつくり、センバツ出場と初戦(鳥取城北戦)白星の原動力となったのはエースの意地だ。高卒プロ志望の想いも胸に、パフォーマンスをV字回復させられるか、見守りたい。

7位:岡本昇磨(3年/東邦/外野手兼投手)

 五番打者で右翼手兼投手。キャラクターが立ったチームメイトが多い分、派手さはさほど感じないものの、県内ライバル校の監督たちが、そろって「最も厄介な選手」と警戒する。覚えておいて損はない選手だ。投げては最速145キロのストレートと、バットを避けて落ちていくようなスライダーを駆使しながら、巧みにまとめてみせる。今春のセンバツでも好投した。打撃は対応力と自在性を備え、センバツ3試合でいずれもマルチヒットを記録と、投打ともにコンスタントに結果を残す。

6位:石川瑛貴(3年/東邦/内野手)

19年にドラフト1位で中日に入団した兄の昂弥と、打撃フォームもよく似ている東邦の石川。今春のセンバツでは四番に座り、3試合で5安打を放った 【写真は共同】

 プロ入りした兄・昂弥(現中日)と顔や身体つきはもちろん、打席での懐の広い構え方もよく似ている。そこをまずはチェックしてほしい。打球が放物線を描く兄に対し、弟は自身の持ち味を「ライナーで強い打球を打てるバッティング」と話す。今春のセンバツでは、2回戦の高松商戦でシャープな当たりの二塁打を3本も放った。一方で、確実に芯でとらえたときの飛距離は兄に通じるものがある。1年夏には右肩脱臼に悩まされたが、辛い時期を乗り越え、たくましく成長してきた。

1/2ページ

著者プロフィール

1984年生まれ、岐阜県出身。名古屋大を卒業後、新聞社記者を経て現在は東海地区の高校、大学、社会人野球をくまなく取材するスポーツライター。年間170試合ほどを球場で観戦・取材し、各種アマチュア野球雑誌や中日新聞ウェブサイトなどで記事を発表している。「隠し玉」的存在のドラフト候補の発掘も得意で、プロ球団スカウトとも交流が深い。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント