テコンドーのメダリストはバドミントン部 17歳・岡本留佳がアジア大会に初挑戦

平野貴也

バドミントン部でも活動したテコンドー選手の岡本留佳がアジア大会に初挑戦する 【筆者撮影】

 バドミントン部に所属する高校生が、テコンドーでアジア大会に出場する。女子49キロ級代表の岡本留佳(テコンドークラブHama House)は、佐賀市出身の高校3年生。通っている佐賀工業高校では女子バドミントン部に所属しているが、競技経験者の母に影響されて3歳から始めたテコンドーの方が競技歴は長い。幼少期から国内外で優秀な成績を収め、近年は、シニアでも活躍。6月にアゼルバイジャンのバクーで行われた世界選手権で銅メダルを獲得。24年パリ五輪の出場を目指す期待の若手だ。

3人きょうだいでバドミントンと二刀流

 岡本は、テコンドーを続けながらバドミントン部で活動した理由を「やってみたら楽しかった。下半身の使い方やフットワーク、瞬発力が大事。テコンドーにも生きると思った」と話す。2つの競技を掛け持ちするのは容易でないが、岡本はスポーツが全般的に得意。幼少期には水泳も週1回習い、中学は陸上部に所属。3つの競技を掛け持ちした時期もあった。バドミントンを始めたのは、通っていた城西中学校を練習場所の一つとしていた佐賀サンライズクラブに弟の佳依、妹の千佳が通い、一緒に顔を出すようになったのがきっかけ。4月の大会で部活動を引退するまで、部活動の後に道場へ通う二刀流生活を送っていた。

世界選手権で銅メダル、高校生での獲得は日本人初

 テコンドーでは、21年、22年と女子46キロ級で全日本選手権を連覇。今年7月の全日本ジュニア選手権も圧倒的な強さで優勝を飾った。海外でも、昨年8月の世界ジュニア選手権で2010年の濱田真由(15年世界選手権57キロ級優勝)以来3人目となる日本勢最高成績の銅メダルを獲得している。今季はシニアの国際大会にも挑戦し、USオープン、オーストラリアオープンで優勝。前述のとおり、6月の世界選手権で銅。日本勢で初めて高校生でメダルを獲得し、シニアでも世界で戦える自信を得た。敗れた準決勝でも、連覇を果たした世界ランク1位のレナ・ストイコビッチ(クロアチア)を相手に1ラウンドを互角に戦う健闘。2024年パリ五輪出場への視界が開けてきた。

世界選手権の金メダリストとも練習

 活動拠点は、現役の日本代表選手である濱田康弘が道場長を務めるHama House。道場長の妹である濱田真由は、12年ロンドン、16年リオデジャネイロと21年東京大会と五輪に3度出場。2015年に日本選手で初めて世界選手権の金メダルを獲得した。岡本は、幼い頃から知っている仲で、一緒に練習したことも多く、刺激を受けてきた。「真由ちゃんが金メダルを獲得したときは(小学生だったため)おめでとう~! くらいにしか思っていませんでしたけど、今になって考えたらヤバイ。レベルが違う」と笑ったが、自身も銅メダルを獲得したことで「少しは近付いたかな」と手応えを示す。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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