テコンドーのメダリストはバドミントン部 17歳・岡本留佳がアジア大会に初挑戦

平野貴也

見えてきた、パリ五輪出場の可能性

シニアでも成績を残し、パリ五輪の可能性は膨らんでいる 【筆者撮影】

 24年のパリ五輪出場は、各階級最大16名しか出場できないためハードルが高い。五輪ランキング5位以内を確保する、グランドスラムチャンピオンズシリーズで上位4人に入ることは、かなり困難。現実味があるのは、来年行われるアジア大陸代表決定戦の日本代表となり、決勝に進出してアジア代表枠で出場するパターンだ。幼少期から五輪の金メダル獲得を目標に掲げてきた岡本は「パリは間に合わないかなと思っていました。でも、昨年の世界ジュニア選手権でメダルを取ってから、海外のオープン大会で優勝したり、メダルを取ったり。ランキングポイントも取れるようになった。そこから、パリから頑張れればと考えるようになりました」と可能性の広がりを確かに感じ取っている。

1年延期とアクシデントで巡ってきた出場権

 思わぬ形でアジア大会初出場が決まったのは、5月。22年開催予定で、当時16歳の岡本には代表選考会の出場資格がなかった。ところが、コロナ禍で1年延期。挑戦が可能になった。選考会で敗れたが、代表となった山田美諭(TEAM DAITO/城北信用銀行)が負傷欠場となり、2位の岡本が繰り上げで代表となった。山田は、21年東京五輪に出場した女子軽量級の第一人者。前回の2018年大会では銅メダルを獲得している。偉大な先輩の代役となるが、岡本は「申し訳ない気持ちより、自分が代わりに出て美諭さんより良い成績を出そうという気持ちになった。アジア大会は、ほかの競技も行われる。テコンドーの世界大会よりも大きなイメージがあって緊張するけど、メダル獲得を目指します」と意気込む。

高い壁は、2階級で戦う難しさ

 アジア大会初出場をステップにパリ五輪出場を目指すが、高い壁が一つある。レスリングなどでも話題になるが、総合競技大会は競技専門大会より実施階級が絞られる。岡本が世界選手権で銅メダルを獲得した46キロ級は、アジア大会や五輪で適用されておらず、一つ上の49キロ級での挑戦となる。身長163センチの岡本は「やっぱり、パワーの差があるし、体格も大きい選手が増える。49キロだと小さい部類になる」と話すが、慣れて計画的に試合を運べれば勝機はあるとも感じたという。ただし、まだ46キロ級でも他の大会に出場するため、短期間での減量に対応できる状況でなければならない。アジア大会の前にもアジアジュニア選手権の46キロ級に出場予定。より大きな体格から減量で49キロに絞った相手とのパワーの差は、埋めがたい現状も否めない。

必殺の落とし蹴り、新技の回転蹴りで世界へ

新たに習得した胴回転蹴りは、ポイントが高く大きな武器 【筆者撮影】

 岡本の特長は、柔軟性を生かした上段蹴りや前蹴り。右足を前に置く構えが基本だが、反対のスタイルでも戦える。距離の取り方がうまく、下がりながらでも相手の足技を捌いて反撃する。得意技は、高く上げた足を相手の頭部や腹部へ降り下ろす「ネリョ」と呼ばれる落とし蹴り。さらに、21年からは、東京五輪女王のパニパック・ウォンパッタナキット(タイ)を指導していた現全日本強化コーチの金載祐(キム・ジェウ)に師事してレベルを上げている。ステップ、ジャンプなど基本的な動き方から見直しただけでなく、女子では使う選手が少ない胴への回転蹴りを教わった。通常の蹴りよりポイントが高く、大きな武器になった。他競技と並行しながら磨いてきた得意技で、アジア大会のメダルを狙う。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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