J1月間MVP 5月に続いて受賞の神戸・大迫勇也「日本に戻ってきたのはすごくいい決断だった」
J1第23節が終わった8月13日の時点で17ゴールと、得点ランキングで首位に立つ大迫。日本代表復帰を望む声も強い 【(C)J.LEAGUE】
相手の対策をどれくらい上回れるか
ありがとうございます。チームとして結果が出ていたからこそもらえる賞なので、チームメイトに感謝したいです。
――6月度の月間MVPは武藤嘉紀選手だったので、3カ月連続でヴィッセル神戸の選手が受賞したことになりますね。
チームがこの3カ月で見せてきたパフォーマンスは悪いものじゃなかったと改めて思いますし、これを続けることが一番大事なのかなと感じています。
――7月はJ1で4試合に出場して4得点を挙げました。特に印象に残っている試合やプレーはありますか?
川崎フロンターレ戦(7月22日の第16節延期分/△2-2)の2点目ですね。(2点のビハインドから)しっかり1点を返して、いい流れの時間帯に、コーナーキックに対していい入り方ができました。(汰木)康也の蹴ったボールもすごくよかったです。
――そのゴールの場面では、ヘディングシュートまでに至る過程で前後にステップを踏んでから跳んでいました。どんなイメージを持ってあの動きをしたのでしょうか?
どう動くかはマークの付き方次第ですけど、競り合いでは相手の後ろから跳んだほうが勝てるので、ディフェンスが棒立ちになったときにしっかりと勝負できるような動き出しを心がけていました。実は、あの場面ではそんなに高く跳んではいないんです。一度マークに付いた選手の前に出てから背後に回ることで、相手が止まり、うまく跳べない状態を作れたと思います。
――神戸は首位を維持していますが、2位の横浜F・マリノスとは勝ち点差がありません(8月13日時点)。さらに言えば、残り11試合というタイミングで順位表の上半分のクラブに優勝の可能性が残されている状況です。改めて今シーズンのJ1全体の印象を聞かせてください。
優勝争いは最後までわからない展開が続くと思います。前半戦は上位のクラブがしっかり勝っている試合が多かったですけど、後半戦は割り切ったサッカーで手堅く勝ち点を拾っているクラブが増えてきました。これからの戦いでは、上位のクラブがどれくらい対策を上回れるのかが鍵になってくると感じています。
バイエルン戦が本当に楽しみだった
リーグ戦、カップ戦のいずれでもバイエルンからゴールを奪った経験のある大迫。絶対王者との対戦は楽しみだったという 【写真:アフロ】
世界的に見ても、なかなかないですよね。これがいいのか悪いのか、僕にも正直わからないですけど、競争力の高いリーグでプレーすることによって選手がすごく成長できるのは間違いないと思います。
一方で、圧倒的な力を持つクラブができるのもいいことです。ドイツ時代、僕はバイエルン・ミュンヘンと試合をするのを本当に楽しみにしていて、そのために海外に出ていったところもありました。神戸も圧倒的なクラブになれるよう頑張っていますけど、そうなるにはすべてのタイミングがバランスよく揃わないと難しいと感じているところです。
――バイエルンのような世界屈指のクラブと対戦できる環境から日本に復帰したのが、ちょうど2年前でした。鹿島アントラーズでプレーしていた2013年までと、神戸に加入して以降でJリーグの変化は感じましたか?
インテンシティは上がっていると感じました。僕が鹿島に所属していた当時は外国籍枠が「3人」でしたけど、今は「5人」まで同時出場が可能になって、どのクラブにも外国籍選手が増えたのが要因のひとつではないかと感じています。
――欧州から復帰すると、再びJリーグに適応しなければなりません。ただ、6月の月間MVPを受賞した武藤選手は「あえて合わせないようにしている」と話していました。大迫選手はどんな考えですか?
難しいですね。でも、僕は欧州でやっていたものを貫くという感じではなかったです。欧州では周りの選手たちが日本よりも大きくて速いので、球際に関しては自然と強くなっていたと思います。
――Jリーグのサッカーに自分のプレーを合わせていきながら、自分の強みが生きる局面で欧州時代に培ったクオリティを発揮していくようなイメージでしょうか。
そうですね。なので、Jリーグの試合でスペースが空く瞬間を見つけるのに少し時間がかかりました。僕はボールの動きと人の流れのなかで、全体をイメージしながらどこが空くかを予測してプレーしますけど、最初は「やっぱりここが空くよね」というのを一つひとつ確認していく作業が必要でした。今はどこにスペースが空いて、自分がそこで何をすればいいのかを見つけられているので、いいプレーができているんだと思います。
――大迫選手のように海外でのプレーを経験してJリーグに復帰する選手が増えてきました。神戸にも同じ境遇の選手が多く在籍していますが、そういった「元海外組」が経験してきたものを周りに伝えることで、Jリーグの基準を引き上げていくためのヒントを残せるのではないでしょうか。
Jリーグ全体というよりは、まず普段から一緒に過ごしている神戸の若手選手たちに、練習でも練習以外でも僕たちを見て学んでほしいと思っています。鹿島に入団した頃、僕にもリスペクトできる先輩がたくさんいました。彼らからいろいろなものを学んだからこそ、今の自分があると思っていますし、僕も若手選手たちにとって手本になるような存在になっていかなければいけないと感じています。