【いわさき白露シニア】絶対王者を破った塚田好宣の“夢”は海外ツアー転戦「藤田が頑張っているのを見て、また行きたいと思いました」

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ーーー最終ラウンドーーー

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国内シニアツアー最終戦「いわさき白露シニア」は、最終日にトップと1打差の2位タイからスタートした塚田好宣(55)が、4バーディ・1ボギーの「69」でトータル11アンダーまで伸ばし、逆転優勝を果たした。今季初勝利でシニアツアー通算4勝目。1打差のトータル10アンダー・2位にはシニアルーキーの飯田耕正、初日からトップを守っていた宮本勝昌(52)は「72」とスコアを伸ばせず、トータル9アンダーで3位に終わった。

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最終組は塚田、宮本、飯田の3人。今大会を前に2年連続賞金王を決めている宮本は前年覇者で、その絶対王者を中心にトーナメントが進むと塚田は考えていた。しかし、出だしから2連続ボギーで後退し、「スタートで宮本がつまずいちゃったので、どうなるかわからないな」と、序盤から塚田と飯田のトップ争いに。ショットに精度を欠く宮本を一気に突き放したいところだったが、「テンションが高かったので振れちゃって右に出ていた」と、塚田自身もショットに苦しみ、なかなかバーディチャンスが作れずに7番ホールまでパーを並べた。

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スコアが動いたのはグリーンまでずっと登っていく8番パー5。ここで宮本は3打目をOKに寄せて本日初バーディ。塚田も1.5メートルを入れ返してようやく最初のバーディが来た。「ティショットがあまり狙ったところに行ってなかったので、8番で獲れたのが大きかった」。続く9番パー4では2打目を手前3メートルにつけて連続バーディ。ここで塚田が単独トップに立って折り返した。

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「後半はスイングのリズムに気を付けて振るようにした」。12番パー3で唯一のボギーを喫したが、11番では4メートル、15番では6メートルを沈めてリードを広げ、池越えの17番パー3をパーで切り抜けたことで「本当に行けると思った」。18番パー5のティーイングエリアに立ったときには、2位タイの飯田と宮本には2打差をつけていた。

「だいたい勝つときは最後のパー5をボギーにしている。今日はそれをやめようと思った」。もしボギーを打って、飯田と宮本がバーディなら追いつかれてしまう。そこで2オンを狙わずに、3打目勝負で確実にグリーンに乗せるマネジメントを選択。しっかりパーで上がって優勝を決めた。

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昨年は2勝を挙げたが、今年はなかなか調子が上がらず、初めてトップ10に入ったのは1カ月前の「福岡シニアオープン」だった。「振り返ってみるとちゃんと練習できていなかった」。シーズン序盤は試合間隔が開いていたこともあり練習不足に。8月にツアーが再開すると、徐々に調子を上げて「感じをつかめてきた」と話す。そして、最終戦にして今年初めて最終日最終組に入り、そのワンチャンスをしっかりモノにした。

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現在は国内シニアツアーを主戦場に戦う塚田だが、若い頃から海外志向は強い。東海大学を中退してアメリカに渡り、ニューメキシコ陸軍士官学校に進んだ。卒業後はSEルイジアナ大学に入学するも途中でやめて、プロ転向したのはオーストラリアという異色の経歴を持つ。レギュラーツアー時代はアジアンツアーにも積極的に出場し、英語とタイ語を流ちょうに操るトリリンガルでもある。

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シニア転向後には米シニアツアーのQTを受けようと考えたこともあったが、コロナ禍により断念。今年、同い年の藤田寛之が「全米シニアオープン」で2位に入ったことで、「藤田が頑張っているのを見て、また行きたいと思いました」と海外への思いが再燃した。塚田は過去に日本シニアツアーの賞金ランキング上位の資格で「全英シニアオープン」には出場したことがある。「全米シニアオープン」にはハワイで行われた地区予選会に出場し、自力で出場資格を獲得したこともある。

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今日のラウンドでは2週後に米シニアツアーの来季出場権をかけて最終予選会に挑む宮本に現地の情報を聞き、欧州シニアツアーの予選会に出たことがある横田真一とも話をしている。「海外のフィールドにも行きたいけど、いまは経費がかかるじゃないですか。現実的な話になっちゃうけど、ここで稼がないと来年は行くのが大変だなと思っていた」。夢を追うにはゴルフの技術だけでなくお金も必要。優勝賞金1000万円は未来への軍資金となる。

藤田は全米シニア2位で大きくポイントを稼いだのを足がかりに来季のフルシードを獲得。宮本も予選会の狭き門を突破すると、来季は米国が主戦場となる。「藤田と宮本が活躍してくれたら俺もうれしいなと思う。チャンスあるかなみたいな」。

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このオフは55歳とは思えない引き締まった体を、さらにパワーアップさせる予定。「年を取れば距離はちょっとずつ落ちる。お尻が小さくなってきたから、下半身をトレーニングする時間を増やしていきたい。お尻が大きい方が飛ぶからね」。塚田はレギュラーツアーで初シードを獲ったのは36歳、初優勝は43歳と遅かった。海外で結果を残すのも、もしかすると……。

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著者プロフィール

PGAはゴルフの正しい普及と発展を願い、誰にでも愛される「国民のスポーツ」「生涯スポーツ」となるため、日本ゴルフ界のリーダーとして活動しています。PGAの使命は、トーナメントプレーヤーの育成、ゴルフ大会の開催・運営に加え、ゴルフの正しい普及と発展を具現化するために、ティーチングプロ資格を付与したゴルフ指導者を育成しています。さらにPGAでは幅広い分野で積極的な取り組みを行い、地域に密着した社会貢献活動、ジュニアゴルファーの育成など多方面にわたる取り組みを日々歩み続けています。

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