23年夏の甲子園プレーヤーランキング・野手編 佐倉侠史朗、佐々木麟太郎、真鍋慧のスラッガー“ビッグ3”で最高評価は?

西尾典文

福岡大会では一発こそなかったが、チームトップの10安打を放って九国大付の打線を引っ張った佐倉。重心をやや上げた新打撃フォームで自身三度目の聖地へ 【写真は共同】

 今夏の甲子園で主役を射止めるプレーヤーは誰か? 出そろった49の代表校の中から、必見のタレント10人を識者が厳選し、ランク付けをする2023年夏の甲子園「プレーヤーランキング」。野手編では、やはり「高校四天王」うちの3人のスラッガー(もう1人は出場を逃した大阪桐蔭の前田悠伍投手)が、いずれもランクイン。2年春のセンバツ以来のそろい踏みとなった“ビッグ3”は、今大会でも大きな話題を集めるはずだ。

10位:松本大輝(3年/智弁学園/外野手)

 豪快なフルスイングと長打力が魅力の強打の外野手。春の近畿大会では3試合で8安打、うち長打4本、ホームラン1本と圧倒的な成績を残してチームを優勝に導いた。

 夏もその勢いは衰えるどころか加速し、奈良大会では5試合で4本塁打、打率.625と驚異的な成績をマーク。先輩である前川右京(阪神)とイメージが重なり、下半身の強さを生かした軸のぶれないスイングで広角に長打を放つ。最初で最後となる甲子園の舞台でも、豪快なバッティングに期待だ。

9位:中澤恒貴(3年/八戸学院光星/遊撃手)

ショートに好素材が目立つ今大会だが、八戸学院光星の中澤もその1人だ。OBの坂本勇人(巨人)らの系譜を継ぐ“打てる遊撃手”としてプロの評価も高い 【YOJI-GEN】

 同じ東北のショートでは山田脩也(3年/仙台育英)も好選手だが、この夏のプレーぶりから中澤をトップ10に選出した。昨年と比べても明らかに上半身、下半身ともに体が大きくなり、それに伴って攻守両面で力強さがアップした印象を受ける。

 夏の青森大会でもプロ注目の150キロ右腕、成田晴風(3年/弘前工)から左中間へ一発を放つなど、5試合で2本塁打、8打点と中軸として見事な活躍を見せた。ショートの守備も少し送球が不安定なところはあるが、フットワークは軽快で守備範囲も広い。打てるショートとしてプロから高い関心を寄せられる。

8位:佐倉侠史朗(3年/九州国際大付/一塁手)

 九州で1年時から注目を集めている大型スラッガー。パワーはもちろんだが、それ以上に目立つのが巧みなバットコントロールで、4月に行われたU18侍ジャパン代表候補合宿では、木製バットでも見事な打撃を披露している。

 昨年までは極端に重心を下げた構えで少し無駄が多かったが、今はシンプルな構えにして上下動がなくなり、また体を絞ったことで振り出しも鋭くなった。夏の福岡大会ではチームトップの10安打を放って打線を牽引。守備、走塁は目立たないものの、打撃に関しては今大会でも屈指の選手である。

7位: 只石寛太(2年/広陵/捕手)

 早くも世代ナンバーワンキャッチャーの呼び声が高い2年生。1年秋から正捕手となり、中国大会、明治神宮大会、今春のセンバツと大きな試合でも落ち着いたプレーで投手陣をリードした。無駄な動きの少ない素早いスローイングは、コントロールも安定している。キャッチング、ブロッキングも高レベルだ。

 また打っても中軸を任されており、夏の広島大会では4割を超える打率を残し、チームトップの8打点をマーク。攻守ともに欠点が少なく、2年生ながらチームの要と言える存在だ。

6位:西稜太(3年/履正社/外野手)

 高次元で走攻守の三拍子がそろった高校生ナンバーワン外野手。前チームから不動のセンターを任されており、落下点に入るスピードと守備範囲の広さが目を引く。体はそれほど大きくないが、バッティングに関しても全身を使って強く振り切ることができ、センターを中心に鋭い打球を放てる。さらに積極的な走塁も魅力で、夏の大阪大会では7試合で4盗塁をマークした。

 今春のセンバツでは大きな注目を集めながら1安打に終わり、守備でもホームへの送球に手間取るなど本来の力を発揮できなかった。それでも能力の高さは誰もが認めるところ。最後の夏は春の悔しさを晴らす活躍を見せてくれるはずだ。

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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