23年夏の甲子園プレーヤーランキング・野手編 佐倉侠史朗、佐々木麟太郎、真鍋慧のスラッガー“ビッグ3”で最高評価は?

西尾典文

5位:三井雄心(2年/浦和学院/三塁手)

 西武で活躍した三井浩二氏を父に持つ強打の内野手。昨春のセンバツでベスト4に進出したチームにあって、入学直後からいきなり中軸を任されて話題となった。バットコントロールが巧みで、ヘッドスピードも素晴らしい。軽く振っているようでもその打球の速さに目を奪われる。

 この夏は体調不良で出遅れたものの、大会途中で復帰すると、決勝の花咲徳栄戦では3安打3打点の大活躍。通算7打数6安打とさすがの打撃を見せた。強肩が持ち味のサードの守備も安定しており、来年には関東を代表する存在となっている可能性が高い。

※編集注:浦和学院は6日の1回戦で仙台育英に敗れ敗退

4位:百崎蒼生(3年/東海大熊本星翔/遊撃手)

 東海大相模では1年秋からレギュラーをつかみ、関東大会では2試合で7安打の大活躍を見せた強打のショート。その後、2年春に退学して転校した影響で1年間は公式戦に出場できなかったが、それでもこの春先からスカウト陣が練習試合を視察するなど、依然として注目度は高い。

 約2年ぶりの公式戦となった夏の熊本大会は、直前の練習試合で自打球を受けた影響で守備では精彩を欠いたものの、バッティングは徐々に調子を上げ、準決勝では逆転のスリーランも放っている。スタートが抜群の走塁も一級品で、先頭打者としてチームを牽引する。

3位:横山聖哉(3年/上田西/遊撃手)

 今大会はショートに好選手が多いが、総合的に見てナンバーワンと言えるのがこの横山だ。圧巻はスローイング。低い軌道で一直線にファーストミットに届くその送球は、とても高校生のものとは思えない。体格もこの1年で見違えるほど大きくなり、長野大会では2試合連続ホームランを放つなど長打力も見せつけた。

 スイング、フィールディングともにプレーに“華”がある選手で、投手としてマウンドに上がってもフォームに悪い癖がない。甲子園では開幕戦(土浦日大戦)にいきなり登場するが、スカウト陣の熱い視線を集めることは間違いないだろう。

※編集注:上田西は6日の1回戦で土浦日大に敗れ敗退

2位:真鍋慧(3年/広陵/一塁手)

広島大会準決勝・呉港戦の一発は高校通算62号。スケールの大きさでは佐々木麟太郎に引けを取らない広陵の真鍋が、最後の夏に甲子園での初アーチをかけるか 【写真は共同】

“広陵のボンズ”の異名をとる大型スラッガー。1年夏から名門の中軸を任されており、明治神宮大会では1年時に1本、2年時に2本のホームランを放ち、2年連続の準優勝に大きく貢献している。

 今春のセンバツでもホームランこそなかったものの、厳しいマークの中で3本のツーベースを放つなど4割を超える打率を残した。センバツ以降はなかなか結果が出なかったが、夏の広島大会では準決勝で打った瞬間に分かる一発をライトスタンドに叩き込み、あらためてそのパワーを証明している。自身3度目、夏は初めてとなる甲子園の舞台で、どんな打撃を見せてくれるのか注目だ。

1位:佐々木麟太郎(3年/花巻東/一塁手)

同じ左のスラッガーである真鍋、佐倉と比べても、ホームランを打つということに関しては佐々木が一枚上だろう。相手投手の警戒が強まるなかで結果を残せるか 【写真は共同】

 規格外のパワーとスケールを誇る高校ナンバーワンスラッガーだ。高校通算140本塁打という数字ばかりがクローズアップされるが、実際に見るとそのスイングの迫力とヘッドスピードに圧倒される。

 春から招待試合をこなす過密スケジュールが続いた影響で背中を痛め、夏の岩手大会ではスタメンを外れる試合もあったが、準決勝で3安打を放って復調を印象付けた。コンスタントに打球を遠くへ飛ばす能力に関しては、長い高校野球の歴史の中でもトップクラスと言っていい。聖地での特大アーチに期待がかかる。

(企画・編集/YOJI-GEN)

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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