2025シーズンJ2戦力ランキング

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 J2の開幕は2月15日。この日に向けて調整を進めている各クラブは、現時点でどれくらい戦力が整備されているのか。J1編に続いて、J2全20クラブの戦力ランキングをお届けする。「攻撃力」「守備力」「選手層」「監督力」「完成度」という5項目について各20点満点で評価し、その合計ポイントによって導き出した。果たして、どんな順位になったのか。
(監修:河治良幸)

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解説

長崎は中盤に山口、最終ラインにエドゥアルドを加えるなど、強力な陣容がさらに充実。マテウス・ジェズス(写真)ら爆発力のあるアタッカー陣も健在だ【(C)J.LEAGUE】

 J2で戦力的に1つ抜けた存在がV・ファーレン長崎だ。昨シーズンも得失点差などデータ面では、J2優勝で自動昇格した清水エスパルスに匹敵するパフォーマンスを示していた。しかし、効率性という部分で清水や2位の横浜FCに及ばず、昇格プレーオフに回ると、準決勝で徹底的に対策してきたベガルタ仙台に敗れて、昇格を逃した。

 今シーズンは昨年秋に完成した新スタジアムを開幕からホームにでき、気運という意味でもアドバンテージがある。昇格は逃したが、豊富な資金力をバックに主力の大半が残り、元日本代表MFの山口蛍をJ1王者のヴィッセル神戸から獲得。百戦錬磨の名手が大黒柱として引っ張るチームは、ディフェンスラインに横浜F・マリノスからエドゥアルドも加えた。自慢の攻撃力を維持したまま、下平隆宏監督がテーマに掲げる守備力アップに新戦力が寄与しそうだ。そうした要素をシンプルに評価して、「攻撃力」は20、「守備力」は17とした。

 戦力の厚みという点でもほぼ申し分なく、あとはフアンマ・デルガド、エジガル・ジュニオ、マテウス・ジェズスといった外国人アタッカーが、良いコンディションを保ってコンスタントにゴールを奪えるか。前線ではセネガル人の父を持つ身長195センチの新鋭FW、ジョップ・セリンサリウのブレイクにも期待がかかる。

 主力級の新戦力が複数加わったといっても、経験豊富な山口やエドゥアルドの戦術理解力を考えれば、チームの完成度に関しても大きな不安はない。昇格争いのライバルとなるジュビロ磐田から加入した左利きのDF高畑奎汰は、大分トリニータ時代に下平監督の指導を受けており、チームの主軸である米田隼也と左サイドバックのポジションを巡ってハイレベルな争いを繰り広げそうだ。

 合計値91の長崎がその戦力通りのパフォーマンスを発揮できれば、首位を独走してもおかしくないが、そう簡単にいかないのが“魔境”と言われるJ2だ。圧倒的な戦力を誇るチームはそれだけ、厳しくマークされる。昨年、優勝して自動昇格を果たした清水ですら、シーズン中に苦しい時期もあり、今年の長崎も例外ではないだろう。そういう意味で、山口はもちろん33歳のMF加藤大など、ピッチ内外でチームを支えるベテランが存在価値を高めてくるだろう。

 また下平監督は、長いシーズンでは選手層の厚さが必ず重要性を増してくると強調している。現時点で主力と見られる選手たちとサブには、戦術理解度などに開きがあるようにも見えるが、ポテンシャルの高い若手が揃うだけに、そのなかから急台頭してくるタレントはいるはずだ。

1年での昇格・降格を繰り返している磐田は、ハッチンソン新監督を迎えて生まれ変わろうとしている。精力的に補強し、選手層の厚さはJ2随一だ【(C)J.LEAGUE】

 現時点で長崎と少し差はあるが、対抗馬と見られるのが“降格組”の磐田だ。昨シーズンはマリノスを率いたジョン・ハッチンソン監督を迎えて、ボールポゼッションをベースとした“スーパーアグレッシブ・フットボール”に転換しようとしており、そのスタイルにマッチした新戦力も加わった。

 昨年J1で19得点のジャーメイン良がサンフレッチェ広島、高畑が上記の通り長崎、経験豊富なセンターバックの伊藤槙人が横浜FCに去ったが、守備の要であるブラジル人のリカルド・グラッサなど、周囲の心配をよそに多くの主力級を残せた。そこにセレッソ大阪から左サイドのスペシャリストである為田大貴、サガン鳥栖からクレバーな守備に定評のあるDF上夷克典、柏レイソルから左右のサイドバックをこなす川口尚紀など実力者が加わった。

 さらにハッチンソン監督のサッカーにアクセントを加える戦力として、高速ドリブルを武器とする倍井謙を名古屋グランパスから期限付き移籍で補強できたことも、昇格に向けて大きなプラスとなりそうだ。「選手層」はJ2最高レベルと見て満点の20とした。

 選手たちがハッチンソン監督の掲げるサッカーにひたむきに取り組む姿勢は見られるが、やはり気になるのは山田大記の現役引退で空いたキャプテンのポジションだ。指揮官は選手たちに決めさせることを公言しており、さらに“リーダーシップグループ”を作ってチームをまとめるプランを明かしている。

 期待感が大きいチームだが、高い位置でボールを奪い、常に相手陣内でプレーすることを目指すスタイルは、必ず相手の対策と向き合う必要が出てくる。海千山千のJ2で、自分たちのサッカーをブレることなく継続していけるか。そういう基準で見ると、ベースが安定している長崎に比べ、結果の振れ幅が大きくなるリスクはある。以上の理由からチームの「完成度」を14にしたが、逆に言うと戦術面がフィットしてくれば長崎に肉薄できるだろう。

千葉は小林監督の下で一昨季が6位、昨季が7位。エース小森が去ったのは痛いが、チームの完成度が高く、自動昇格も狙える【(C)J.LEAGUE】

 長崎と磐田のほかに自動昇格を勝ち取る可能性があるのは、昨シーズンは昇格プレーオフ決勝で惜しくも敗れた仙台、小林慶行監督の下で熟成路線を歩むジェフ千葉、昨シーズンの終盤戦に猛チャージを見せたモンテディオ山形か。

 仙台は森山佳郎監督の指導力と全体的なバランスの良さが強み。千葉は小林監督が植えつけた戦術の完成度が高く、「完成度」の評価を19としたが、J2の得点王&MVPとなったエース小森飛絢(シント=トロイデン)の抜けた穴をどう埋めていくか。ロアッソ熊本から加入のFW石川大地がキーマンで、彼が新エースとして得点王争いに絡むような活躍をすれば、「攻撃力」は16から上方修正する必要がありそうだ。またブラジルから来た大型FWデリキの爆発も期待される。

 “降格組”の北海道コンサドーレ札幌とサガン鳥栖も「2位以内」に食い込むポテンシャルはあるが、そのためには何かブレイク要素が必要だろう。

 岩政大樹新監督が率いる札幌はディフェンスリーダーだった岡村大八がFC町田ゼルビアに移籍するなど、主力数人が抜けた。それでもJ2の基準で見れば選手層は厚く、キャンプの時点で例年より怪我人も少ないことから、「選手層」を18とした。3年ぶりの復帰となるMF高嶺朋樹(コルトレイクから)がリーダー格になると予想されるが、ロス五輪世代のMF原康介など若手が岩政監督の期待に応える成長を見せれば、優勝争いに加わってもおかしくない。

 一方の鳥栖は札幌にも増して選手の入れ替わりが激しい。昨シーズンの開幕戦でスタメンだった選手はほぼ残っておらず、事実上チームを作り直すことになる。それでもセレッソから加入したMF西川潤をはじめ、ポテンシャルの高い選手が揃う。現時点の評価として合計80になったが、フィジカル、メンタル、タクティカルなど全てが噛み合えば、優勝&昇格争いに加わってくるだろう。

 19と高評価した小菊昭雄監督が、若いチームをどうまとめていくか。その小菊監督が直接“ラブコール”を送ったという前清水のMF西澤健太が、プレーでも精神面でもチームを支える存在になりそうだ。2005年生まれのMF堺屋佳介など若手のブレイクが、自動昇格を掴むカギになってくるかもしれない。

 自動昇格の2枠を争うのは以上の7チームと見るが、6位まで権利が与えられる昇格プレーオフを巡る争いには、昨年同様に+10チームぐらいが絡んできてもおかしくない。その筆頭格が、新スタジアム構想が進むブラウブリッツ秋田だ。吉田謙監督の堅守速攻が確立されており、チームの完成度の高さを背景にスタートダッシュに成功できれば、レノファ山口FCから加入のMF吉岡雅和など計算できる新戦力のプラスアルファも相まって、昇格レースに加わってきそうだ。

 その秋田に続く勢力としてはRB大宮アルディージャ、徳島ヴォルティス、ロアッソ熊本の3つを挙げたい。

 “昇格組”ながら、世界に覇を唱えるレッドブル・グループが新オーナーとなった大宮は、J3優勝メンバーにFW豊川雄太などJ1クラスの実力者が加わり、選手層は上位争いの有力候補に挙げたライバルたちに匹敵する。徳島は従来の“スペイン路線”から軌道修正をした感はあるが、堅実な守備をベースにバランスは取れている。ただ、昇格争いに加わっていくには何か爆発的な要素が不可欠であることも確かだ。

 熊本は最高評価の20とした、6年目の大木武監督のサッカーが完全に浸透しているが、やはり主力の過半数が毎年入れ替わる分、スタート時の完成度は落ちてしまう。それでも骨格の部分は失われておらず、福島ユナイテッドで昨シーズンのJ3ベストイレブンに選ばれたFW塩浜遼ら新戦力が早期にフィットできれば、昇格にあと一歩まで詰め寄った2022年を再現するような大躍進もあり得る。

(企画・編集/YOJI-GEN)

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