今季2軍戦で好成績、爪を研ぐ期待の男たち リーグ戦再開後の“新戦力”を探る
2軍の最多勝トップを走る2人
26歳の左腕・藤井(楽天)は1軍でのプロ2勝目に期待したい 【写真は共同】
26歳の左腕・藤井は昨季、4月28日のロッテ戦でプロ初先発のマウンドを踏み、6回4安打無失点の好投でプロ初勝利を挙げた。しかし、その後は結果を残せず、1軍4試合で1勝2敗、防御率3.38、2軍では15試合で6勝4敗、防御率3.20だった。迎えた今季は、2軍でここまで11試合に登板して5勝2敗、防御率3.67、56回1/3イニングを投げて36奪三振をマーク。1軍ではまだ未登板だが、プロ2勝目を掴む準備は整っていると言える。
23歳の右腕・東は昨季、2軍で15試合84回1/3イニングを投げて、6勝4敗、防御率3.20、60奪三振の成績を収めた。7月28日に支配下登録されて1軍でも4試合に登板。2度目の先発登板となった8月6日の日本ハム戦で5回1/3を5安打1失点に抑えてプロ初勝利をマークした。今季は4月に1軍で2試合に救援登板するも、ともに失点して計4回1/3イニングを投げて防御率6.23。しかし、2軍ではここまで9試合53回イニングを投げて、5勝1敗、防御率2.04、43奪三振の好成績を収めており、特に直近6月17日のウエスタン・中日戦では7回5安打無失点の好投を披露した。
2軍で好救援を続ける投手たち
大阪桐蔭高出身の柿木は今季2軍で防御率0.35と抜群の安定感を見せている 【写真は共同】
この5人の“ファーム守護神”の中で最も優れた防御率を残しているが、育成ルーキーの入山だ。最速154キロのストレートが魅力の東北福祉大出身の右腕。昨秋のドラフト指名後に「最終回を任されるような投手になりたい」と目標を語っていたが、2軍では早くもその役割を担い、ここまで22試合21回2/3イニングを投げて1勝0敗10セーブ、防御率1.66、20奪三振と結果を残している。昨季の宇田川優希のように、夏の支配下登録から一気にスターダムにのし上がる可能性を秘めている。同じく育成契約でプロ入りして2軍で10セーブを挙げている松山が、ひと足先に6月6日に支配下登録されると、同12日の日本ハム戦でプロ初登板して3者連続三振の鮮烈デビュー。入山も続きたい。
その他にも期待したい投手が多くいる。登板試合数順に、イースタンでは堀岡隼人(巨人)が22試合で防御率1.29、宮城滝太(DeNA)が22試合で防御率2.08、林優樹(楽天)が22試合で防御率2.33、柿木蓮(日本ハム)が18試合で防御率0.35、横山陸人(楽天)が17試合で防御率1.13とそれぞれ好救援を続けている。特に支配下返り咲きを目指す甲子園優勝投手の柿木は25回2/3イニングを投げて、わずか1失点。その充実ぶりには目を見張るものがある。
ウエスタンでは、岡留英貴(阪神)が21試合で防御率1.59、椎野新(ソフトバンク)が20試合で防御率1.64、馬場皐輔(阪神)が20試合で防御率2.59、尾形崇斗(ソフトバンク)が19試合で防御率0.78、前佑囲斗(オリックス)が19試合で防御率1.86と、それぞれ好成績を収めている。育成出身の高卒6年目の尾形は、1軍で通算22試合に登板して防御率4.50、今季も4試合で防御率5.06と期待に応えられていないが、2軍では“違い”を見せている。壁を打ち破れるか。期待は依然として高い。
果たして、ここに挙げた選手たちの中から「救世主」は現れるのか。彼らが汗を流しながら必死に研いできた爪は、早くも夏本番を感じさせる日差しの下、強く光り輝いている。