今季2軍戦で好成績、爪を研ぐ期待の男たち リーグ戦再開後の“新戦力”を探る

三和直樹

東京六大学三冠王のルーキー・萩尾(巨人)はイースタンで快音を連発中だ 【写真は共同】

 2023年のプロ野球ペナントレースは、約3週間続いたセ・パ交流戦を終えると、6月23日からリーグ戦が再開する。さらに激しさを増すことが予想される優勝争い&Aクラス争いの中で「救世主」は現れるのか。ファームで好調な選手たちの中に、その資格を持つ男たちがいるはずだ。今季ここまでの2軍戦で、好成績を収めている選手たちの中から“新戦力”を見つけたい。(成績は6月18日終了時点)

快音連発中の大卒ドラ2ルーキー

 まず触れなければいけないのが、イースタン・リーグの打率ランキングで断トツ首位打者の萩尾匡也(巨人)だ。

 慶應大から昨秋のドラフト会議で2位指名を受けた右のスラッガー。開幕1軍入りは逃したが、2軍では大学4年秋の東京六大学リーグで戦後16人目の三冠王(打率.400、4本塁打、17打点)に輝いた実力を存分に発揮した。特に5月は月間打率.473と絶好調でファーム月間MVPにも選ばれ、ここまでイースタンで49試合に出場して打率.369、4本塁打、26打点の成績を残している。

 そのアピールが実り、5月28日に1軍初昇格を果たし、同日の阪神戦(甲子園)でプロ初安打をマークした。スタメンで出場した試合で無安打に終わって6月4日に2軍降格となったが、まだまだチャンスはある。巨人の外野陣は、高卒3年目でブレイクしている秋広優人の他、ベテラン勢に外国人、スピードタイプの選手と多士済々の面子が揃うが、走攻守3拍子揃った萩尾がチームに与えるものは多くあるはずだ。

イースタンの打率3割打者は2人

ドラフト1位ルーキーの蛭間(西武)は1軍舞台で活躍できる準備ができている 【写真は共同】

 萩尾と東京六大学リーグで鎬を削った大卒ドラフト1位ルーキーの蛭間拓哉(西武)も現在、イースタンで打率.306に加えて、2本塁打、22打点と結果を残している。早稲田大では4年時に打撃不振に陥り、開幕1軍入りも叶わなかったが、2軍戦では快音連発で5月中旬の時点では3割5分台の打率を残していた。その頃からは数字は落ちてきたが、5月17日のイースタン・ヤクルト戦(戸田)でライトへ豪快な満塁弾を放って実力を再証明。現在1軍は、極度の得点力不足でパ・リーグ最下位に沈んでおり、そろそろ蛭間に出番があるはずだ。

 もう一人、イースタンで打率3割を超えているのが、大卒2年目の梶原昂希(DeNA)だ。神奈川大からドラフト6位でプロ入りした強肩俊足の外野手。長打力も自慢で、ルーキーイヤーだった昨季は2軍で打率.270、2本塁打、26打点をマークするとともにフレッシュオールスターでは4安打を放って優秀選手賞に選ばれた。迎えた2年目の今季はここまで2軍で52試合に出場して打率.301、5本塁打、16打点と昨季からの成長を強く印象づけている。一軍では昨季6試合に出場して4安打1本塁打も、今季は2試合に出場して無安打。リーグ戦再開後のチャンスをものにしたい。

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著者プロフィール

1979年1月1日生まれ。大阪府出身。学生時代からサッカー&近鉄ファン一筋。大学卒業後、スポーツ紙記者として、野球、サッカーを中心に、ラグビー、マラソンなど様々な競技を取材。野球専門誌『Baseball Times』の編集兼ライターを経て、現在はフリーランスとして、プロ野球、高校野球、サッカーなど幅広く執筆している。

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