東邦が“愛知完全V”に向けて視界良好! ポジ要素十分の春季公式戦を振り返る

尾関雄一朗
 今年春のセンバツで2勝を挙げ、全国でベスト16に入った東邦。直後の愛知県大会では優勝を飾り、夏の愛知大会のシード権を手にした。さらに春季東海大会でも初戦を勝つなど、チーム力の高さを印象づけている。収穫が多かった春の戦いぶりを振り返っていく。

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接戦で粘り強さを発揮

春季愛知県大会でも粘り強さを示した東邦ナイン(写真は準々決勝・桜丘戦) 【尾関雄一朗】

 難敵相手に見事な5連勝だった。今春の愛知県大会は、相手がすべて「セカンド私学」というタイトな組み合わせだった。「セカンド私学」とは、愛知県の「私学4強」(東邦、愛工大名電、享栄、中京大中京)に次ぐ、県で上位常連の私立校勢を指す呼称である。栄徳、愛知黎明、桜丘、愛知啓成、至学館を次々と退けた。

 結果以上に、内容に意義があった。5試合のうち3試合は、試合終盤まで拮抗した展開。接戦をしっかりと勝ち切った。また、その後の東海大会2試合(日大三島に勝利、県岐阜商に敗退)はいずれも1点差での決着だった。

 山田祐輔監督は「競った試合をたくさん経験できたのはよかった」と振り返る。主将の石川瑛貴(3年)も「センバツのときから、粘って勝つことができています」と頼もしい。守備で崩れることがなく、県大会3回戦から準決勝までの3試合はいずれも無失策。「ノーエラーを3試合続けられて、粘り強く守れるようになったと思います」(石川)という実感がある。

 接戦を勝ってきた蓄積が“勝ち癖”になる。あるライバル校のベテラン監督はこう話した。「夏も東邦が一番手でしょう。力そのものは飛びぬけていないのに、秋、春と優勝している。勝っているってことは、強いんでしょうね」。試合ごとに勝負根性が磨かれている。

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著者プロフィール

1984年生まれ、岐阜県出身。名古屋大を卒業後、新聞社記者を経て現在は東海地区の高校、大学、社会人野球をくまなく取材するスポーツライター。年間170試合ほどを球場で観戦・取材し、各種アマチュア野球雑誌や中日新聞ウェブサイトなどで記事を発表している。「隠し玉」的存在のドラフト候補の発掘も得意で、プロ球団スカウトとも交流が深い。

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