松木玖生を擁する若き日本代表は世界一を掴めるか U-20ワールドカップを勝ち抜くための3大ポイントは?

松尾祐希

18日のトレーニングから冒頭15分の公開に。雰囲気は良く、そこかしこでチームを盛り立てる声が聞かれていた 【松尾祐希】

 キャプテン・松木玖生(FC東京)を筆頭にタレントが揃い、さらにヨーロッパでプレーするFW福田師王(ボルシアMG)、MF福井太智(バイエルン・ミュンヘン)、CBチェイス・アンリ(シュトゥットガルト)、左SB髙橋仁胡(バルセロナ)もメンバーに入った。海外クラブから4名という数は、U-20ワールドカップ(W杯)の日本代表として過去最多だ。

 若き日本代表がアルゼンチンで開催されるU-20W杯に臨む。グループCに入った日本の挑戦は21日。アフリカ王者・セネガルとの一戦で幕を開ける。3月のU20アジアカップで3位に入ったチームは12日から現地で調整をスタートさせ、15日には大会前最後となるトレーニングマッチを実施。完全非公開で実施されたアルゼンチン戦は1−2で敗れたものの、松木がゴールを決めるなど収穫もあった。18日のトレーニングからは冒頭15分の公開となり、戦術面の確認などが本番モードで行われている。「私たちの目標は世界一」と言い切る冨樫剛一監督の下、チームはどのような戦いを見せるのだろうか?

勝ち抜くポイントは中2日の戦い方

 日本はセネガルとの初戦を終えた後、24日にコロンビア、27日にイスラエルと対峙する。ノックアウトステージ進出を果たすには2位以内、もしくは全グループの3位チームのうち上位4カ国に入らなければならない。グループステージの突破が最初の目標となるが、ミッションを遂行する上で重要なポイントが3つある。

 1つ目が、限られた人数で中2日の戦いをいかに乗り切るかだ。U20アジアカップでは23名の選手を招集したが、W杯は21名しか登録できない。必然的に選手一人ひとりへの負担が大きくなり、ターンオーバーの重要性が増す。メンバー構成もアジアの戦いから志向が少し変わり、限られた人数で効率よく戦うための人選となった。今まで以上にポリバレントな能力を持つ選手が求められたのも、少ない人数で戦い方の幅を広げるためだ。冨樫監督は言う。

「フィールドプレーヤーは18人、GKは3人しか選べない。A代表のW杯みたいに26名選べれば、本当に楽だった。ここ最近のゲームで伸びてきている選手がいるのは自分も確認していましたから。その中で(メンバーを決める上で)一番大きかったのは、18名のポジションバランス。スペシャルな選手を何人組み込むのかを含め、かなり悩みました」

 そのため、フィールドプレーヤーにおける“スペシャリスト”の起用は、CBとセンターフォワードに限られた。それ以外の選手は複数ポジションに対応可能。4バックと3バックを併用したとしても、全ポジションに3人以上を配置できる陣容になっている。

 特に手薄だった右SBで3名を起用できるメドが立ったのはプラス材料だ。アジアカップではサイドハーフが主戦場のDF屋敷優成(大分)がフル稼働し、「SBを起用してもらい、守備で自信を得た」。だが、本職がひとりもいないポジションで、バックアッパーがCB高井幸大(川崎)というのは不安が残る状況だった。そんな中でボランチの山根陸(横浜FM)がクラブで右SBとして出場機会を掴んだのは、戦術的な幅を広げる意味でも大きい。山根はビルドアップ能力に長けており、攻撃的に試合を運ぶ際の選択肢となる。

 18名の選手をいかに組み合わせ、中2日のグループステージを戦うのか――。目の前の試合だけではなく、大会全体を通したマネジメントが勝ち抜く上で必要不可欠だ。

1/2ページ

著者プロフィール

1987年、福岡県生まれ。幼稚園から中学までサッカー部に所属。その後、高校サッカーの名門東福岡高校へ進学するも、高校時代は書道部に在籍する。大学時代はADとしてラジオ局のアルバイトに勤しむ。卒業後はサッカー専門誌『エルゴラッソ』のジェフ千葉担当や『サッカーダイジェスト』の編集部に籍を置き、2019年6月からフリーランスに。現在は育成年代や世代別代表を中心に取材を続けている。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント