松木玖生を擁する若き日本代表は世界一を掴めるか U-20ワールドカップを勝ち抜くための3大ポイントは?

松尾祐希

注目はCBとFWの起用法

チェイスと福田。高卒で海を渡った2人のコンディションはすこぶる良い 【松尾祐希】

 2つ目のポイントがCBの組み合わせだ。アジアカップの起用法を見れば、副キャプテンを務める田中隼人(柏)が一番手。貴重な左利きのCBで、フィード能力はチーム屈指のレベルにある。だが、現状では所属クラブで出場機会に恵まれていない。試合勘の不安を払拭できないならば、高井と飛び級でパリ五輪世代のチームを経験したチェイスに最終ラインを託す手もある。高井はアジアカップ後にクラブでポジションを掴み、試合を追う毎に安定感がアップ。対人プレーに加え、ビルドアップでも伸長を見せている。

 一方のチェイスは渡独してからコンディションの問題で出場機会に恵まれていなかったが、今年に入って状態を上げてきた。U-23のカテゴリーだが、4月のリーグ戦では3試合連続で先発し、うち2試合はフル出場。空中戦の強さは異国の地でも通用しており、身体能力が高い選手を封じる役目を担える。状態や対戦相手を見極めながら、冨樫監督がどのような選択するのが注目したい。

 3つ目のポイントは福田の起用法だ。今大会にエントリーしているFWは坂本一彩(岡山)、熊田直紀(FC東京)、福田の3名。いずれもストライカータイプだが、特徴は三者三様だ。坂本は駆け引きと裏抜け、熊田は身体の強さを生かしたポストプレーと競り合いの強さ、福田は得点に対する嗅覚と多彩なフィニッシュを武器にしている。アジアカップでも冨樫監督は相手によって選手を使い分けていたが、ここで期待したいのが福田だ。

 福田は昨年の3月以降、代表活動に参加しておらず、連携面に不安が残る。とはいえ、所属クラブで好調を維持しており、U-19チームとはいえ、ゴールを量産しているのは明るい材料。坂本は怪我明けで、熊田も多くの出場時間をクラブで得ているわけではないだけに、試合勘がある福田を思い切ってスタートから起用しても面白い。そして、短時間で結果を残せる坂本や熊田を相手が疲弊したタイミングで投入すれば、それぞれの特徴を最大限に発揮できるはずだ。

 開幕まで残り2日。「思い切って高い目標を掲げ、目の前の試合を一戦一戦戦う。そして世界一に辿り着きたい」(冨樫監督)。21名の個性を組み合わせ、若き日本代表が新たな歴史を作る戦いに挑む。

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著者プロフィール

1987年、福岡県生まれ。幼稚園から中学までサッカー部に所属。その後、高校サッカーの名門東福岡高校へ進学するも、高校時代は書道部に在籍する。大学時代はADとしてラジオ局のアルバイトに勤しむ。卒業後はサッカー専門誌『エルゴラッソ』のジェフ千葉担当や『サッカーダイジェスト』の編集部に籍を置き、2019年6月からフリーランスに。現在は育成年代や世代別代表を中心に取材を続けている。

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