狙うは頂点のみ。日本女子、「打倒・中国」で世界一へ
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タフな連戦を経ての世界戦、コンディション調整がカギか
1月の全日本前から臀部に痛みを抱えていたという伊藤 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
しかし、今大会は第1〜4シードが中国勢となっており、彼女たちがトーナメントの四隅にドローされるため、メダルを獲得するには、中国勢を最低でも1人倒さないといけない可能性が高い。当然、中国も日本女子を徹底マークしてくるが、厚い壁を破ってメダルを手にしたい。
また、今大会は成績に応じてパリ五輪代表選考ポイントが与えられる。国内選考会で優勝すると100ポイントが与えられるが、今大会は3位に入賞すると120ポイント、2位が160ポイント、1位は200ポイントと、選考会優勝以上のポイントを獲得可能。ベスト8でも80ポイントが付与される。さらに中国選手の世界ランク上位3名から勝利をあげると、1勝につき15ポイントが与えられることになっている。女子は現在、早田が332.5ポイントで2位の平野(207ポイント)を大きく引き離しているが、2位以下はまだまだもつれる予感。南アフリカでも、パリ行きの切符をかけた争いが繰り広げられる。
ただ、選手たちのコンディションには不安が残る。今大会に出場する日本代表選手たちは4月にWTTを戦い、帰国後はパリ五輪代表選考会である全農CUP平塚大会に出場と国内外を転戦。その中で伊藤が腰に痛みを抱えていることを明かし、大会出発前の代表合宿では治療に専念することとなった。女子シングルス、女子ダブルス、混合ダブルスと3種目にフルエントリーの早田も「とにかく今は故障しないこと、体調を100%に持っていくこと。こういう状況の中でやっている以上、自分の体のSOSには気がついてあげないといけない」とコメント。タフな戦いとなるが、メダル獲得の吉報を南アフリカから日本へ届けてほしい。
日本女子のツインエースは中国の壁を破れるか
3種目に出場の早田。伊藤との女子ダブルスの他、張本との混合ダブルスにも期待 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
早田は前回大会で初めてシングルスに出場してベスト16。そこから心技体智すべてにおいて成長しており、「シングルスは最低でもメダル獲得が目標」と語る。4月のWTTでは東京五輪金メダリストの陳夢(中国)をあと一歩のところまで追い詰め、5月上旬の全農CUPでも優勝を果たすなど、過密日程の中でも調子は上向いているように映る。
故障も数多く経験し、昨年の世界選手権団体戦でも決勝の中国戦を欠場するなど、コンディションの調整が早田にとって一つの課題。しかし、「試合はやるしかないので、練習の中でどう抑えるか。1日やらなかっただけで、フィーリングがなくなることはない。その余裕を持つことが大事」「やらない選択をどんどん増やしていって、『やらなくてもできる』と思うことが大事だと思う」「100%の力を出せても負ければ負け。最終的にどんな状態でも勝ちは勝ち」とコメントするなど、「どんな状態でも勝ち切る」ことをテーマに練習を取り組んできた。体をケアしながら、スケールアップしたプレーを披露してほしい。
また、伊藤と早田には女子ダブルスでの金メダルも期待される。前回、前々回大会と決勝で中国の孫穎莎/王曼昱に敗れて準優勝に終わっているが、今回もこの中国ペアが最大のライバル。伊藤の故障もあり、ペアでの練習は限られてくるが「私のコンディションさえ良ければ、これまで作り上げてきたものがあるので心配はしていない」と伊藤。「早田選手と笑い合って試合ができたら良いなと思う」という言葉どおり、ゴールデンスマイルで大会を終えることはできるか。