狙うは頂点のみ。日本女子、「打倒・中国」で世界一へ

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2度目の表彰台に挑む平野は静かな自信

公開練習での口ぶりからも充実ぶりが感じられた平野 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 2017年大会で3位に入賞した平野も、3月のWTTで王芸迪(中国)に勝利するなど、調子は上がってきている。ダーバン出発前の公開練習でも「コースだったりサービス・レシーブを仕上げたい」と語ったように、持ち味の速さに加え、戦術面や緩急の使い方がうまくなりプレーの幅が広がっている。「3位を越えたい気持ちはあるんですけど、あまりそこは気にせず、1試合でも多く勝って、長く試合をしたい」。そんな言葉に静かな自信を感じさせる。

 木原と長﨑の「Wみゆう」は世界選手権個人戦には初出場となるが、ジュニア時代から数多く国際大会に出場しており、経験値は十分。昨年の世界選手権団体戦でも、2人揃って決勝の舞台でプレーしている。木原は昨年、世界ランクを一時13位まで上げた。技術、戦術の吸収力が高く、剛柔織り交ぜたプレーはまだまだ進化中。どんな場面でも物怖じしないメンタルも大きな武器だ。

 長﨑は国際大会での成績が伸び悩んだ時期もあるが、世界選手権前最後のWTTで3位に入賞。5月の全農CUPでも伊藤を破った。持ち前のパワーだけに頼らず、プレー全体の精度を高めてきた成果が徐々に現れている。また、木原と長﨑は女子ダブルスにも出場。2019年のグランドファイナルでは、世界王者ペアの孫穎莎/王曼昱を破って優勝を果たすなど、初出場ながらメダル獲得の可能性も十分にある。合宿でもダブルス強化に力を入れており、「バンコクのWTTでは、感覚的にズレている部分があった。合宿で時間をかけて練習することができて、(ペアでの感覚が)戻ってきた」(長﨑)と手応えを口にした。

世界1〜5位を中国が独占。他国の注目選手は?

世界ランク1位の孫穎莎は初のビッグタイトルを狙う 【写真:ロイター/アフロ】

 世界的に見て女子は中国が突出した実力を誇り、それを日本が追い、他国がさらに日本を追うというような状況にある。現在、世界ランク1〜5位を中国勢が占めており、今大会にはその全員が出場。1〜3位に並ぶ孫穎莎、王曼昱、陳夢がBIG3だが、4位の王芸迪、5位の陳幸同も実力は相当に高く、同士討ちとなれば勝敗の予測は難しい。中国においても、今大会の結果はパリ五輪代表選考に大きく影響するため、例年以上に気合いの入る戦いとなる。

 中国、日本以外では鄭怡静(チャイニーズタイペイ)が好調。今年に入って伊藤、早田を破るなど、一時期の不調を抜け出し上昇気流に乗っている。高い攻撃力を誇るディアス(プエルトリコ)も今大会のブレイク候補。昨年は日本に滞在して練習を積んだが、武者修行の成果を発揮したい。また、このところ元気のない韓国だが、幼少期から期待を集めた18歳の申裕斌が着実に強くなっており、上位進出を狙う。

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