バドミントン世界ジュニア女王の宮崎友花 高校選抜2冠で見せた最大の武器
勝負所で強気に出られた背景に、昨夏インターハイの敗戦
1年生ながら、すでにチームのエース。今後はプレッシャーとの戦いも増していく 【筆者撮影】
宮崎は、団体戦を優勝した後、最後の第3シングルス第2ゲーム終盤20オールの場面を振り返り「昨年無理だったことを、自分自身で超えるんだ、という強い気持ちがあったから、攻め切れたのかなと思います」と話した。彼女の心には、昨夏のインターハイの経験が引っかかっている。全国中学校大会を制して高校に進学した彼女は、期待のルーキーとして個人種目にも出場したが、女子シングルスは準々決勝で1学年上の遠藤美羽(作新学院)に敗れた。その後、宮崎は、高校2年生までが対象となる全日本ジュニア選手権で遠藤と同時優勝(悪天候による大会打ち切りで決勝戦が中止)。さらに前述の世界ジュニア選手権で優勝を飾っている。それでも、宮崎は、昨冬の全日本総合や今大会で「まだ日本一になったことがない」と繰り返していた。高校生にとって最大の舞台は、インターハイ。そのタイトルを取っていない自分は、まだ高校日本一になったことがない選手だと言い聞かせているのだという。うまくいかないイメージを振り払い切れずにインターハイで敗れてしまった自分を常に意識し、あのときとは違う自分になることへの挑戦が、この大会を勝ち上がる姿に垣間見えた。
世界女王・山口茜を追いかける存在へ
今年の目標は、夏のインターハイ優勝、そして秋の世界ジュニア選手権2連覇となる。だが、宮崎には、その先に見据えているものもある。昨冬の全日本総合ではベスト16で敗れたが「来年の全日本総合で、山口茜さんが(高校2年で初めて)優勝しているので、自分もそこに追いつきたいと思っています」と高い目標を掲げていた。2028年ロサンゼルス五輪での活躍が期待される逸材。春の高校選抜では大器の片りんを見せて2冠に輝いた。夏、秋、冬と期待を受けながら戦うプレッシャーを受けながら、自らが課したハードルを越えて行けるか。どんな成長曲線を描くのか、楽しみだ。