バドミントン世界ジュニア女王の宮崎友花 高校選抜2冠で見せた最大の武器

平野貴也

勝負所で強気に出られた背景に、昨夏インターハイの敗戦

1年生ながら、すでにチームのエース。今後はプレッシャーとの戦いも増していく 【筆者撮影】

 団体戦でエース格の働きを見せた宮崎について、柳井商工の竹光唯至監督は「海外の大会や全日本総合は、チャレンジャーの気持ちでプレーできていましたが、この大会は(相手の向かって来る姿勢を)受けて勝たないといけない。最後、自分から攻めて勝てたのは、成長している部分。インターハイのときは、自分自身に負けてしまって勝てなかったというのがあった。本人も見返してやろうという気持ちが強かったのかなと思います」とメンタルの成長を認めた。

 宮崎は、団体戦を優勝した後、最後の第3シングルス第2ゲーム終盤20オールの場面を振り返り「昨年無理だったことを、自分自身で超えるんだ、という強い気持ちがあったから、攻め切れたのかなと思います」と話した。彼女の心には、昨夏のインターハイの経験が引っかかっている。全国中学校大会を制して高校に進学した彼女は、期待のルーキーとして個人種目にも出場したが、女子シングルスは準々決勝で1学年上の遠藤美羽(作新学院)に敗れた。その後、宮崎は、高校2年生までが対象となる全日本ジュニア選手権で遠藤と同時優勝(悪天候による大会打ち切りで決勝戦が中止)。さらに前述の世界ジュニア選手権で優勝を飾っている。それでも、宮崎は、昨冬の全日本総合や今大会で「まだ日本一になったことがない」と繰り返していた。高校生にとって最大の舞台は、インターハイ。そのタイトルを取っていない自分は、まだ高校日本一になったことがない選手だと言い聞かせているのだという。うまくいかないイメージを振り払い切れずにインターハイで敗れてしまった自分を常に意識し、あのときとは違う自分になることへの挑戦が、この大会を勝ち上がる姿に垣間見えた。

世界女王・山口茜を追いかける存在へ

 個人種目では「緊張の中でのワクワクを楽しめた」と笑顔を見せた。リスクを恐れて縮こまったプレーをするのではなく、試合の展開や相手との駆け引きを楽しんで相手の逆を突けてこそ、彼女の特長は発揮される。大会最終日は、競技を終えて大阪へ移動。翌日から国際大会の大阪インターナショナルチャレンジにも出場した。今年は、日本B代表に入ったため、国際大会の出場機会も増える見込みだ。宮崎は「どれだけチャンスをつかめるか。課題も見つかったので、練習して、チャンスをつかむ年にしたいと思います。海外の選手は、(コートの)奥まで攻めても角度のあるスマッシュや、浮いてこない球を打って来る。早く対応したり、自分が変化したりしていかないといけない。(ネット)前の球でも、少し崩れると体幹がずれる。フィジカル面を上げていきたい」と進化のイメージを語った。

 今年の目標は、夏のインターハイ優勝、そして秋の世界ジュニア選手権2連覇となる。だが、宮崎には、その先に見据えているものもある。昨冬の全日本総合ではベスト16で敗れたが「来年の全日本総合で、山口茜さんが(高校2年で初めて)優勝しているので、自分もそこに追いつきたいと思っています」と高い目標を掲げていた。2028年ロサンゼルス五輪での活躍が期待される逸材。春の高校選抜では大器の片りんを見せて2冠に輝いた。夏、秋、冬と期待を受けながら戦うプレッシャーを受けながら、自らが課したハードルを越えて行けるか。どんな成長曲線を描くのか、楽しみだ。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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