大会の行方を左右するポイントは? WBC特有のルールを紹介

データスタジアム株式会社

中日戦での内容は振るわなかった侍ジャパン。本番に向けて課題を克服できるか 【写真は共同】

 今大会で5回目の開催となるワールド・ベースボール・クラシック(以下WBC)。初開催時にはなかったルールやテクノロジーがMLBで採用された関係で、WBCのルールも都度調整がされており、その中には現在NPBで採用されていないものもある。本記事では大会のカギを握りそうないくつかのルールをピックアップして紹介する。

各国首脳陣の頭を悩ませる球数制限

中日との合同練習で登板したダルビッシュは、WBC本番でも先発を務めることになるだろう 【写真は共同】

 WBCで採用されている最も特殊なルール、各国の首脳陣が必ず意識して臨まなければならないルールが投手の投球数制限だろう。野球の国際大会ではアンダーカテゴリーも含めてかなりの頻度で採用されているルールである。今大会では1次ラウンドで65球、準々決勝では80球、準決勝以降では95球に到達した際の打者までしか投げることはできない。そして1試合の投球数が50球を超えた場合、中4日以上の間隔を空けないと次の登板ができない。先発の状態が悪く早期降板した場合などを踏まえると、先発できる投手をブルペンに何人スタンバイさせられるかは重要なポイントとなる。侍ジャパンが過去4大会ですべてベスト4に進出できている一因は、シーズン中は先発を任されている有力な投手を複数ブルペンに控えさせ、あたかも第2の先発として起用できる層の厚さだ。

 これに関しては打線が2巡、3巡と回るたびに先発の成績は悪化する傾向にあるため、先発を早く降板させられる選手層の厚さには別のメリットももたらす。近年のMLBではリリーフ投手が先発し、その後ろを本来先発できる投手がロングリリーフ、あるいは先発が打者9人に投げたところで別の先発がもう1巡を担当するような継投シーンも増えている。侍ジャパンは、選手層と球数制限ルールによってこの戦術を取ってきたと思われるが、継投の手段としては時代を先取りしていたのかもしれない。

 なお、このルールに関しては、プールBで戦う日本の1次ラウンド最終戦が行われる3月12日に初戦を迎え、11日間で決勝まで7試合を戦い抜くプールC、Dのチームほど細心な起用を求められる。メジャーリーガー中心の各国メンバーを見ると、アメリカやベネズエラ、メキシコは先発やロングリリーフが比較的多く、ドミニカ共和国やプエルトリコは少数精鋭の先発に本職がリリーフを多く揃えた構成になっている。投手交代において打者3人に投げるか、あるいはイニングの最後まで投げきる必要があるワンポイント禁止ルールが今大会から採用されたこともあり、ドミニカ共和国のような編成のチームは先発が役割を全うできるかどうかがチームの動向を大きく左右しそうだ。

1/2ページ

著者プロフィール

日本で唯一のスポーツデータ専門会社。 野球、サッカー、ラグビー等の試合データ分析・配信、ソフト開発などを手掛ける。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント