【WBC注目投手8選】“魔球使い”やMLB最高の奪三振マシーン 個性派揃いの各国投手陣
※2月10日の最終メンバー発表を元に本コラムを執筆しましたが、その後2月18日にカーショー選手の出場辞退が発表されました。
クレイトン・カーショー(アメリカ)
カーショー(ドジャース)は通算197勝を誇るアメリカのエース 【Photo by Sean M. Haffey/Getty Images】
アメリカ代表のエースと目されるクレイトン・カーショーが3度のサイ・ヤング賞受賞に加え、通算197勝、防御率2.48を誇る左腕。フォーシームの球速こそ今は平均146キロ程度となったものの、左右のコースを間違えない制球力は健在。伸びのあるフォーシームや大きく割れるカーブで打者を翻弄する投球は現在でも十二分に通用しており、昨シーズンは防御率2.28をマークした。また、昨年のオールスターで大谷翔平をけん制で刺しているけん制の名手で、盗塁を仕掛けづらい投手でもある。22年は1イニング平均14.6球と省エネ投球を見せていて、WBCの投球数制限下でも先発の役割を果たしてくれるだろう。百戦錬磨のベテランが見せる投球術に要注目だ。
アダム・ウェインライト(アメリカ)
ウェインライト(カージナルス)は41歳の技巧派右腕 【Photo by Scott Kane/Getty Images】
21、22年の2シーズン合計投球数が6000球以上に達する投手は、MLBにも6人しかいない。そのうちの一人が通算195勝、現在41歳のアダム・ウェインライトだ。得意の球種は投球の30%以上を占めるカーブ。100キロ台から120キロ台まで球速の幅が広く、速球が140キロ前後の彼にとっては打者のタイミングを外すためにも必要不可欠な球種となる。加えて、ウェインライトはストライクゾーンを果敢に攻める“強気”も持っている。22年はゾーン内への投球が49.8%で、MLB平均の48.5%を上回っていた。速球の平均球速が150キロを超えるMLBにおいて、平均が10キロ近く遅い投手がストライクゾーンを突くには相応の覚悟と観察力がいる。長年の経験で培った投球術と勇気こそが、ウェインライトの真骨頂だろう。今大会でも持ち味の攻めのピッチングを見せてくれるはずだ。
フリオ・ウリアス(メキシコ)
ウリアス(ドジャース)は過去2年で合計37勝を挙げている 【(Photo by Harry How/Getty Images】
カーショーを筆頭に優秀な投手がローテーションを構成するドジャース先発陣にあって、フリオ・ウリアスは21年に20勝、22年に17勝と大車輪の働きを見せた生え抜き左腕だ。持ち球は150キロ前後のフォーシームとカーブ、チェンジアップの3球種とシンプルだが、最大の武器はカーブ。投球のほぼ3分の1を占めており、ストライクゾーンの低めに制球できる。カーブは他の球種と比較して一般的にはストライクゾーン内に入っても強い打球を打たれづらいため、カーブでカウントを稼ぐ配球は有効だ。また本人も自信を持っているようで、ボール先行からカウントを戻したいときにも速球でなくカーブでカウントを取りにくるほどだ。ウリアスを攻略するのであれば、伝家の宝刀であるカーブを避けて通ることはできない。
サンディ・アルカンタラ(ドミニカ共和国)
アルカンタラは22年のサイヤング賞右腕 【Photo by Eric Espada/Getty Images】
MLBは選手枠拡大もあって投手の分業制がさらに進み、早めに継投する傾向が強くなっている。サンディ・アルカンタラはそんな時代に1試合平均7イニング以上を消化し、22年のサイ・ヤング賞に輝いた。平均球速158キロの剛速球で押す投球が基本だが、速球と同じような軌道から沈むチェンジアップはアルカンタラ攻略をより難しくしている。平均148キロと本来なら速球レベルの球速だが、160キロに迫る速球と同じタイミングでスイングすれば微妙にタイミングがズレる。昨年はチェンジアップをストライクゾーンに投げる割合が45%と平均値の39%よりも高かったが、被打率は.145と狙って打てるものではない。そういったデータを見ても、この球種の有効性がうかがえる。出場国で随一の陣容を誇るドミニカ共和国投手陣。その象徴ともいえるアルカンタラは、今大会も圧倒的なピッチングを披露してくれそうだ。