WBC・出場チーム「戦力ランキング」
記事
3月8日からいよいよ第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開幕する。今回は出場全20チームの戦力を数値化し、6つの項目別(各項目10点満点)で採点。その合計得点をランキング形式で紹介するとともに、高評価のチームについて掘り下げていく。
(企画・編集/データスタジアム株式会社)
※ランキング上位と寸評コラムはスポーツナビアプリでご覧いただけます
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解説
最高評価となったのは、やはりトップレベルのメジャーリーガーが集結したアメリカだ。現役最高の選手と称される主将マイク・トラウトを筆頭に、野手陣には打撃タイトルの獲得経験者がずらりと並ぶ。またノーラン・アレナドやムーキー・ベッツはゴールドグラブ賞の常連でもあり、打力のみならず堅いディフェンスも兼ね備えた陣容といえる。先発投手陣に関しては、エースとして期待されたクレイトン・カーショーが参加辞退となったものの、アダム・ウェインライトやランス・リンといった歴戦のベテランが参戦。ブルペンにはデビン・ウィリアムズ、ケンドール・グレーブマンなど優れた個性派リリーバーが控え、相手の反撃を封じる体制が整っている。チーム全体で隙らしい隙は見当たらず、文句なしの優勝候補といっていいだろう。
2番手の評価となったドミニカ共和国もアメリカとの差は小さく、有力な優勝候補といえる。投手陣は当初の先発候補に辞退が相次いだこともあり、最終的には先発4人、リリーフ10人という配分になった。ゲームメークに関してはやや不安があるものの、大会ルールで球数制限が設けられているため、他国と比べてもそれほど不利にはならないだろう。むしろブルペンの選手層を生かし、先発降板後は小刻みな継投で相手打線を抑え込むといった戦術も考えられる。一方の野手陣はフリオ・ロドリゲス、フアン・ソトなどの若きスターから、2013年大会の優勝を知るロビンソン・カノー、ネルソン・クルーズといった大ベテランまで幅広い世代が集まった。豪華メンバーを擁する自慢の打線で、試合序盤から主導権を握りたいところだ。
ドミニカ共和国とは対照的に、先発の層が極めて厚いのが侍ジャパン。ダルビッシュ有、大谷翔平、山本由伸といった球界を代表する顔ぶれに加え、各チームでエース級の立ち位置にいる投手が集まっている。いわゆる「第2先発」まで余裕をもって運用できるのは明確な強みだ。また、野手を中心に2019年のプレミア12や21年の東京五輪で活躍したメンバーが多く、国際試合の経験にも不足はない。このように戦力の充実度は十分だが、ひとつ気がかりなのは外野の守備だ。今回選ばれた外野手の多くが左翼か右翼を本職としているのに加え、不動のライトとして期待された鈴木誠也が故障により出場を辞退。手薄な中堅のポジションには牧原大成が追加招集されたものの、外野の陣容は大会直前まで試行錯誤が続きそうだ。バッティングで鈴木の穴埋めを期待される近藤健介や、メジャーで外野3ポジションを経験しているラーズ・ヌートバーといったスタメン有力候補が、大会開幕までに準備を整えられるかどうかがカギとなる。
この3カ国に続く有力なチームとしては、2大会連続準優勝のプエルトリコが挙げられる。チームの中心はハビエル・バエスとフランシスコ・リンドーアの二遊間コンビだ。2017年の前回大会ではそれぞれ最優秀二塁手・遊撃手に選出され、その後もメジャーで実績を積み重ねている。2人を筆頭に野手陣は攻守ともに充実している印象を受けるが、投手陣に関しては先発の戦力が少々心もとない。ブルペンにはエミリオ・パガン、エドウィン・ディアスといった優秀なリリーバーが控えているだけに、先行逃げ切りが理想の展開となるだろう。打線の破壊力ではベネズエラも負けていない。特に内野には強打の二塁手ホセ・アルトゥーベ、昨季ア・リーグ首位打者のルイス・アラエス、三冠王ミゲル・カブレラなどビッグネームが並び、1次ラウンドからプエルトリコと激しく火花を散らしそうだ。
一方、投手陣の厚みを武器に今大会のダークホースとなりうるのがメキシコだ。昨季ナショナル・リーグ最優秀防御率のフリオ・ウリアス、メジャーで13勝のホセ・ウルキーディ、大谷とともにエンゼルスのローテーションを支えるパトリック・サンドバルなど、先発の充実度が際立っている。守りの野球で1次ラウンド突破を決めることができれば、大躍進のチャンスもある。また、キューバはブルペンにリバン・モイネロ、ジャリエル・ロドリゲス、ライデル・マルティネスというNPBでおなじみの鉄壁リリーバーが控えており、接戦で強さを発揮するだろう。