井口資仁が2023年のセ・リーグを○×予想 ヤクルト・村上からタイトルを奪う選手をズバリ占う!
広島のキャンプを見て西川龍馬の打撃を絶賛する井口氏。ヤクルト・村上から首位打者を奪えるか? 【写真は共同】
ヤクルト:村上宗隆が2年連続で三冠王を獲得する
井口氏は「燃えるものがあるはず」と、巨人・岡本和真の奮起に期待している 【写真:スリーライト】
――昨年、史上最年少で三冠王を獲得した村上選手。2年連続三冠王の期待がかかりますが、実現するでしょうか?
二冠の可能性はありますが、三冠は厳しいかなと思います。それだけ、三冠王のハードルは高い。昨年以上にマークが厳しくなり、チャンスの場面になるほど、際どいコースを攻められる機会が増えるはずです。なかなか思うようには、バットを振らせてもらえないと予想します。
――本塁打王は、2位に26本もの差を付けて獲得しました。今年も独走の可能性は高いでしょうか?
どうでしょうか。2020年から2年連続で本塁打と打点の二冠を獲得していた岡本和真選手も、燃えるものがあるはずです。昨年、状態がなかなか上がらない中でも、30本、82打点をマーク。対抗馬の一番手になると見ています。
――井口さんは、村上選手のバッティングをどのように評価していますか?
詰まっても先っぽでもスタンドに入れる自信があるのか、自分のスイングでバッティングができています。どっしりしていて、泳がされることがほとんどないですよね。
――ホームランが出やすい神宮球場というのも、村上選手には追い風になっていますか?
それはあります。神宮は基本的に打者からするとフォローの風が吹いているので、高めの球に対してスピンをかけてフライを打てば、スタンドに入りやすい。村上選手も、風向きを頭に入れながら打っているはずです。
DeNA:今永昇太が悲願のタイトルを獲得する
――2020年オフに左肩の手術を受けた今永投手ですが、昨年はローテの中心を担い、11勝、防御率2.26と見事な復活を遂げました。今年、初の投手タイトルの期待がかかります。
三振か防御率か、あるいは勝利数か、何らかのタイトルは獲れるでしょう。打者有利の横浜スタジアムを考えると、防御率は少し不利なので、可能性が高いのは奪三振と見ています。
――2019年にはリーグ2位(186奪三振)に輝いた実績を持っています。今永投手の優れた点はどこにありますか?
ストライクゾーンの奥行きを使えることです。ストレートで打者を差すこともできれば、チェンジアップで前に出すこともできる。キレのいいストレートがあるので、打者はストレート狙いで待つのが基本になりますが、そこに合わせていると、チェンジアップやスライダーに翻弄されてしまう。交流戦でDeNAと当たるときには、「投げてこないでくれよ」と思うこともありました(笑)。イメージですが、DeNAは似たようなタイプの左腕が多いですね。
――ストレート、チェンジアップ、スライダーを操るイメージがあります。
先発タイプの左腕が勝つにはストレートはもちろんですが、チェンジアップやシンカー系の抜き球を持っていることが必須です。攻略側としては、抜き球をどのカウントでどのように使うのかを調べていました。投球割合を頭に入れて、ストレートではなくチェンジアップを狙わせることもあります。9分割の下3マスを打つと、ゴロか泳いだフライにしかならないので、真ん中と上の計6マスを叩くイメージを持たせていました。
阪神:佐藤輝明が35本塁打以上を打つ
――1年目は24本、2年目には20本を放った佐藤選手。3年目の今年、35本塁打以上はあり得るでしょうか?
35本ですか……、甲子園が本拠地であることを考えても難しいと予想します。30本であれば、可能性はあると思います。少し心配なのが、岡田彰布監督の方針もあり、サードでの起用が増えることです。岡田監督は、「佐藤は打つだけでいい」と言っていますが、守備でミスが増えてくると、さすがに本人は悩むことも出てくるでしょう。それが、多少なりともバッティングに影響を及ぼすのではないでしょうか。
――今後、35本塁打以上を打つためのカギは何になりますか?
春季キャンプを見ていると、フリーバッティングから、ライト方向に引っ張り込む打球が目立っていました。芯で捉えればバックスクリーンにも逆方向にも放り込める力はあるので、そこまで強く引っ張る意識を持たなくてもいいのかなと。甲子園球場の浜風を考えても、レフト方向のほうが風に乗りやすい。広角にホームランが出るようになれば、35本が見えてくると思います。