鳥谷敬が2023年のセ・リーグを○×予想 村上、佐藤輝、菅野ら注目選手の今季を占う
意外にも過去7年間でタイトル獲得がないDeNA今永、8年目の戴冠なるか? 【写真は共同】
ヤクルト:村上宗隆が2年連続で三冠王を獲得する
――史上最年少(22歳)で三冠王を獲得した村上選手ですが、2年連続での偉業はあり得ますか?
正直、難しいと思います。当然、本塁打王争いには絡んできますが、打点と打率をどこまで上げることができるか。昨年以上に、バッテリーのマークが厳しくなるのは間違いありません。際どいコースを突いて、勝負を避けられるケースが増えていく。もしかしたら、満塁でも際どいところで攻めて、「歩かせてもいい」という配球になるかもしれません。
――昨年は四球(118)、故意四球(25)ともにダントツの1位でした。
そう考えたときに、打点を稼ぐのがなかなか難しくなるのかなと。打点はひとりでは稼げないので、山田哲人選手、オスナ選手、サンタナ選手ら、前後を打つバッターの状態がカギを握ると見ています。
――昨年の三冠王は予想していましたか?
いえ、ビックリしました。特に打率ですね。バッテリーに警戒されていながらも、強引に打って打率を落とすことなく、我慢することができていた。ボールを呼び込んで、反対方向にも長打が打てる技術を身に付けたことが、三冠王につながったと思います。
DeNA:今永昇太が悲願のタイトルを獲得する
――左肩の故障から復活を遂げ、昨季は11勝4敗、防御率2.26と好成績を収めました。初の投手タイトル獲得となるでしょうか?
十分にあり得ます。一番可能性が高いのが防御率。ケガから復帰してから、フォアボールで崩れることが減り、ストライクゾーンの中で勝負ができています。それが防御率にも表れていて、「ある程度アバウトなコントロールでも、球の強さやキレで勝負ができる」という自信があるのではないでしょうか。
――代名詞は伸びのあるストレートですね。
打者の立場からすると、錯覚が起きるんです。「ここで捉えられる」と思ってバットを振っても、ファウルや空振りになる。そうなると、打者心理として「少し上を振らなきゃいけない」とズレを修正しようとする。そこに、どうしても打席数が必要になるのです。
――1打席目のファーストスイングからアジャストするのはなかなか難しいと。
タイトル争いに関して、ひとつ不安があるとすればWBCです。NPBのボールと比べると、縫い目が少し高い。WBCからNPBのボールに戻ったときに、すぐにアジャストできるかどうか。ここに対応できれば、タイトルも見えてくるはずです。
阪神:佐藤輝明が35本塁打以上を打つ
阪神・宜野座キャンプで実際に佐藤輝明のバッティングを見た鳥谷氏の意見は? 【写真は共同】
――佐藤選手も早くもプロ3年目を迎えます。ホームランを期待するファンが多いと思いますが、「35本塁打以上」の可能性はいかがでしょうか。
難しいですね。佐藤選手のバッティングを見ていると、まだそこのレベルにまで達していないと感じます。春季キャンプを見ていてもまだまだ粗さがあり、確実性に課題が見えます。
――芯で捉えたときの飛距離はすさまじいものを感じます。
強く大きく振ったときの飛距離は、プロでもトップレベル。ただ、35本以上打つスラッガーは、「その力感でそこまで飛ばすの?」といった上手さや技術を持っています。完璧なスイングでなくてもスタンドに放り込めるようになれば、本数も増えていくはずです。
――昨年は20本塁打、84打点、2割6分4厘。この数字はどう見ていますか。
2年目としては十分だと思います。1年目(24本塁打、64打点、2割3分8厘)に比べてホームランが減り、打率、打点が上がっているのは、確実性を求めたからだと推測できます。ここから、ホームランを求めるのか、あるいは打率を求めるのか。個人的には、打率2割5分前後でも、35本~45本を狙える長距離砲になってほしいと思っています。