ファン&解説者が予想!ど~なる? 2023年のプロ野球

鳥谷敬が2023年のパ・リーグを順位予想 ソフトバンクが2位に10ゲーム以上の差をつける?

大利実

打線、投手陣ともに万全の補強に成功したソフトバンク。優勝候補ナンバーワンだが、鳥谷氏の見解は? 【写真は共同】

 昨年から野球解説者として活躍し、今年も積極的にキャンプ取材を行う鳥谷敬氏が早くも2023年パ・リーグの順位を予想。侍ジャパン宮崎キャンプが2月17日から始まるが、これまでの各球団のキャンプを見て、鳥谷氏はどこのチームを1位に推したのだろうか? 今後のキャンプ、オープン戦を見て変わる可能性はあるが、3月31日のプロ野球開幕1カ月前の現時点で、今シーズンのパ・リーグをズバリと占ってもらった。


鳥谷敬氏の予想
1位:福岡ソフトバンクホークス
2位:オリックスバファローズ
3位:東北楽天ゴールデンイーグルス
4位:千葉ロッテマリーンズ
5位:埼玉西武ライオンズ
6位:北海道日本ハムファイターズ
――セ・リーグに続いて、パ・リーグの順位予想をお願いします。オフシーズンは、ソフトバンクのすさまじい補強が目立っていました。

 ソフトバンク、オリックス、楽天、ロッテ、西武、日本ハムと、予想します。「セ・リーグは上位3チームが混戦」とお話ししましたが、パ・リーグはソフトバンクの力が抜けています。野手では安定した数字が計算できる近藤健介選手がFAで入団し、ケガで離脱していた栗原陵矢選手も復帰。投手ではロベルト・オスナ投手が加入し、不安だったクローザー問題が一気に解消されることになりそうです。

――ペナントレースを独走することもあり得るでしょうか?

「ケガ人が複数出なければ」という条件付きにはなりますが、万全のチーム状態であれば、10ゲーム近く離しても何ら驚きません。それぐらい、質量ともに高い戦力を誇っています。

――先発陣はエースの千賀滉大投手がMLBに挑戦し、柱がひとり抜けることになります。

 当然、戦力的には痛いですが、有原航平投手を補強し、楽しみな若手も多いので、そこまで大きな影響はないと見ています。

吉田正尚の穴は最後まで埋められない

鳥谷氏は、西武から移籍した森友哉に相手のマークが集中すると予想する 【写真は共同】

――2位は昨年逆転でペナントレースを制し、日本一まで勝ち取ったオリックス。連覇は難しいでしょうか?

 吉田正尚選手が抜けたことが、非常に痛いですね。打率や出塁率はもちろん、チャンスでの勝負強さに秀でていました。相手バッテリーとしては、吉田選手がいるといないとでは重圧のかかり方がまったく違うはずです。

――吉田選手の穴を埋める期待を背負い、西武から森友哉選手が加入します。

 吉田選手と同じような数字を残せるかとなると……、どうでしょうか。西武のときは山川穂高選手や中村剛也選手らがいる中での森選手だったので、警戒度が分散していました。しかし、現状のオリックスを考えると、森選手を徹底マークすることになると思います。新天地に移ることでキャッチャーとしての負担も大きくなるでしょうし、バッティングだけに集中できない難しさも出てくるはずです。

――それでも、予想は2位。

 やっぱり、あの投手力ですね。山本由伸投手を筆頭に先発陣が安定し、昨年の日本シリーズを見てもわかるようにリリーフ陣の力は圧倒的。6回までリードしていれば、勝ちゲームを確実にモノにしていく投手力を持っている。投打のバランスを考えると、ロースコアの展開が増えていくと予想しています。

――3位の予想は楽天。2019年からの順位を見ると、3位、4位、3位、4位と、中位を行き来しています。

 正直、2位にするかどうか迷いました。投打のバランスが良く、勢いに乗ったときには一気に白星を重ねる強さも持っています。昨年は4月から5月にかけて11連勝と、球団新記録を作りました。

――前半戦は「今年は楽天!」と思うシーズンもあるのですが、6月、7月頃から負けが増えてしまうシーズンが続いている印象があります。

 たしかに、そうですね。さまざまな要因があるとは思いますが、松井裕樹投手につなぐまでのリリーフ陣に不安があるのが、そのひとつと言えるでしょう。昨年の後半戦も、7回、8回をしのぎ切れずに逆転負けを喫する試合を何度か目にしました。シーズン前半はリリーフ陣の状態が良くても、1年間投げ続けていると、夏場以降に当然疲れが溜まってくる。層が厚い球団であれば、複数の投手をうまく起用して乗り切ることができますが、楽天のリリーフ陣にまだそこまでの分厚さがありません。このあたりが解消できれば、2位も見えてくると思います。

――中日から阿部寿樹選手が加入しますが、どんな効果がありそうですか?

 セカンドには浅村栄斗選手がいるので、どこで起用するのかまだわからないですが、一塁も外野も守れる器用さを備えています。阿部選手がいることで、幅の広い選手起用ができるのではないでしょうか。

――4位は古巣・ロッテ。心情的には、Aクラスに入れたかったと思うのですが。

 クローザーのオスナ投手のソフトバンク入団が、かなり痛いですね。昨年の戦いを見ても、オスナ投手が9回にいるかどうかで大きな違いがありました。益田直也投手の状態がどこまで上がってくるかはまだわからず、新外国人投手も未知数なところがあります。7回から9回の終盤をどう組み立てていくか、吉井理人監督の采配に注目してみたいですね。

――吉井さんが投手コーチから監督に就いたことに驚きました。どのような采配をふるうと予想されていますか?

 選手一人ひとりとコミュニケーションを取るのが非常にうまい方です。選手との距離も、比較的近い指導者です。今度は監督という立場になったときに、どのような距離感になるのかは個人的に興味があります。あと、少し心配なのが、WBCのコーチを務める関係で、チーム本隊から離れてしまうことです。侍ジャパンがどこまで勝ち進むかにもよりますが、キャンプの途中からWBCに帯同し、開幕の2週間ほど前までいないことになります。

――具体的にどんな影響が考えられますか?

 代打、代走、中継ぎなど、途中から起用される選手にとっては、「このタイミングで監督は使ってくる」「自分にはこんな役割を求められている」というところが見えないまま、開幕を迎える可能性があります。吉井監督のことなので、さまざまな準備をしているとは思いますが、選手からすると不安は残るのではないでしょうか。

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著者プロフィール

1977年生まれ、横浜市出身。大学卒業後、スポーツライター事務所を経て独立。中学軟式野球、高校野球を中心に取材・執筆。著書に『高校野球界の監督がここまで明かす! 走塁技術の極意』『中学野球部の教科書』(カンゼン)、構成本に『仙台育英 日本一からの招待』(須江航著/カンゼン)などがある。現在ベースボール専門メディアFull-Count(https://full-count.jp/)で、神奈川の高校野球にまつわるコラムを随時執筆中。

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