12球団の“熱烈”識者が語る!昨シーズンと新シーズン

千賀の抜けた「穴」はどうする? ホークスのベテラン記者がエースの期待をかける男

Timely!編集部

優勝は逃したが若手の台頭もあった2022年のソフトバンク。3年ぶりの頂点に向けてオフも積極的に動いた 【写真:共同通信社】

 既に始まっている、新シーズンに向けての戦い。監督の交代、ドラフト会議、トレード、新助っ人獲得、現役ドラフトなどを経て、あなたの応援するチームはどのように変貌するのだろうか? そこで、12球団の"熱烈"な識者の皆さん12人とライター菊地高弘さんに、昨シーズンを振り返りつつ、新シーズンへの期待、展望などを対談形式で存分に語って頂きました。

 第11回目となる今回は福岡ソフトバンクホークス編。球団公式サイトへの寄稿なども行っている、スポーツライターの田尻耕太郎さんとライター菊地高弘さんの対談をお届けします。

故障者に泣いた2022年、「僅かな差」で逃したリーグ優勝

ソフトバンクはこのオフ、近藤健介(写真)をはじめとした大型補強を敢行し話題を集めた 【写真:共同通信社】

菊地 このオフのソフトバンクは動きが活発化していることもあってか、他球団からの風当たりが結構キツいんじゃないかなんて想像しているんですけど、いかがですか?

田尻 そうですねぇ。これだけの大型補強ですしね、特にFAですとか、正式発表はいつになるのか分からないですけども、外国人選手も他球団からの移籍が濃厚(編集部注|対談後に前ロッテのロベルト・オスナ投手、前阪神のジョー・ガンケル投手、元日本ハムの有原航平投手を獲得)ということで、やっぱり前所属チームの方からは非常に冷たい視線が......(笑)。

菊地 (笑)。

田尻 ソフトバンクとしては近藤健介選手もそうですし、噂されている外国人選手も入ってきたらもう強力すぎる戦力ですよね。これはもう頼もしいですよね。

菊地 誤解されたくないのは、別に悪いことをしているわけではないですからね。

田尻 そうですね。足りない部分を補っているわけですし、プロ野球界全体がそうなんですけどソフトバンクは常に上を目指していくというチームですし、「現状維持は衰退だ」という言葉もありますから、常に上を目指していくというところかなと思います。

菊地 背景には2年連続リーグ優勝を逃していることも大きく影響しているのかもしれないですけども、まずは2022年の成績からおさらいしておきたいと思います。
 76勝65敗2分けのリーグ2位。チーム打率.255はリーグトップ、チーム防御率3.07はリーグ3位。数字を見れば悪くはないと思いつつも、リーグ最終戦で敗れて優勝を逃すという悲劇的なシーズンになってしまいましたね。

田尻 まさしく菊地さんのおっしゃるとおりで「悲劇の10.2」になってしまったんですけども、勝率はオリックスと全く同じなんですよね。レギュレーション(規定)で、オリックスとの直接対決で負け越していたので、ソフトバンクからすると優勝をさらわれてしまうことになりました。これはプロ野球史上初のことだったらしいですけど、本当にあと一歩、半歩もない僅かな差でしたよね。

菊地 そういった悔しいシーズンだったわけですけども、改めて2022シーズンを採点すると100点満点で何点になりますでしょうか?

田尻 何を基準にするかですごく迷いますが、無難といえば無難なんですけども80点にしました。

菊地 なるほど。決して悪いシーズンだったわけではないですもんね。

田尻 そうですね。基本的には首位のオリックスと並んでいるわけですし、2021年は4位だったチームですから、それだけ躍進したとも言えますから。でもやっぱりソフトバンクはリーグ優勝、日本一を目標にしていますから、そこに届かなかったという事実の部分でマイナス20点と今回はさせていただきました。

菊地 戦力的には充実していたいと思うんですけど、田尻さん的にここが誤算だったなという部分はありますか?

田尻 誤算でいえば、開幕6試合目で栗原(陵矢)選手が膝を負傷してシーズン絶望になったことですよね。開幕から非常に好調で、今年どれだけの活躍をしてくれるんだろうって、すごく楽しみだったんですよね。打線の軸といってもおかしくない存在感を示していましたから、その栗原選手の離脱は本当に痛かったですよね。

菊地 近年はケガ人がどうしても出てしまうというのが、チームとしての課題になっているような気がしますね。

田尻 そうですね。栗原選手に限らずかなりケガ人が多かった印象がありますね。柳田(悠岐)選手も一時期離脱がありましたし、セカンドで一番に定着していた三森(大貴)選手も骨折がありましたし、ピッチャーも新加入して絶対的なセットアッパーとして活躍していた又吉(克樹)投手が7月に足を骨折する事態もありました。
 正直「故障者がいなければ......」というのがホークスファンの誰もが思ったところだと思うんですよね。本当に痛かったですよね。

菊地 一方で、藤井(皓哉)投手のような新しい戦力が鮮烈に活躍をしたシーズンでもありましたね。

田尻 そうですね。藤井投手もそうですし、藤本(博史)監督が「筑後ホークス」なんて愛称をつけていた、ファームの筑後で鍛えられてきた若鷹たちが、(これまでは)なかなか出番がなくてもがき苦しんでいたんですけどようやく1軍で出番がきて、そこですぐに結果を出してくれたんですよね。
 野村大樹選手ですとか、増田珠選手、渡邉陸選手、谷川原健太選手、挙げていったら何人も名前が出ちゃうんですけど、若い選手がアピールできたこと、もちろんそこで経験も積めたのでチームの底上げができた2022年シーズンだったかなと思います。

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