充実したキャンプを送り、今シーズン一気に大ブレイクする選手は誰なのか？　キャンプで選手個々がどんな課題に取り組み、どんな成長を見せてくれるか楽しみなファンも多いだろう。今年もキャンプ取材を控える元捕手の谷繁元信氏、里崎智也氏にキャンプで見たい期待のパ・リーグの若手野手について話を聞いた。

――最後はパ・リーグの野手陣のなかから、「キャンプで見てみたい」選手をお願いします。

里崎　僕はロッテの山口航輝選手ですね。彼は30発打てる能力があると思う。だから、そこに期待して1年間使ってみればいいんですよ。ロッテで日本人の長距離ヒッターは、過去にさかのぼっても、なかなかいないじゃないですか。山口選手は、その可能性を十分に秘めていると思うので、彼への期待感は半端なく高いですね。　

谷繫　山口選手は昨年終盤、ソフトバンクとの試合で、ライトにホームランを打ったでしょう。

里崎　そうそう、泉圭輔投手から優勝を打ち砕く3ランでしたね。

谷繫　高めのストレートだったかな。あれも良かったね（笑）。

里崎　はい。若干、和田一浩さん的な“あっち向いてホイ”感もありましたけど。

谷繫　そうだね（笑）。

里崎　若干振り遅れたなと思っても、しっかり振り切るところがいいですね。

谷繫　すると、打球がすっ飛んで行くもんね。

里崎　しかもレフトにもライトにも、広角にホームランも打てますしね。そこは大きいですよ。

谷繫　まだ若いんだよね、山口選手って。22歳だっけ？

里崎　そうです。今年23歳になるので、大卒1年目のルーキーと同い年ですね。昨年は（山口選手と同じ）ライトにマーティンがいて、やはりマーティンが優先して使われました。マーティンを諦めるまでの切り替えが遅かったんですよ。今年は非常に楽しみです。

谷繫　僕は日本ハムの野村佑希選手を見てみたい。彼は実際、まだ1年間通して上でプレーしたことがないんですよ。

里崎　意外とすぐケガしますもんね。

谷繫　ケガするんだよ。これ、なぜか「プロ野球あるある」になってしまうんだけど、ケガをする選手っていうのは本当、毎年同じようにケガをするよね。だから1年でも早く、その残念な「あるある」のジンクスというか膿を出しきって、とにかく1年間ケガをせず、万全な状態でプレーする姿を見せてもらいたい選手の1人だね。

――しかし、そこを補ってあまりあるほど光るものがある、ということですよね？

谷繫　広角にも打てる、いいバッティングをしていますよ。そこまで長打はないのですが、20発から30発の間を打てる能力は持っていると思います。新球場になる今年は大いに期待したいですね。