春季キャンプで見たい! 期待の若手をチェック

春季キャンプで見たい期待のパ・リーグ若手野手6選 谷繁元信&里崎智也は次世代の長距離砲たちに熱視線

前田恵

圧倒的な飛距離を持つ渡部健人の奮起に期待

里崎氏が注目するのは西武の渡部健人。三塁が空いている今季にチャンスを掴むことができるか 【写真は共同】

――では里崎さん、2人目をお願いします。

里崎 大卒3年目ですけど、西武の渡部健人選手ですね。もうおかわり君(中村剛也選手)も晩年に入ってきているので、そろそろ、おかわり君の代わりに出てきてほしいと願って、球団もドラフト1位で獲ったと思うんですよ。なにしろ当たったら飛ぶ選手ですから。二軍ではそこそこホームラン数を稼げますが(22年は10本)、果たして一軍ではどうか。大卒3年目ということを考えたら、正三塁手のいないチーム状況からしても、もういい加減、出てきてほしいですよね。

谷繁 昨年は一軍出場なし、イースタンで97試合、350打席、打率.184、本塁打10本、打点30か……。微妙だね。

里崎 当たったら飛ぶんですよ。しかもポジション(三塁)が空いていますからね。本人も重々、分かっていると思うんですよ。そこでどう奮起するかですね。

谷繫 僕の2人目は、楽天の黒川史陽選手。二塁だと浅村(栄斗)選手がいるから、なかなか出られない。ほかの内野にしても、楽天は同じような左バッターが結構多く、彼らとの比較になるから、これまたチャンスを逸していたんだよね。

里崎 内野だけ見ても、茂木(栄五郎)選手、小深田(大翔)選手、山﨑(剛)選手……。しかも二塁、三塁でポジションのかぶる阿部(寿樹)選手まで中日から来たから、余計に枠が狭まりましたね。阿部選手が来たことによって、浅村選手が一塁に回っても、阿部選手がまず二塁手の一番手になるでしょう。なかなかチーム状況的に、割って入るのは難しいですよね。

谷繫 正直、ほかのチームに行ったほうが、彼にとってはチャンスが広がるんじゃないかと思うくらい……。

里崎 二軍ではいつも結構いい成績を残すのに(注・昨季は94試合、416打席、打率.262、本塁打6、打点50)、一軍ではチャンスが少ないこともあってか、結果を出せないんですよねえ(注・昨季は17試合、71打席、打率.222)。毎年、評判は高いのに。

野村勇のレギュラー獲りに期待

野村勇のしぶとく、泥臭いプレーを評価している谷繁氏。内野に役者が多いソフトバンクで定位置を掴めるか 【写真は共同】

――ではお2人それぞれ、3人目をお願いできますか?

谷繫 僕は、ソフトバンクの野村勇選手ですね。僕、こういう選手が好きなんですよ。泥臭いプレーをしていてね。今年で27歳だから若手ではないけれど、まだ2年目でしょう。

里崎 昨年、球団の新人2ケタ本塁打の記録を更新(注・2リーグ制以降)したとか、パ・リーグの新人で37年ぶりに2ケタ盗塁と2ケタ本塁打を同時達成したとか、結構目立った活躍をしていますからね。

谷繫 ああ、そうだったね。しかも彼、周東佑京選手より足が速いっていうウワサじゃない?

里崎 それで彼もまた、内外野を守れるマルチプレーヤーなんですけど、ポジションがないんですよ。外野の栗原陵矢選手が三塁に転向、今季は三塁1本で行くつもりみたいですし。

谷繫 僕は野村勇選手、とてもいいと思うんだけどなあ。足もかなり速いし、長打力もあるし、しぶとさも持っている。ホームランを10本打ちながらも、追い込まれたらバットを短く持って、コンパクトに振ろうというバッティングをしていてね。

里崎 じゃあ僕は最後に、ロッテの松川虎生選手を挙げておきます。今季は、昨季まで若干干されていた感のある田村龍弘選手の逆襲が、必ずや始まると思うんです。そこで、松川選手がそのまま一軍のスタメン捕手の座を守り切れるのかというところですね。

谷繁 昨年はシーズンを通して一軍で完走できたね。

里崎 高卒捕手では、谷繁さん以来(33年ぶり)でしょう? 確かに18歳であれだけ試合に出て頑張ったことは認めますが、佐々木朗希とセットで評価されているうちは、まだまだ。結果だけ見ると、これからやらなければいけないことはたくさんあると思うので、正直評価はまだ対象外ですよね。

谷繁 攻守において、当然課題はあるよね。僕もプロ1、2年目はまだ子どもみたいなもの。自分のことで精いっぱいだった。4、5年目にやっと、勝つために何をすべきか考えられるようになったんだけど。

里崎 監督が(井口資仁監督から吉井理人監督に)代わって、起用法も変わる可能性がある中で、松川選手がキャンプからどんな成長を見せるか楽しみですね。


(企画構成:スリーライト)

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著者プロフィール

1963年、兵庫県神戸市生まれ。上智大学在学中の85、86年、川崎球場でグラウンドガールを務める。卒業後、ベースボール・マガジン社で野球誌編集記者。91年シーズン限りで退社し、フリーライターに。野球、サッカーなど各種スポーツのほか、旅行、教育、犬関係も執筆。著書に『母たちのプロ野球』(中央公論新社)、『野球酒場』(ベースボール・マガジン社)ほか。編集協力に野村克也著『野村克也からの手紙』(ベースボール・マガジン社)ほか。豪州プロ野球リーグABLの取材歴は20年を超え、昨季よりABL公認でABL Japan公式サイト(http://abl-japan.com)を運営中。

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