東福岡、報徳学園、東海大大阪仰星が有力 優勝候補から見る全国高校ラグビー大会展望

斉藤健仁

前回大会は、東海大大阪仰星が4大会ぶり6度目の優勝を飾った。今大会で目指すのは連覇のみだ 【斉藤健仁】

 いよいよ、今季も高校生ラガーマンたちの熱い戦いが始まる!大阪の“冬の風物詩”であり、102回目を迎える「花園」こと全国高等学校ラグビーフットボール大会が12月27日から大阪・東大阪市花園ラグビー場を中心に開催される。

 出場校は各都道府県代表の51校。北海道と東京都からは2校、大阪府は開催地枠も含めて3校が出場する。12月27日、28日に1回戦、12月30日に2回戦を行い、年が明けた1月1日の元日に実施される3回戦の結果を経てベスト8が出揃う。

 その後は、各校の主将の抽選により準々決勝の組み合わせが決まり、準決勝の組み合わせも1月3日の準々決勝の試合後に抽選で行う。1月5日に準決勝、1月7日に決勝が行われ、高校ラグビー界の頂点に立つチームが決定する。なお、今大会は過去2大会とは異なり、全日程有観客で行われる予定だ(※今後の新型コロナウイルス感染症の状況次第では無観客になる可能性もある)。

Aシード校は報徳学園と東福岡の2校に!

史上4校目の「三冠」を目指す報徳学園は、東福岡とともにAシード校入りを果たした 【斉藤健仁】

 今大会のトーナメントのシード校は、今季の春の高校選抜大会やブロック大会の成績により決定。Aシード2校、Bシード11校の計13校となった。シード13校は2回戦からの出場となり、Aシード2校とBシード11校は準々決勝までシード校とは対戦しない。

 まずAシード2校は、春の全国高校選抜ラグビー大会、夏の7人制ラグビー全国大会を制し、史上4校目の「三冠」がかかっている報徳学園(兵庫)、選抜大会で準優勝(決勝は辞退)し、花園でも6度の優勝を誇る東福岡(福岡)が選ばれた。

 今季はAシード校入りがなかった関東勢だが、昨季初めてファイナリストになった国学院栃木(栃木)、春の関東大会王者・流通経済大柏(千葉)、神奈川県予選決勝で「東の横綱」桐蔭学園を下した東海大相模(神奈川)の3校がBシード校に。

 中部地方からは東海王者の中部大春日丘(愛知)、関西からは「ピラニアタックル」が武器の京都成章(京都)、優勝5回を誇る常翔学園(大阪第1)、2018年度の王者・大阪桐蔭(大阪第2)、ディフェンディングチャンピオンで連覇のかかる東海大大阪仰星(大阪第3)の大阪勢、優勝6回を誇る名門・天理(奈良)が名を連ねた。そして、九州からは、選抜大会ベスト4の佐賀工業(佐賀)、「公立の雄」長崎北陽台(長崎)の2校が入り、計11のBシード校が決まった。

優勝候補筆頭は6度の大会制覇を経験する東福岡

優勝候補筆頭の東福岡は、5年連続で敗退している準決勝が「鬼門」となる 【斉藤健仁】

 優勝候補筆頭と予想されているのは、Aシード校の東福岡だ。今季は選抜で準優勝(決勝は辞退)、さらに東福岡の選手中心で臨んだ国民体育大会(国体)でも優勝した。「ディフェンスからチームを作っている」(藤田雄一郎監督)が言うように、主将FL大川虎拓郎(3年)を中心に個々のタックルの意識が高い。

 また、高校日本代表候補8人を擁し、ボールを広く展開するアタック力も大会随一だ。昨季まで5年連続ベスト4と準決勝が「鬼門」となっているが、今季こそ、その壁を打ち破り2016年度以来7回目の優勝なるか。

高校日本代表候補8人を擁す報徳学園も優勝候補

報徳学園は、エースのSO伊藤を中心としたアタックが魅力だ 【斉藤健仁】

 同じくAシード校の報徳学園も当然、優勝候補の一角だ。春の選抜で兵庫県勢として初の日本一に輝いており、夏の7人制ラグビーの全国大会も制した。東福岡と同じく高校日本代表候補が8人も名を連ねており、FWもBKも能力が高い選手が揃う。チームのエースでもあるSO伊藤利江人(3年)らを中心としたアタックが魅力のチームだ。やはり、FW陣の奮闘が「三冠」の鍵を握りそうだ。

前回王者として連覇を目指す東海大大阪仰星

主将のFL松沼を中心に、東海大大阪仰星は「スタンディングラグビー」で連覇を目指す 【斉藤健仁】

「スタンディングラグビー」を体現して、昨季6度目の日本一に輝いた東海大大阪仰星も当然、連覇を狙っており、その目標を実現する力も十分にあると言えよう。主将FL松沼寛治(3年)を中心に半数ほどが東海大学付属大阪仰星高等学校中等部から一緒にプレーしており、しかも昨季の花園を経験している選手も多い。練習で培った一体感と判断力、そして経験値を武器に、今季も日本一にチャレンジする。

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著者プロフィール

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)、「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「ラグビー語辞典」(誠文堂新光社)、「はじめてでもよく分かるラグビー観戦入門」(海竜社)など著書多数。

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