B1西地区首位でも「課題」と向き合う琉球 伸びしろは“1対1頼み”からの脱却と、セカンドユニット

大島和人

琉球を率いる桶谷大HC(中央) 【©B.LEAGUE】

西地区首位に立つ琉球

 昨シーズンの琉球ゴールデンキングスは、間違いなく素晴らしいチームだった。レギュラーシーズンを西地区1位で突破すると、チャンピオンシップは秋田ノーザンハピネッツと島根スサノオマジックを破ってファイナル進出に成功。並里成の不運な欠場もあって宇都宮ブレックスに敗れ、準優勝にとどまったが、それでも上々のシーズンを送った。

 2022-23シーズンの彼らも、ここまで13勝3敗と悪くないスタートを切っている。12月3日・4日のファイティングイーグルス名古屋戦で連勝したことにより、西地区の首位に躍り出た。

 92-75の快勝で4日のFE名古屋戦を終えた桶谷大ヘッドコーチ(HC)は、こう口にしている。

「第3クォーターに(FE名古屋の)連続3ポイントがあったりして、なかなか簡単には引き離せなかったんですけど、ボールムーブメントをしっかりしながら、いいバスケットができた。良いオフェンスをして、良いシュートを打てたと思います」

岸本のバックアップは?

 ただ現場で試合を見ると、まだ少し“噛み合っていない”感じのする時間帯もあった。琉球を追っているメディア仲間に聞くと、ポイントガード(PG)の岸本隆一が不在の時間帯に、物足りなさを感じるという。

 「岸本がいない時間帯」「セカンドユニットのオフェンス」ついて尋ねると、かりゆしウェアの似合う指揮官は、微苦笑を浮かべつつ率直に語ってくれた。

「コー(・フリッピン)がもう1回、調子を上げてきてくれれば一番いいと思います。代表から帰ってきたときは(チームの)練習を3週間やってなくて、みんなとの波長が合ってなかったというのがありました。ちょっとずつ良くなっていて、岸本のバックアップはコーがある程度できると思っています」

ハンドラーの枚数が減った琉球

 昨シーズンの琉球は強力なハンドラーが揃っていて3人、4人が代わる代わる1オン1を仕掛ける華やかなスタイルだった。しかし今シーズンはPG並里成が群馬クレインサンダーズ、SFドウェイン・エバンスは広島ドラゴンフライズに移籍。引き続いて岸本や今村佳太、アレン・ダーラムと優れたスキルの持ち主はいるが、“量”はやや見劣りする。桶谷HCが名を挙げたコーはシューティングガード(SG)寄りのプレイヤーで、PGとしてのキャリアは浅い。

 もっとも琉球復帰2季目の指揮官に、今季の編成をネガティブに受け止める様子は一切ない。

「松脇(圭志)、田代(直希)、牧(隼利)らがポジションレスに、ボール持った誰かがポイントガードをするところは引き続きやりたい。去年の(並里)成がいたときの時間帯に比べるとむず痒いところもありますけど、とはいえ成がいたときに、全て順風満帆かと言ったら(違った)。今は“成長できる場所”が沢山あって、やりがいも感じています。最後はいいバスケットになっていくと思うし、時間をかけてみんなで成長していきたい」

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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